奨学金は、日本において非常に大きなマーケットです。
貸与総額は約9兆5,000億円、返済しながら働いている人は約490万人。令和7年10月時点の調査では、平均借入額は約330万円で、返済期間は15年に及びます。
これほど大きな規模でありながら、奨学金をテーマに社会課題の解決に本気で取り組む企業は、実は非常に少ないのが現状です。私の認識では、奨学金バンクと、ガクシーの2社ほどしかありません。
なぜ、この分野はなかなか広がらないのか。
奨学金に関わる事業を続ける中で、主に2つの理由があると感じています。
1つ目は、現状が正しく知られていないことです。
30年前と今とでは、奨学金を取り巻く環境は大きく変わっています。しかし、多くの人は過去のイメージのままで、現在の奨学金の実態を十分に理解していません。この認識のギャップが、課題解決への関心を低くしている要因の一つだと思います。
2つ目は、助ける、解決するという思想が日本では育ちにくいことです。
資本主義社会の中では、どうしても利益が優先されがちです。SDGsが広がっているとはいえ、社会課題を本気で解決しようとする企業文化や思想は、まだ十分に根付いているとは言えません。
この2つ、正しく知られていないこと、そして社会課題を解決しようとする思想が育ちにくいこと。
これが、奨学金に限らず、社会課題解決型ビジネスが大きく育たない理由ではないかと感じています。
奨学金バンクは、これからも奨学金の課題と正面から向き合い、少しずつでも解決に向けて取り組んでいきます。
この分野が広がり、次の担い手が生まれる土壌を作ることも、私たちの役割だと考えています。