福井県敦賀市は、本年度から所得制限なしの奨学金返済支援制度を創設しました。この新制度は、大学などを卒業後に敦賀市に居住し、正社員として就業した場合、最大300万円を返済支援するものです。この取り組みは、若者のUターンを促進し、地域の人口減少に歯止めをかけることを目的としています。
敦賀市の新しい奨学金返済支援制度は、全国的にも珍しい所得制限なしの仕組みです。市は、今年度当初予算に7億5千万円の基金を積み立て、返済支援の原資としています。具体的には、今年4月1日以降に県内外の大学や短大、高専に入学した市民が対象で、卒業後にUターン就職し3年間市内に居住することを条件に、最大300万円の返済支援とローンの利子相当額の補助が受けられます。
敦賀市は、官民連携の奨学金返済支援とは別に、所得制限のある「奨学育英資金貸付金」も提供しています。この制度は、世帯所得300万円未満の学生を対象に、最大270万円を無利子で貸し付け、卒業後に市内に居住し就労すれば返済が免除されます。これらの制度を組み合わせることで、5年間に約250人が支援を受けられると見込んでいます。
さらに、大学などを卒業後に市内の企業に就職する場合、奨学金の返済を市と企業が協力して最大150万円支援する制度も新たに設けました。この制度は、市内企業の協力を得て本年度中に準備を進め、来年度からの支援開始を予定しています。
これら三つの支援制度を総称して「ホームタウン奨学金」と位置づけ、敦賀市は若者のUターンやIターンを促進し、地元企業の人手確保を目指しています。特に県外の大学や短大を卒業した県内出身学生のUターン就職率が毎年3割前後にとどまっている現状を踏まえ、積極的な対策を打ち出しています。
敦賀市は、若者の市外流出により婚姻数や出生数の低下が深刻な課題となっています。2023年の市内の出生数は368人で、10年前の6割弱に落ち込み、人口もこの10年間で約5千人減少しています。このような状況に対応するため、奨学金返済支援制度は重要な施策となっています。
敦賀市の新しい奨学金返済支援制度は、若者が地元での就職と定住を選びやすくするための画期的な取り組みです。所得制限を設けず、幅広い学生を対象とすることで、多くの若者にとって魅力的な支援制度となっています。この制度を通じて、敦賀市は地域の活性化と人口減少問題の解決に向けて大きな一歩を踏み出しています。
出典元:最大300万円…所得制限なしの奨学ローン返済支援制度を創設 福井県敦賀市、原資に7億5千万円|福井新聞ONLINE