奨学金の返済方法を徹底解説!負担を減らす賢い返し方とは?

日本学生支援機構(JASSO)の貸与型奨学金は、給付型とは異なり、返済義務がある「借入金」です。そのため、クレジットカードやローンと同様に、延滞を避けることが重要です。

適切な返済方法を選び、計画的に進めることで、無理なく完済を目指せます。本記事では、奨学金の返済方法や負担を減らすコツについて詳しく解説します。

奨学金の返済方法を知る前に|基礎知識を整理

日本の奨学金制度の多くは、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金を指します。JASSOの奨学金は、以下の2種類に分かれます。

  • 第一種奨学金(無利息):利息なしで借りられるが、利用には厳しい審査基準がある
  • 第二種奨学金(有利息):低金利で借りられるが、利息が発生する

いずれも貸与型奨学金であり、卒業後に返済が必要です。特に、金利の発生する第二種奨学金は、毎月の返済額や利息を考慮した計画的な返済が求められます。

奨学金の返済はいつから始まる?

奨学金の返済は、貸与終了の翌月から数えて7か月後に開始されます。例えば、3月に貸与が終了した場合、10月から返済がスタートします。

この猶予期間は、就職活動や新生活の準備期間として設けられています。奨学金の返済日は毎月27日なので、前日までに口座へ入金しておくようにしましょう。

第一種と第二種で異なる返済の仕組み

奨学金の種類金利返済額の特徴
第一種奨学金(無利息)なし借入額と同額を返済
第二種奨学金(有利息)上限3%借入額+利息を返済

第一種奨学金の特徴

第一種奨学金は無利息なので、借りた金額をそのまま返済するだけです。例えば、100万円を借りた場合、100万円を分割して返済します。

第二種奨学金の特徴

第二種奨学金は上限3%の金利が発生するため、借りた金額よりも多く返済する必要があります。借入総額が大きくなるほど、利息も増えるため、必要以上に借りすぎないよう注意が必要です。

返済期間の目安とシミュレーション

奨学金の返済期間は、最長20年まで設定できます。

第一種奨学金の返済例

  • 毎月54,000円を4年間(48か月)借りた場合
    • 総借入額:2,592,000円
    • 返済期間15年(180回払い) → 毎月の返済額 14,400円

第二種奨学金(1.0%の利率)の返済例

  • 毎月50,000円を4年間(48か月)借りた場合
    • 総借入額:2,400,000円
    • 返済期間15年(180回払い) → 毎月の返済額 約14,400円(利息込み)

※第一種奨学金のほうが無利息のため、同じ月額返済額でも、より多くの金額を借りることが可能です。

奨学金の返済方法|基本の選択肢

奨学金の返済方法には、以下の3つの選択肢があります。

  1. 月賦返還(毎月返済)
    • 最も基本的な返済方法
    • 口座引き落としで毎月一定額を支払う
  2. 月賦・半年賦併用返還(ボーナス併用返済)
    • 毎月の返済額を減らし、年2回(1月・7月)のボーナス時に追加返済する
  3. 繰上返還(早期返済)
    • 返済期間を前倒しして、借入金の一部または全額を一括返済する方法

それぞれの特徴を詳しく解説していきます。

口座引き落としで毎月返済する方法

奨学金の返済は、指定した口座から毎月自動引き落としされる仕組みになっています。
口座振替の申し込みは、以下の方法で行います。

  • スカラネット・パーソナル(オンライン申込)
  • 口座振替加入申込書(郵送申込)

引き落とし日は毎月27日です(金融機関が休業日の場合は翌営業日)。
26日までには口座に必要額を入金しておきましょう。

月賦返還(毎月返済)

毎月一定額を返済する基本の方法です。
奨学金を受けた際に設定した返済額が、毎月の口座から自動で引き落とされます。

月賦返還のポイント

メリット

  • 計画的に返済できる
  • 収入に応じて無理のない額を設定しやすい

デメリット

  • 収入が少ない月でも一定額を支払う必要がある
  • 途中で返済方法を変更する場合は手続きが必要

支払いを忘れると滞納扱いとなるため、必ず引き落とし口座の残高を確認しておきましょう。

月賦・半年賦併用返還(ボーナス併用返済)

月々の返済額を抑え、年2回(1月・7月)のボーナス時に追加で返済する方法です。

月賦・半年賦併用返還のポイント

メリット

  • 毎月の負担を軽減できる
  • 余裕のあるボーナス時に多めに返済できる

デメリット

  • ボーナスが減額・支給されない場合に支払いが厳しくなる
  • 会社の業績によってはボーナスが支給されないこともある

ボーナス併用返済を選ぶ場合、ボーナスが出ない場合のリスクも考慮し、貯蓄を確保しておきましょう。

繰上返還(早期返済)のメリットと注意点

繰上返還には、一括返済一部返済の2種類があります。

① 一括返済

  • 借入金の全額を一括で返済し、奨学金の返済を完了させる方法
  • 特に第二種奨学金(有利子)の場合、利息を大幅に削減できる

メリット

  • 早く返済が終わり、将来の経済的負担がなくなる
  • 住宅ローンや教育費など、今後のライフイベントに備えやすくなる
  • 利息の発生を抑えられる(第二種奨学金)

