住宅ローンを組んで家を購入したい、あるいはクレジットカードを作りたいと考えたとき、奨学金が審査にどのような影響を与えるのか気になる方も多いでしょう。
奨学金は借入金の一種であり、住宅ローンやクレジットカードの審査にも影響を及ぼします。本記事では、奨学金とローン審査の関係、そして審査を通過するためのポイントを解説します。
奨学金とローン審査の関係
新たに住宅ローンやクレジットカードを申請する際、奨学金の返済状況は重要な審査項目の一つです。ここでは、奨学金とローン審査の関連性について詳しく説明します。
奨学金は「借金」として扱われる?
奨学金は、銀行の教育ローンとは異なりますが、返済義務があるため「借金」として扱われます。
特に第一種奨学金は無利息であるため、ローン審査に影響しないと考える人もいるかもしれません。しかし、奨学金も返済が必要な借入金であり、信用情報に記録されるため、審査の対象となります。
返済が滞ると、信用スコアが低下し、将来のローン審査で不利になる可能性があるため、注意が必要です。
奨学金は信用情報機関(CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センター)に登録される?
奨学金の情報は、信用情報機関(CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センター)に登録されます。そのため、支払い遅延があると、その履歴が記録され、住宅ローンやクレジットカードの審査に影響を及ぼします。
ローンを申請する際には、信用情報の取り扱いに関する同意書を提出する必要があり、金融機関は申請者の信用情報を確認した上で審査を行います。
信用情報機関のデータは、金融機関ごとに参照範囲が異なりますが、多くのローン審査では、過去の支払い履歴を詳細に確認されると考えておくとよいでしょう。
奨学金の返済履歴がローン審査に与える影響
奨学金の返済履歴は、ローン審査に大きな影響を与えます。信用情報には、奨学金の返済状況が記録されており、金融機関はこれを確認して返済能力を判断します。
以下のような状況では、ローン審査がスムーズに進む可能性が高くなります。
- 奨学金の返済が滞りなく行われている
- 安定した収入があり、正社員として勤務している
- 収入と支出のバランスが適切である
一方で、返済の遅延がある場合、審査通過は難しくなります。
特に、3か月以上の延滞があると「事故情報(ブラックリスト)」として信用情報機関に登録され、長期間にわたりローン審査に悪影響を及ぼします。
万が一、引き落としを忘れてしまった場合は、次回の支払いで速やかに対応すれば問題にならないケースが多いですが、長期間の延滞には十分注意が必要です。
奨学金が影響する可能性のあるローン審査
奨学金が影響を及ぼす可能性のあるローン審査は複数あります。ここでは、具体的にどのようなローン審査で影響が出るのかを解説します。
クレジットカードの審査に与える影響
キャッシュレス化が進む中、クレジットカードは社会人にとって必須のアイテムです。しかし、カードの審査では奨学金の返済状況も考慮されます。
限度額に影響する可能性
クレジットカードには利用限度額が設定されます。これは一律ではなく、申請者の支払い能力に応じてカード会社が決定します。
例えば、50万円の限度額を希望しても、奨学金の借入が多いと、10万円に制限されることがあります。順調に奨学金を返済しており、年収や職業のステータスが高い場合は、限度額が引き上げられる可能性もあります。
過去の滞納履歴が審査落ちの原因になるケース
信用情報機関に滞納履歴が残っていると、クレジットカードの審査に落ちる可能性が高くなります。
信用情報機関ごとに滞納履歴の記録期間が異なり、
- JICC(日本信用情報機関)・KSC(全国銀行個人信用情報センター):3か月以上の延滞で記録
- CIC(割賦販売法・貸金業法指定信用情報機関):61日以上の延滞で記録
特にCICでは2か月遅れると履歴が残るため、1か月目の時点で気づいたらすぐに対処することが重要です。
住宅ローン審査と奨学金の関係
住宅ローンの審査でも、奨学金の借入は大きく関係します。
借入可能額が減る理由(返済負担率とは?)
