今回は、「奨学金バンクとSDGs」というテーマでお話をしたいと思います。
私たち奨学金バンクの取り組みは、SDGsの目標1(貧困をなくそう)、4(質の高い教育をみんなに)、8(働きがいも経済成長も)、10(人や国の不平等をなくそう)に深く関わっています。
SDGsは「持続可能な社会づくり」のための目標ですが、その本質を突き詰めると、「この社会を、子どもや孫たちに引き継いでいいか?」という問いに行きつくと思うんです。
そこで、私が強く課題意識を持っているのが奨学金問題です。
この10年で、奨学金の貸与総額は約2兆円増加し、いまや大学生の2人に1人が奨学金を借りています。
平均借入額は約300万円、それを15年かけて返すというのが、今の日本の現実です。
この状況に対して、SNSなどでは「自己責任」「借りたんだから返せ」という声も多く見られます。
もちろん、そういう一面もあります。
でも、私がジャーナリストの方と話したときに出た言葉が、ずっと胸に残っています。
それは、
「貧困は貧困を生む」
という言葉です。
奨学金は、経済的に苦しい家庭の学生が進学のためにやむを得ず借りるもの。
しかし、その返済に追われ、結果としてまた生活が苦しくなる。
その子どもも、同じ状況に直面する。
こうして、貧困の連鎖が広がっているのです。
これは、個人の努力や責任ではどうにもならない構造的な問題です。
だからこそ、私たちはこの状況に対して、「助け合い」や「セーフティネット」をしっかり用意すべきだと考えています。
学校に行くことが将来的な負担につながる社会ではなく、
誰もが未来に希望を持てる社会にしたい。
それが、私が奨学金バンクを通じて取り組んでいるSDGsの本質的なテーマです。
短期的な解決ではなく、中長期的な視点で、
持続可能で誰もが教育を受けられる社会を一緒に目指していけたらと思います。
今後とも、奨学金バンクの活動への応援をよろしくお願いいたします。