デメリット

  • 手元の資金が減りすぎると、急な出費に対応できなくなる
  • 貯金が減りすぎると、生活資金や緊急時の資金が不足する可能性がある

【おすすめのタイミング】

  • 転職や昇給で収入が安定したとき
  • まとまった資金(ボーナス・退職金・副業収入など)が手に入ったとき
  • 住宅ローンを組む前に完済しておきたいとき

② 一部返済(繰上返済)

  • 借入金の一部を繰り上げて支払う方法
  • 50万円などまとまった額を返済することで、返済期間を短縮できる

メリット

  • 完済までの期間を短縮できる
  • 毎月の返済額を減らせる(要申請)
  • 収入に応じて柔軟に返済額を調整できる

デメリット

  • 返済資金を確保できなければ利用しにくい
  • 一部返済をしても、毎月の返済額が変わらない場合もある(要確認)

繰上返済をする際の注意点

繰上返済をすると、手元の資金が減るため、最低限の生活資金(目安100万円以上)を確保してから行う
第二種奨学金(有利子)の場合、利息軽減の効果が大きいため、繰上返済がおすすめ
第一種奨学金(無利子)の場合、繰上返済のメリットは少ない

奨学金の返済方法はライフプランに合わせて選ぼう!

奨学金の返済方法は、ライフスタイルや収入状況に応じて柔軟に選ぶことが重要です。

毎月一定額を無理なく支払うなら「月賦返還」
ボーナスを活用して毎月の負担を軽減するなら「月賦・半年賦併用返還」
できるだけ早く完済したいなら「繰上返還」

特に第二種奨学金(有利子)を利用している方は、利息負担を減らすために「繰上返済」を検討するのがおすすめです。

一方、無理に一括返済をすると、生活資金が不足してしまうリスクもあるため、手元に一定の貯蓄を残しておくことも大切です。

返済方法をしっかりと見極め、自分に合った計画的な返済を行いましょう!

奨学金返済の負担を軽減する方法

奨学金の借入は数百万円規模になることが多く、返済期間が10年以上になるケースも少なくありません。返済を楽にするためには、所得連動返還方式や減額返還制度、返済猶予制度などを活用するのが有効です。毎月の返済が厳しくなったと感じたら、その時点で計画を見直し、適切な対策を講じることが大切です。

所得連動返還方式を活用する

所得連動返還方式は、所得額に応じて月々の返済額が決定される方法です。日本学生支援機構がマイナンバーを通じて課税対象所得を把握し、それに基づいて返済額を決定します。

この方式が適用されるのは、2017年4月以降に第一種奨学金を利用した人です。返済額は、定額返還方式による月額の半分となります。さらに、返済が厳しい場合には、最低2,000円からの返済も可能です。

減額返還制度の利用条件と申請方法

減額返還制度は、毎月の返済額を一時的に減額できる制度です。災害や病気、経済的な理由で返済が厳しくなった人が対象となります。適用期間は1回につき12か月で、必要に応じて最大180か月(15年)まで延長可能です。

申請はスカラネット・パーソナルを通じて行うのが最も早く、ネット環境がない場合は郵送での提出も可能です。ただし、制度を利用すると返済期間が延びるため、最終的な支払い総額が増える可能性がある点には注意が必要です。

返済猶予制度で支払いを一時的にストップする

返済猶予制度は、失業や病気などの事情により、返済を一時的に停止できる制度です。適用期間は最長120か月(10年)で、その間は返済義務がなくなります。

ただし、猶予期間が終了すれば返済を再開する必要があり、完済時期が遅れる点には注意しましょう。また、元金や利息が免除されるわけではないため、長期間利用すると総返済額が増える可能性があります。返済が難しい場合は、減額返還制度と併せて活用することを検討してください。

奨学金の返済が厳しい時の対処法

奨学金の返済が厳しくても、そのまま放置すると信用情報に傷がつき、ローンやクレジットカードの利用が制限される可能性があります。特に3か月以上滞納すると、ブラックリストに登録されるため注意が必要です。
最近では、市や企業が公的支援制度を導入するケースが増えており、日本学生支援機構の救済制度が利用できない場合には、これらの制度を活用するのも一つの手です。また、返済に行き詰まった場合は、弁護士や奨学金相談窓口に相談し、必要であれば債務整理を検討しましょう。

滞納するとどうなる?信用情報への影響

日本学生支援機構の奨学金は第一種・第二種ともに返済義務があります。奨学金の原資は、利用者の返済金によって賄われているため、次世代の学生に負担をかけないよう、滞納には十分注意しましょう。
3か月以上の滞納が続くと、個人信用情報機関に情報が登録されます。これは、クレジットカードやカードローンの延滞と同じ扱いとなり、ブラックリストに載ることを意味します。
ブラックリストに登録されると、新たなローンの審査に通らなくなり、自動車や住宅の購入、さらにはクレジットカードの作成も難しくなります。

