兵庫県では、斎藤元彦知事が掲げた「県立大学の授業料無償化」が本格的に動き出しています。2024年度から、県立大学と県立芸術文化観光専門職大学の入学金と授業料が無償となり、所得制限も設けずに実施されています。しかし、その恩恵を受ける学生は県内高校卒業生のわずか2%に過ぎず、他の大学に進学する学生との支援格差が議論を呼んでいます。
こうした状況を受け、県議会では「奨学金の拡充」や「返済不要の給付型奨学金の創設」を求める意見が相次いでいます。特に、公明党や共産党、ひょうご県民連合は、国の修学支援新制度への県独自の上乗せや、県立大以外に通う学生への支援拡充を要望しています。
一方、最大会派の自民党は、無償化そのものよりも「社会から評価される県立大学づくり」に力を入れるべきだと指摘し、支援効果の公平性や卒業後の県内定着に疑問を呈しています。また維新の会は、兵庫県民と大阪府民が県立大と大阪公立大に相互無償で進学できる制度を提案するなど、支援のあり方に多様な意見が出ています。
現在、国や県の支援が届いていない学生にとって、返済が必要な奨学金は経済的な負担となり、卒業後のキャリア選択にも影響を与えかねません。給付型奨学金の拡充や、地域や企業と連携した返済支援制度の導入が進めば、より多くの学生が経済的な不安なく学びに専念できる環境が整います。
「授業料無償化」と「奨学金支援」のバランスをどう取るのか。2025年度の兵庫県の予算編成は、学生支援の公平化を模索する重要な分岐点となりそうです。学びたいという若者の意思を経済的な理由で妨げないために、全ての学生に公平な支援の仕組みが求められています。