従来、奨学金を申請するためには、必要事項を記入した書類を郵送する必要がありました。
しかし、現時点で日本学生支援機構(JASSO)から奨学金を借りる場合は、オンラインを利用した手続きが必要です。
その際に利用するWebサイトが、この記事でご紹介する「スカラネット」です。
この記事では、スカラネットとは何か、基本情報を解説したうえで、スカラネットの利用方法や申請できる奨学金の種類などもお伝えします。
スカラネットとは何か?基本情報を解説
スカラネットとは、日本学生支援機構(JASSO)が提供する奨学金に関するオンラインシステムです。
まずはスカラネットとは何か、その概要と役割などの基本情報をご紹介します。
スカラネットの概要とその役割
スカラネットとは、日本学生支援機構(JASSO)が運営する奨学金申込手続き専用のWebサイトです。
進学を予定している高校生だけでなく、大学や専門学校などに在籍中の学生も利用できます。
なお、スカラネットの種類と特徴は次の通りです。
【スカラネットの種類と特徴】
スカラネット:奨学金の申込専用サイト
スカラネット・パーソナル:借入中の奨学金の管理や継続願の提出といった手続きを行うサイト
スカラネットは奨学金を申し込む時だけ利用します。
一方のスカラネット・パーソナル(SP)は、奨学金の利用開始から返還まで一貫して使用するマイページです。
スカラネットを利用するための条件
スカラネットを利用するためには、以下の条件を満たす必要があります。
<スカラネットの利用条件>
・日本学生支援機構(JASSO)奨学金の申込対象者であること
・学校からユーザーIDとパスワードが交付されていること
・インターネットの接続環境が整っていること
申込対象者は「予約採用で奨学金を申し込む高校生」「在学中の大学生や専門学校生など」です。
これらの条件を満たしていても、留年中は申し込みができない可能性があります。
オンライン手続きと従来の手続きの違い
従来は、申込用紙に手書きで必要事項を記入して奨学金を申請する手続きが必要でしたが、近年のデジタル化に伴い、現在はオンライン手続きによる奨学金申請が主流です。
オンライン手続きへの移行に伴い、必要事項を専用フォームに入力して送信するだけで申請が完了するため、手続きが簡略化されています。
マイナンバーカードの写しなどの本人確認書類や一部の必要書類を郵送する手間もかかりません。
また、申請後は申込状況や審査結果の確認も可能です。
日本学生支援機構(JASSO)との関係
先述した通り、スカラネットは日本学生支援機構(JASSO)が運営しています。
ここからは、スカラネットとJASSOにはどのような関係性があるのかについてご紹介します。
日本学生支援機構(JASSO)の役割とは
日本学生支援機構(JASSO)は、学生の就学環境を整え、次世代の人材を育成する目的を持つ独立行政法人です。
学生に向けて奨学金を貸与するほか、留学生を支援してグローバル化を促進したり、学生生活が円滑に進むよう支援したりといった役割を果たします。
スカラネットとJASSOのつながり
JASSOは奨学金事業を行う母体であり、スカラネットはJASSOの奨学金を申請するために利用する窓口です。
JASSOの奨学金は多くの人が利用するため、効率的な事務処理を行うためにはスカラネットが欠かせません。
また、JASSOはスカラネットを通じて奨学金に関する情報を学生に発信しています。
JASSOが提供するその他のサポート
先述した通り、JASSOは奨学金事業のほかに留学生支援事業と学生生活支援事業を展開しています。
それぞれの細かなサポート内容は次の通りです。
【JASSOが提供するその他のサポート】
留学生活支援事業:外国人留学生の受け入れや日本人留学生の派遣支援
学生生活支援事業:キャリア教育や就職支援、障がいを持つ学生への支援など JASSOはこれらの幅広い事業を通じて、日本で学ぶ学生や日本人留学生の支援を行っています。
奨学金申請時にスカラネットが必要な理由
奨学金を申請する際にスカラネットを通す理由は大きく分けて3つです。
オンラインを活用するようになった背景も含めてご紹介します。
奨学金手続きの効率化を実現するスカラネット
日本学生支援機構(JASSO)は、1年ごとに多くの学生から奨学金の申請を受け付けており、事務処理に膨大な手間をかけています。
スカラネットの導入により、学生のデータを効率的に収集してまとめられることに加えて、一部の審査も自動化できるため、効率化を実現するために役立っているのです。
書類申請からオンライン申請への移行背景