奨学金の返済が厳しい人が活用すべき公的支援制度

奨学金は貸与型の場合、返済義務がありますが、意外にもこの事実を十分に理解していない人もいます。貸与終了後に返済の必要性を認識し、困るケースも少なくありません。
返済が厳しい場合は、市や企業が実施する公的支援制度を活用するのも選択肢の一つです。これにより、返済額の一部または全額を代行してもらえる可能性があります。
特に近年、地方自治体ではUターン就職を促進するため、奨学金の返還支援制度を導入するケースが増えています。また、企業の福利厚生として奨学金返済支援を行う企業も増加傾向にあります。

弁護士・奨学金相談窓口の活用方法

奨学金の返済が困難な場合、最も避けるべきなのは滞納です。3か月以上の滞納でブラックリストに登録される前に、早めの対策を取ることが重要です。
1回でも延滞すると、通常の返済サイクルに戻すのが難しくなるため、早い段階で弁護士や奨学金相談窓口に相談するのが賢明です。どうしても返済が難しい場合には、債務整理を検討するのも一つの方法です。

任意整理

奨学金以外にも借金がある場合、利息をゼロにすることで負担を軽減できます。元金のみを分割で返済する形となるため、一定の返済能力が求められます。

個人再生

任意整理よりも大きく借金を減額できる方法で、場合によっては80%程度の減額が可能です。ただし、一定の収入があることが条件となります。

自己破産

日本学生支援機構の返還免除制度を利用できない場合、返済が極めて困難な場合には自己破産も選択肢に入ります。特に、病気や事故などで収入が得られなくなった場合に利用されるケースが多いです。
ただし、自己破産をすると一定の財産を失うことになり、信用情報にも影響が出るため、慎重に検討する必要があります。

奨学金を賢く返済するためのポイント

奨学金を返済するうえで重要なのは、完済までの計画を明確にすることです。たとえば、10年返済プランを選んだ場合、最終年になって延滞すると、それまでの9年間の実績に関係なくブラックリストに登録されるリスクがあります。
このような事態を防ぐためにも、無理のない範囲で貯金をしながら返済を続けることが大切です。また、副業を活用したり、奨学金返済支援のある企業に就職することで、負担を軽減する方法もあります。
奨学金返済と資産形成を並行して考える場合、まずは奨学金の返済を最優先とし、無理のない範囲で資産形成を進めることが重要です。

貯金しながら返済するコツ

奨学金をできるだけ早く返済しようと、貯金をまったくせずに収入をすべて返済に充ててしまう人がいます。この方法では、たしかに短期完済が可能になりますが、予期せぬ出費に対応できなくなるリスクがあります。
そのため、少なくとも給料の6か月分程度の貯金を確保しながら、無理のない返済を続けることが理想です。
計画的に貯金しながら返済するためには、綿密な返済シミュレーションを行い、無理のない範囲での返済額を設定しましょう。
たとえば、毎月1万5,000円をギリギリ返済できる状況であれば、その3分の2以内(1万円程度)に抑えることで、余裕を持った返済が可能になります。

副業・奨学金返済支援のある企業を活用する

近年、副業を認める企業が増えており、本業とは別に副収入を得ることができる環境が整っています。副業収入を奨学金の返済に充てることで、負担を軽減しつつ短期完済を目指すことも可能です。
また、企業の中には奨学金返済支援制度を導入しているところもあります。この制度は、企業が従業員の奨学金返済を一部または全額負担するもので、福利厚生の一環として取り入れられています。
この仕組みを活用すれば、奨学金の返済負担を軽減できるだけでなく、企業側も人材確保やブランディングの強化につながるため、導入する企業が増えているのが特徴です。
2024年時点では、全国で約2,500社がこの制度を導入しています。

奨学金を返しながら資産形成を考える方法

奨学金の返済をしながら資産形成を考える人も増えていますが、最優先すべきは奨学金の完済です。
返済資金を投資に回すと、いざ返済が必要なときに資金が不足し、生活が苦しくなる可能性があります。特に、投資信託などの積立投資を行っている場合、奨学金の返済が始まると家計が圧迫されるケースも少なくありません。
資産形成は長期的な視点で考えることが重要ですが、まずは奨学金の返済が最優先です。特に、非正規雇用や季節労働者など、収入が安定しない人は慎重に判断する必要があります。
また、投資には元本割れのリスクがあるため、奨学金の返済を犠牲にしてまで行うべきではありません。奨学金は返済すれば確実に元金が減っていくため、資産形成よりもまずは着実な返済を優先しましょう。

まとめ|自分に合った返済方法を選ぼう

奨学金の借入額や収入状況は人それぞれ異なるため、自分に合った返済方法を選ぶことが重要です。
多くの場合、返済期間は10年や20年と長期にわたるため、途中で延滞しないように慎重な計画を立てる必要があります。
また、返済が厳しくなった場合は、日本学生支援機構が提供する救済制度や、市や企業が用意する公的支援制度を活用するのも一つの方法です。
無理のない計画を立て、安定した返済を続けていきましょう。

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