大学進学に伴う経済的負担は、奨学金返済の問題だけに留まりません。滑り止め大学の入学金「二重払い」という現実が、多くの家庭にさらなる経済的プレッシャーを与えています。最近の調査によると、大学生の4人に1人が二重払いを経験しており、一部の私立医歯系学部では100万円以上もの入学金が必要となる場合もあります。この負担は、特に奨学金の利用を余儀なくされる家庭にとって深刻な問題です。
二重払いの背景には、各大学の入学金納付期限の違いがあります。滑り止めの大学の納付期限が第1志望校の合否発表より早い場合、進学の意志がない大学にも一時的に入学金を支払わざるを得ません。結果として、この費用は返金されないため、家庭にとっては無駄な出費となります。
文部科学省の統計によれば、2023年度の大学入学金は国立大で28万2000円、公立大で約37万円、私立大では平均約24万円とされていますが、学部や大学によってはこの額が大幅に上回ることもあります。この高額な初期費用に加え、奨学金返済が将来的な負担となる現状では、学生とその家庭にとって進学は一層の重圧となりかねません。
奨学金返済の問題は、こうした進学時の経済負担と密接に関わっています。進学に必要な高額の初期費用を賄うために奨学金を借りる場合、その返済は卒業後も長期間続きます。特に、二重払いによってさらに借入額が増えることは、若者たちが負う経済的リスクを高める要因となります。
この問題に対し、若者グループ「入学金調査プロジェクト」は、大学に入学金納付期限の延長や合格発表の早期化を求めています。これらの改善策が実現すれば、不要な二重払いを減らし、家庭の経済負担を軽減できるでしょう。また、奨学金制度の見直しとともに、こうした初期費用に対する給付型支援の拡充も重要です。
進学時の経済的な壁を取り除くためには、制度や社会全体の支援が不可欠です。二重払いの解消と奨学金制度の改善は、学生たちが学びに専念し、夢を実現するための大切な一歩となるでしょう。