「奨学金の返済がきつい」「今月は払えないかもしれない」と悩んでいませんか。
日本学生支援機構(JASSO)の貸与奨学金は、貸与終了後に返還が必要です。しかし、収入の減少や病気などで返還が難しくなった場合に、何もせず延滞する必要はありません。
月々の返還額を減らす「減額返還制度」や、一定期間返還を先送りする「返還期限猶予制度」を利用できる場合があります。勤務先や自治体の奨学金返還支援を受けられる可能性もあります。
大切なのは、返還が難しいと分かった段階で状況を整理し、延滞前に相談することです。この記事では、奨学金返済がきついときの選択肢と、自分に合った対処法の選び方を解説します。
奨学金返済がきついときの選択肢
現在の状況によって、検討したい対応は異なります。
| 現在の状況 | 最初に検討したい対応 |
|---|---|
| 返還できているが家計に余裕がない | 返還額・残額と毎月の収支を確認する |
| 月額を減らせば返還を続けられる | 減額返還制度を確認する |
| 失業や病気などで一時的に返還できない | 返還期限猶予制度を確認する |
| 残高不足などですでに振替できなかった | 振替予定を確認し、早めにJASSOへ相談する |
| 勤務先や地域の支援を利用したい | 企業・自治体の奨学金返還支援を探す |
| 余裕資金で早く完済したい | 生活資金を確保してから繰上返還を検討する |
減額返還制度や返還期限猶予制度は、自動的には適用されません。利用には申請と審査が必要なため、早めに準備しましょう。
奨学金の返済開始時期、毎月の返還額、返還方式、口座振替などの基本は「奨学金返済の仕方を徹底解説」で確認できます。
奨学金返済がきついと感じる主な理由
返還月額が同じでも、収入や生活環境が変われば負担感は大きくなります。まず、何が家計を圧迫しているのか整理してみましょう。
社会人になった直後で収入が安定していない
就職直後は給与が高くない一方で、家賃、税金、社会保険料などの支払いがあります。引っ越しや家具・家電、仕事用品などの支出も重なり、想定より自由に使えるお金が少なくなる場合があります。
失業・休職・転職などで収入が減った
返還開始時には無理のない金額でも、失業、休職、転職などによって収入が減ると返還が難しくなります。収入減少が一時的か、しばらく続く見込みかによって、適した制度が変わります。
病気・けが・出産・育児などで支出が増えた
医療費や生活費が増えたり、働ける時間が減ったりすると、返還の負担が重くなることがあります。病気やけがなどは、減額返還や返還期限猶予の申請事由に該当する可能性があります。
奨学金以外の支払いも重なっている
住居費、子育て費用、カードやローンの支払いなどが重なると、家計に占める奨学金返済の割合が大きくなります。奨学金だけを切り離さず、毎月の収入と支出全体を確認することが必要です。
残額や完済時期が分からず不安になる
返還期間が長いと、「あといくら残っているのか」「いつまで続くのか」が見えにくくなります。金額そのものに加えて、見通しが立たないことが心理的な負担になる場合もあります。
返還月額や残額の確認方法は「スカラネットで返済額や残高を確認する方法」で紹介しています。
奨学金返済がきついときに確認したい5つの対処法
1.返還額・残額と家計を確認する
まず、次の項目を確認しましょう。
- 毎月の返還額と振替日
- 現在の返還残額
- 完済予定時期
- 毎月の手取り収入
- 家賃などの固定費
- 奨学金以外の返済
- 一時的に増えている支出
「毎月いくら不足しているのか」「支出を見直せば返還できるのか」「収入の回復が見込めるのか」を整理すると、次に取るべき対応を判断しやすくなります。
支出を減らしても当初の返還額を支払えない場合は、無理に返還を続けて生活費が足りなくなる前に、JASSOの制度を確認してください。
2.月額を減らせば返せるなら減額返還制度を確認する
減額返還制度は、災害、傷病、経済的な事情などにより当初の月額での返還は難しいものの、減額すれば返還できる方を対象とした制度です。
1回あたりの返還月額を、当初の3分の2、2分の1、3分の1または4分の1に減らし、その分、返還期間を延長します。適用期間の上限は通算15年です。
第二種奨学金でも、減額返還の適用によって利子が増えることはありません。ただし、返還期間は延びます。また、元金が減額・免除される制度ではありません。
申請には審査があり、収入・所得などの条件が設けられています。基準や必要書類は状況によって異なるため、最新情報をJASSOで確認しましょう。
詳しい条件と申請方法は「奨学金返済は減額できる?」で解説しています。
3.一時的に返せないなら返還期限猶予制度を確認する
返還期限猶予制度は、災害、傷病、経済的な事情などによって返還が難しい場合に、一定期間、返還期限を先送りする制度です。
猶予期間中は返還が止まりますが、元金や利子が免除される制度ではありません。猶予期間が終わった後は返還を再開します。
第二種奨学金は猶予期間中に新たな利子が増えません。ただし、猶予終了から返還再開までの据置期間には利子が付く場合があります。
「月額を減らせば返せる」場合は減額返還、「現時点では返還そのものが難しい」場合は返還期限猶予が、おおまかな判断基準です。実際に利用できる制度はJASSOの審査で決まります。
詳しい条件と申請方法は「奨学金を返せないときの返還猶予制度」をご覧ください。
