東京都世田谷区は、2024年度から生活保護世帯の子どもを対象とした新たな支援策として、給付型奨学金の設立を発表し、これにより大学進学を目指す若者へのサポートを強化する方針を打ち出しました。この施策は、学費を年間50万円を上限とし、教材費・交通費を実費で支給するものであり、全国的にも珍しい取り組みです。
保坂展人区長は、記者会見で「国の制度の隙間で進学をあきらめている若者がいる。進学にブレーキがかかってしまう状況を改善したい」と述べ、奨学金設立の目的を説明しました。
生活保護制度の下では、保護費を受けながら大学に通うことは認められておらず、これまで進学を諦めるしかなかった若者たちにとって、この新設の奨学金は重要な支援手段となります。世田谷区の奨学金は生活保護を受給している子どもたちを対象に、学費をサポートし、進学の障害を取り除くことを目指しています。
奨学金の対象人数は在学生を含めて約60人であり、成績要件はなく、中途退学した場合も返還が不要です。これにより、経済的な理由で進学を諦めていた若者たちに新たな可能性を提供することが期待されます。対象者にはケースワーカーを通じて情報提供が行われ、進学に向けたサポートが充実しています。
厚生労働省によると、2022年の統計において、全世帯の大学等への進学率は76.2%であるのに対し、生活保護世帯は42.4%にとどまっています。この差を埋めるための取り組みとして、世田谷区の奨学金制度が一役買うことが期待されます。
出典元:生活保護世帯の子どもにも大学進学の機会を 世田谷区が独自の給付型奨学金 学費を年間で最大50万円|東京新聞 TOKYO Web