スカラネットは、かつて紙媒体の種類申請を受け付けていましたが、先述した効率化の一環としてオンラインへの移行を果たしました。
書類申請の時代は、学生が手書きで必要事項を記入していたため、誤字脱字や記入漏れなども見られましたが、オンライン移行によりそのようなトラブルも抑止できます。
また、審査時に必要な書類としてマイナンバーカードの写しが必要になったことも、オンライン申請に移行した背景の一つです。
マイナンバーの写しを郵送で提出する場合、個人情報流出の懸念がありましたが、オンライン移行に伴い、このリスクも低減できます。
スカラネットでしかできない手続きとは
現時点で、JASSOの奨学金を新規で申請できるのはスカラネットのみです。
先述したように、かつては紙の申請書を郵送する形での奨学金申請が行われていましたが、現在は原則として廃止されています。
また、スカラネット・パーソナルでは、毎年12月頃から実施される奨学金継続願の提出や毎年4月・10月に行う在籍報告の提出などの手続きが可能です。
さらに、奨学金貸与証明書の発行依頼や振替用口座の登録・変更をはじめとする返還手続きの一部なども、スカラネット・パーソナルから行います。
スカラネットで利用できる奨学金の種類
スカラネットで利用できる奨学金にはいくつかの種類があります。
奨学金の種類ごとの特徴を見てみましょう。
第一種奨学金(利息なし)の特徴
第一種奨学金(利息なし)は、無利子で貸与される奨学金です。
後述する第二種奨学金(利息あり)と比較して、学力と家計の審査基準がいずれも厳しく設定されています。
「所得連動返還方式」と「定額返還方式」のいずれかを選択できることも、第一種奨学金(利息なし)の特徴です。
第二種奨学金(利息あり)の特徴
第二種奨学金(利息あり)は、在学中から卒業後までの金利が発生する奨学金です。
月額2万円〜12万円の範囲内で融資を受けられます。
学力基準と家計基準の両方が第一種奨学金(利息なし)よりも緩く、より多くの学生を対象としていることが特徴です。
給付型奨学金とスカラネットの関係
給付型奨学金とは、上記2つの奨学金とは異なり、返済する必要のない奨学金です。
主に経済的に困窮した家庭の学生を対象としており、家計基準により支援額が変動します。
災害や失業といった問題が発生し、緊急的に奨学金が必要となった学生の支援も行っています。
なお、給付型奨学金は「授業料等減免」と「給付奨学金」がセットです。
返還不要の奨学金を受け取ることに加えて、高等教育を受けるために必要な入学金と授業料も減免されます。
スカラネットを使った具体的な申請方法
ここまでお伝えした通り、スカラネットは日本学生支援機構(JASSO)に奨学金を申請するうえで必要不可欠なWebサイトです。
ここからは、スカラネットから奨学金を申請する場合、どのような流れで手続きを行うのかについて解説します。
スカラネットへのログイン方法
スカラネットにログインするためには、学校から配布されたユーザーIDとパスワード、さらに「奨学金確認書兼地方税同意書」に記載されたIDと初期パスワードが必要です。
これらの情報は、学校などが開催する奨学金の説明会で受け取れます。
上記の情報を取得できたら、PCやタブレットなどの端末からスカラネットにアクセスしましょう。
ログイン画面にIDとパスワードを入力すると、スカラネットにログインできます。
初めてスカラネットを利用する際は、メールアドレスの入力も求められるため、事前に利用可能なメールアドレスも用意しておきましょう。
奨学金申請に必要な情報と書類の準備
スカラネットで奨学金申請を行う際は、学生本人の情報に加えて、父母などの保護者の情報を入力する必要があります。
学生本人の情報としては、氏名や生年月日、緊急連絡先、学歴や成績、奨学金が必要な理由などの入力が必要です。
事前に「スカラネット入力下書き用紙」が配布されるため、これに必要事項を記入し、誤りがないか確認したうえでオンライン入力を行いましょう。
なお、必要書類の種類により、以下のように提出方法が異なります。
【必要書類ごとの提出方法】
JASSOに簡易書留で送付:奨学金確認書兼地方税同意書、本人確認書類のコピー
スカラネットで提出:マイナンバー
学校へ提出(対象者のみ):在留カード、在籍証明書、収入証明書など
一部の書類は簡易書留で提出する必要があります。
送付先などの情報はスカラネットから確認しましょう。
申請フォーム入力から送信までの流れ
スカラネットにログインし、申請フォームを開いて、基本情報や利用する保証制度、収入、成績などの情報を入力・選択します。
すべての項目を埋め終えたら、最終確認画面を開き、入力・選択した内容に誤りがないか確認しましょう。