奨学金の借入額が多いと、住宅ローンの借入可能額が減ることがあります。これは、返済負担率(年間返済額 ÷ 年収 × 100)に影響を与えるためです。
金融機関では、一般的に返済負担率が30〜35%以下であることが求められます。奨学金の借入が原因でこの基準を超えると、住宅ローンの審査に通らない可能性があります。
返済履歴が審査の可否を左右する
住宅ローンでも、クレジットカードと同様に返済履歴が重視されます。遅延があると審査に通りにくくなるため、支払いを遅らせないよう注意が必要です。
夫婦のペアローンへの影響
共働き夫婦がペアローンを組む場合、一方に奨学金の借入があると審査に影響を与える可能性があります。ただし、延滞なく支払いを続けていれば問題にならないケースも多いです。
奨学金がある状態でローン審査を通すポイント
奨学金を返済中でも、住宅や車を購入したいと考える方は多いでしょう。ここでは、奨学金があってもローン審査を通過しやすくするためのポイントを紹介します。
返済負担率を下げる工夫
返済負担率が高いと、審査落ちの要因になります。以下の方法で負担率を下げることが可能です。
- 頭金を増やす:借入額を減らすことで負担率を抑えられます。
- 金利の低いローンを選ぶ:利息負担を軽減し、返済総額を抑えることができます。
繰上返済で残債を減らす
繰上返済を行うと、奨学金の元本を減らすことができ、ローン審査で有利になります。スカラネット・パーソナルを利用すれば、オンラインで手続きが可能です。
借入額を調整する
住宅ローンでは、不要なオプションを省くことで借入額を減らし、審査の通過率を上げることができます。返済比率を20%前後に抑えるのが理想的です。
信用情報をチェックし、問題を確認する
ローン審査では、信用情報が重要視されます。事前にCICやJICCで情報を開示し、問題がないか確認しましょう。
信用スコアを改善するコツ
- 延滞しない:支払いを遅れずに行う。
- 複数のクレジットカード申請を控える:短期間で複数の申し込みを行うと信用スコアが低下します。
安定した収入をアピールする
収入が安定していれば、奨学金が残っていてもローン審査でプラスに働きます。
転職直後は不利になる可能性
転職直後は勤続年数が短く、審査に通りにくくなります。転職後は一定期間働いてからローンを申請するのが望ましいです。
収入証明の準備と提出のポイント
ローン申請時には、直近の源泉徴収票や確定申告書などの収入証明が必要になります。最新の書類を準備し、勤務先と申請内容が一致していることを確認しましょう。
奨学金を完済してからローンを組むべきか?
奨学金が残っている場合、ローン審査に通りにくくなる可能性があります。
資金に余裕があれば、まず奨学金を完済してから新たなローンを組むのが理想的です。
ここでは、繰上返済がローン審査に有利に働くのか、また奨学金を返済しながらローンを組むメリット・デメリットについて解説します。
繰上返済でローン審査は有利になる?
奨学金を早期に完済できる場合、ローン審査で有利になる可能性があります。
以下のような点がプラスに評価されるためです。
- 負債が減る:奨学金の残高がなくなることで、新たなローンの借入可能額が増える。
- 信用力の向上:繰上返済できる経済力があると判断され、金融機関からの信頼度が上がる。
ただし、住宅ローンを組む際には、繰上返済によるデメリットも考慮する必要があります。
- 頭金が不足する可能性:繰上返済に資金を使いすぎると、頭金に充てられる額が減り、ローン審査が厳しくなることも。
- 貯蓄が減る:すべての資金を奨学金の返済に回すと、突発的な支出に対応しにくくなる。
繰上返済をする場合は、住宅ローンの頭金や生活資金を確保した上で検討することが大切です。
奨学金を返済しながらローンを組むメリット・デメリット
奨学金を完済せずに住宅ローンや自動車ローンを組む選択肢もあります。
その場合のメリットとデメリットを整理しておきましょう。
メリット
- 資金を確保しやすい:無理に繰上返済せずに、手元資金を残せる。
- 計画的なローン返済が可能:奨学金と住宅ローンを並行して支払い、ライフプランに合わせた返済ができる。
デメリット
- 借入可能額が減少する:奨学金の残高が多いと、住宅ローンや自動車ローンの借入上限が低くなる。
- 信用情報に影響:奨学金の返済履歴が信用情報に残るため、延滞履歴があると審査に通りにくくなる。
奨学金を返済しながらローンを組む場合は、延滞せずに返済を続けることが重要です。
奨学金の影響を最小限に抑えるライフプランの考え方
無理に大きなローンを組むと、返済負担が重くなり生活に支障をきたす可能性があります。
そのため、奨学金が残っている場合は、慎重にライフプランを設計しましょう。
- 支出のバランスを確認:奨学金・住宅ローン・生活費を計算し、無理のない返済計画を立てる。
- 貯金を確保する:ローン返済に追われて貯蓄ができない状態にならないよう注意する。
- 繰上返済のタイミングを見極める:余裕があるときに部分的に繰上返済を行い、負担を軽減する。
計画的な資金管理を行うことで、奨学金とローンの影響を最小限に抑えながら、安定した生活を維持することが可能になります。
まとめ|奨学金とローン審査の関係を正しく理解しよう
奨学金は「借金」として扱われるため、新たにローンを組む際には注意が必要です。
特に、信用情報機関(CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センター)に記録されるため、延滞すると信用スコアに悪影響を及ぼします。
ローンの審査を通過しやすくするためには、以下の点を意識しましょう。
繰上返済を検討する:奨学金を完済すれば、ローン審査に有利になる。
返済負担率を下げる:頭金を増やし、借入額を抑えることで審査通過の可能性が高まる。
信用情報を良好に保つ:延滞せずに返済を続けることで、信用スコアを維持する。
奨学金を完済するか、並行してローンを組むかは、自身のライフプランや資金状況に応じて慎重に判断することが重要です。