奨学金バンクの事業を始めてから約2年。準備期間を含めると3年以上、奨学金という制度と向き合ってきました。これまで多くの奨学金利用者と出会い、数えきれないほどの声を聞いてきました。
その中で、最近あらためて考えていることがあります。
奨学金は、いったい何のために借りるのでしょうか。
現在、日本では約490万人が奨学金を返済しながら働いています。毎年約20万人が平均300万円前後を借り、15年ほどかけて返済していきます。中には1,000万円近く借りている人もいます。
高校卒業のタイミング、10代で数百万円、場合によっては1,000万円近い借用書に判を押す。その決断が、社会人としてのスタートを「マイナスから」にしてしまう現実があります。
もちろん、奨学金は学ぶ機会を広げる大切な制度です。経済的理由で夢を諦めてほしくない。その想いは、私自身も強く持っています。
しかし、大学で学ぶことが最終ゴールではありません。
夢を実現するための通過点であるはずです。
もし返済が人生設計に大きく影響し、結婚や出産、挑戦の選択肢を狭めているとしたら、それは本来の目的とズレてしまっているのではないでしょうか。
奨学金は「借りること」だけで完結する制度ではありません。
入口の説明、リスクの理解、返済の選択肢、給付の拡充、出口支援まで含めた“トータル設計”が必要です。
10代に大きな意思決定を委ねる以上、大人が責任を持って制度を整えなければならない。
奨学金が足かせではなく、本当に夢の実現につながる仕組みであるために。