問題がなければ送信ボタンを押します。
情報の送信後は、自動的にマイナンバー提出サイトに移動するため、案内に従ってマイナンバー情報を入力しましょう。
学生本人に加えて、父母などの生計維持者のマイナンバーも必要です。
マイナンバーの提出をもって、JASSOへの奨学金申請が完了します。
申請完了後には受付番号が表示されます。
受付番号は問い合わせ時などに必要になるため、必ず控えておきましょう。
申請後はJASSOによる審査が行われるため、結果が案内されるまでしばらくそのままの状態でお待ちください。
入力時の注意点と確認ポイント
スカラネットを利用して、奨学金を申し込む時の注意点と確認ポイントは主に3つです。
それぞれのポイントについて、項目ごとに分けてお伝えします。
入力ミスを防ぐためのチェックリスト
入力ミスを防ぐために有益な方法をリストアップします。 <入力ミスを防ぐためのチェックリスト>
・スカラネット入力下書き用紙を利用する
・家族や先生に記入漏れがないか確認してもらう
・全角、半角、フリガナなどを入力形式に合わせて選ぶ
・必要事項は必ず記入する
・最終確認画面を細かくチェックする
特に重要なのは、支給されるスカラネット入力下書き用紙を利用することです。
これにあらかじめ必要事項を記入して、家族や先生に記入漏れや誤字脱字がないかチェックしてもらいましょう。
スカラネットでは、作成した下書きに沿って入力を行えば入力ミスを防ぎやすくなります。
不備があった場合の対応方法
万が一スカラネットの入力に不備があった場合は、受付番号が発行された日の翌日から5日間以内であればスカラネットから修正が可能です。
スカラネットにログインして「申込内容の確認・訂正」ボタンをクリックし、不備が発生している箇所を修正しましょう。
上記の期間が経過した後は、スカラネットを使った修正ができなくなります。
この場合は、学校の奨学金担当窓口に相談し、不備があることを伝えましょう。
JASSOから直接連絡が届く可能性もあるため、JASSOから電話がかかってきた場合は、必ず応答することが大切です。
提出期限を守るためのポイント
スカラネットの提出期限を守るためには、期限を正確に把握することが重要です。
奨学金の申請期限は、以下のように複数に分かれている場合があります。
<スカラネットの提出期限>
・オンライン入力期限
・マイナンバー提出期限
・郵送する書類の必着期限
・学校に提出する書類の期限
学校に提出する書類の期限は、スカラネットのオンライン入力期限よりも早い場合が多いです。
それぞれの提出期限を確認し、カレンダーに記入するなどの対策を行い、計画的に準備を進めましょう。
よくあるトラブルとその解決方法
スカラネットでよくあるトラブルと、その解決方法をお伝えします。
期限が迫った状態でトラブルが発生すると、奨学金の申請が間に合わなくなるおそれがあるため、時間に余裕を持って手続きを行いましょう。
ログインできない場合の対処法
スカラネットにログインできない場合は、ユーザーIDやパスワードといった入力情報が間違っている可能性が高いです。
全角・半角、大文字・小文字が区別されるため、正確に入力しましょう。
3回連続でログインに失敗するとエラーが発生するため、一度ブラウザを閉じてからやり直してみてください。
必要書類が不足している場合の対応
申請前に必要書類が不足していることに気付いた場合は、役所や学校などの機関に問い合わせを行い、再発行の手続きを行いましょう。
書類によっては取得まで数日〜数週間かかるものもあるため、間に合わない場合は学校の奨学金担当窓口に相談してください。
奨学金申請後に不足が発覚した場合も基本的な対処法は同じです。
JASSOから必要書類の不足を指摘された場合は、不足している書類の内容を細かく確認してください。
担当者から再提出の方法が指示されるため、案内に従って書類を提出しましょう。
奨学金申請後の確認手続きの方法
奨学金申請後に確認したいことがある場合は、スカラネットにログインして情報を取得します。
ログイン後に「申込内容の確認・訂正」もしくは「申込状況の確認」を選択すると、申込内容や審査状況の一部を確認することが可能です。
まとめ
スカラネットは、日本学生支援機構(JASSO)が運営する奨学金申請専用のWebサイトです。
また、借り入れた奨学金の確認や各種申請を行うWebサイトとして、スカラネット・パーソナルが運営されています。
まずは学校などで行われる説明会に参加し、ログイン用のユーザーIDやパスワードを取得しましょう。
期限までに余裕を持たせて申請を完了させることが、スカラネットを利用するうえで最も重要です。