2025年度、コープみらい財団は「コープみらい奨学生」として新たに700人の高校生を採用し、月額1万円を返済不要で最大3年間給付する取り組みを実施しています。この制度は経済的に厳しいひとり親家庭の高校生を対象とした支援であり、全国的に見ても希少な「返済義務のない奨学金」として注目を集めています。
こうした返済不要型の奨学金が広がる一方で、日本の多くの学生が奨学金という名の「借金」を背負いながら学び、卒業後に返済に苦しむ現実が依然として存在します。日本学生支援機構(JASSO)が提供する貸与型奨学金は、卒業後に長期にわたって毎月返済が求められる仕組みであり、進学後の生活費や家賃に充てられる反面、社会人になってからの経済的負担は決して小さくありません。
「奨学金返済」という言葉には、夢を追いかける若者たちの希望とともに、重くのしかかる責任が隠れています。中には、卒業後の収入が想定より少なかったり、病気や離職などで返済計画が狂ったりするケースも少なくありません。特に近年では、非正規雇用の増加や物価高騰の影響もあり、奨学金返済が生活を圧迫し、結婚や出産といったライフイベントの足かせになっているという声も聞かれます。
このような状況を背景に、返済不要型の奨学金制度が果たす役割は非常に大きくなっています。コープみらい奨学金のように、地域や組合員の寄付によって成り立つ制度は、まさに「助け合いのかたち」として機能しており、子どもたちが安心して学べる環境をつくる土台になっています。2024年度の募金総額は1.7億円にものぼり、奨学金を受ける高校生の数も年々増加しています。
一方で、こうした給付型奨学金の恩恵を受けられるのは一部の学生に限られており、まだまだ大多数の学生が貸与型に頼らざるを得ないのが現状です。だからこそ、奨学金返済の問題は、個人の努力や家庭の事情だけで片づけるものではなく、社会全体で考えるべき課題と言えます。
教育は未来への投資です。その投資が、将来の足かせになるのではなく、本当に希望を叶える力となるように、返済不要型奨学金の拡充と、奨学金返済制度そのものの見直しが今こそ求められています。そして、私たち一人ひとりが、「学びたい」と願うすべての若者たちを支える仕組みに関心を持つことも、未来の社会づくりに欠かせない一歩です。
出典元:【コープみらい】2025年度 「コープみらい奨学生」 新たに700人を決定3学年合計で1,724人に給付|PR TIMES