今回は、朝日新聞に掲載されていた埼玉県の私立高校と奨学金に関する記事についてお話しします。
埼玉県では、中学生の約9割が受けるといわれる民間模試「北辰テスト」があります。
このテストは高校入試や特待生制度の判定に使われることが多く、事実上、受けないと不利になる仕組みができあがっているそうです。
記事によると、この北辰テストの結果が、奨学金を支給するかどうかの判断材料として使われているケースがあるとのことです。
文部科学省の阿部氏は、9月30日の閣議後の会見で、高校の入学選抜は公教育にふさわしい適切な資料に基づいて行うべきであり、民間業者のテスト結果を基準にすることは望ましくないと述べています。
一見、当たり前のことのように聞こえますが、現実には民間テストの結果が奨学金や進学のチャンスに影響を与えている状況があります。
これは学力評価が一部のテストに偏ってしまい、教育の公平性を損ねる可能性があるということです。
奨学金制度は、本来、経済的に困っている生徒が安心して学べるように支えるための仕組みです。
それが学力テストのスコアで左右されてしまうと、支援の本質が見失われてしまいます。
教育機会の公平性を守るためには、制度の透明性や運用の基準を見直すことが求められています。
奨学金は、成績の優劣を競うためのものではなく、すべての子どもたちに平等な学びの機会を届けるための社会の仕組みであるべきです。