厚生労働省は、医療・介護分野を成長産業として発展させるため、海外の活力を取り込む新たな取り組みをまとめた「国際保健ビジョン」案を発表しました。これには、アジア諸国の医療人材育成を目的とした留学生向け奨学金制度の整備や、国内大学の医学部に20人程度の留学生を受け入れる実証事業の実施が含まれています。
この「国際保健ビジョン」案では、日本の高い医療技術やサービスを求めて訪れる海外患者の受け入れを強化する「医療インバウンド」の推進も掲げられています。具体的には、医療機関に通訳者やコーディネーターを配置し、受け入れ体制を整えるとともに、日本の医療モデルをアジア地域へ広げることが目指されています。
また、新薬開発力の強化にも力を入れており、海外企業との連携による国内拠点の整備や、基礎研究段階からの支援が計画されています。さらに、海外の医薬品の実用化を迅速に進めるために、国内での薬事承認の申請資料を全面的に英語化することも検討されています。
厚生労働省は、これらのビジョンを実現するため、26日に武見厚生労働大臣を本部長とする「国際戦略推進本部」の会合を開き、正式に公表する予定です。この取り組みは、日本の医療・介護分野の国際競争力を高める重要な一歩となるでしょう。