4.企業・自治体の奨学金返還支援を探す
勤務先によっては、従業員の奨学金返還額の一部または全部を支援する制度を設けています。企業が従業員に代わってJASSOへ直接送金する「代理返還」を利用しているケースもあります。
支援の対象者、金額、期間、申請方法は企業によって異なります。就職・転職先を探す際は、次の点を確認しましょう。
- 対象となる奨学金の種類
- 新卒・中途採用などの対象条件
- 勤続年数などの要件
- 毎月または年間の支援額
- 支援期間と上限額
- 退職時の取り扱い
地方公共団体が、返還者本人や地元企業を対象とした支援制度を設けている場合もあります。居住地、出身地、勤務先所在地などの条件があるため、自治体の公式サイトで確認してください。
「奨学金バンク」では、奨学金返還支援制度を導入している企業の情報を掲載しています。返還支援のある企業への就職・転職を検討している方は、支援企業一覧をご確認ください。
5.延滞する前にJASSOへ相談する
「次の振替が難しい」と分かった段階で、JASSOの相談窓口に連絡しましょう。減額返還や返還期限猶予は、申し込めば必ず認められるわけではなく、申請後に審査があります。必要書類の準備にも時間がかかるため、早めの行動が大切です。
残高不足などですでに振替ができなかった場合も、そのまま放置せず、次回の振替予定や必要な対応を確認してください。具体的な対応は「奨学金返済が口座振替できなかった場合の対処法」で解説しています。
相談先や相談できる内容は「奨学金返還相談センターとは?」も参考にしてください。
奨学金返済がきついときに避けたい行動
何もせず延滞を続ける
返還が難しい場合に避けたいのは、JASSOへ相談せず延滞を続けることです。延滞が長引く前に、利用できる制度と必要な手続きを確認しましょう。
生活資金まで繰上返還に使う
繰上返還をすれば、返還期間を短縮できます。第二種奨学金では、繰り上げた期間に相当する利子がかからないため、返還総額を抑えられる場合もあります。
一方、返済がきつい状況で生活費や緊急時の資金まで繰上返還に使うと、急な支出に対応できなくなる可能性があります。まず毎月の生活と通常の返還を続けられる資金を確保しましょう。
なお、一部繰上返還では、通常は返還期間が短縮され、翌月からの返還は通常どおり続きます。毎月の返還額を自由に引き下げる制度ではありません。また、減額返還や返還期限猶予の適用期間中は、原則として繰上返還できません。
繰上返還のメリット、注意点、申込方法は「奨学金の繰り上げ返済とは?」で詳しく紹介しています。
返済のために安易に新たな借入れをする
奨学金の返還に充てるためにカードローンなどから借りると、利息を伴う別の返済が増え、家計がさらに苦しくなる可能性があります。新たな借入れをする前に、JASSOの負担軽減制度や相談窓口を確認してください。
奨学金返済がきつい場合の相談先
| 相談したい内容 | 主な相談先 |
|---|---|
| 減額返還・返還期限猶予・振替などJASSOの制度 | JASSO奨学金相談センター、スカラネット・パーソナル |
| 勤務先の返還支援 | 勤務先の人事・福利厚生担当者 |
| 自治体の返還支援 | 居住地・出身地・勤務先所在地などの自治体窓口 |
| 家計全体や複数の債務についての相談 | 法テラス、自治体などの公的相談窓口、専門家 |
相談するときは、奨学生番号、毎月の返還額、返還残額、収入の状況、返還が難しくなった理由を整理しておくと、話を進めやすくなります。
奨学金返済についてよくある質問
奨学金返済がきつい場合、月額を変更できますか?
自分の希望だけで返還月額を変更することはできません。ただし、条件を満たして減額返還制度が認められれば、月々の返還額を減らせます。申請と審査が必要です。
奨学金を一時的に払えない場合はどうすればよいですか?
返還期限猶予制度を利用できる可能性があります。返還できなくなってから放置するのではなく、難しいと分かった段階でJASSOへ相談してください。
減額返還と返還期限猶予の違いは何ですか?
減額返還は、毎月の返還額を減らして返還を続ける制度です。返還期限猶予は、一定期間返還を先送りする制度です。どちらも返還額そのものを免除する制度ではありません。
一部繰上返還をすると毎月の返還額は下がりますか?
通常は返還期間が短縮され、翌月からの返還は通常どおり続きます。月々の負担を減らしたい場合は、減額返還制度の対象になるか確認しましょう。
奨学金を返せないと免除されますか?
返還が難しいという理由だけで、自動的に免除されるわけではありません。一定の条件に該当する場合には返還免除が認められることがありますが、減額返還や返還期限猶予とは別の制度です。詳しくは「奨学金は免除される?」をご覧ください。
まとめ|奨学金返済がきついときは延滞前に選択肢を確認しよう
奨学金返済がきついと感じたら、まず返還月額・残額と家計の状況を確認しましょう。
月額を減らせば返還できる場合は減額返還制度、一時的に返還できない場合は返還期限猶予制度を利用できる可能性があります。勤務先や自治体の返還支援が使える場合もあります。
これらの制度は自動的に適用されず、申請と審査が必要です。返還が難しいと分かった時点でJASSOへ相談し、延滞前に手続きを検討してください。
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