給付奨学金で「警告」を受けても、その時点で奨学金の支給が止まるわけではありません。警告中も給付は継続します。
ただし、次回の適格認定でも警告に該当すると、原則として「廃止」となります。例外として、2回目の警告理由が「GPA等が学部等における下位4分の1」のみである場合は、廃止ではなく「停止」になります。ただし、3回連続で警告となった場合は、この例外の対象外です。
警告の主な基準は、次の3つです。
- 修得単位数の合計が標準単位数の7割以下
- GPA等が所属する学部等の下位4分の1
- 出席率8割以下など、学修意欲が低いと学校が判断した場合
本記事では、警告・停止・廃止の違い、1回目と2回目の扱い、単位数・GPA・出席率の基準、処置通知を受け取った後に確認すべきことを解説します。
奨学金の「警告」を受けても支給はすぐには止まらない
給付奨学金の警告は、「学業成績や学修状況の改善が必要であり、次回も基準を満たさない場合は、支給停止や資格の廃止につながる可能性がある」という注意・指導です。
警告を受けた時点では、給付奨学金の支給は継続します。そのため、「警告通知が届いたらすぐに振込みが止まる」というわけではありません。
一方で、警告を受けた後も同じ状態が続き、次回の適格認定でも警告に該当すると、理由に応じて停止または廃止になります。処置通知を受け取ったら、警告の理由と次回の判定時期を必ず確認しましょう。
継続・警告・停止・廃止の違い
| 判定 | 給付奨学金 | 主な意味 |
|---|---|---|
| 継続 | 支給継続 | 警告・停止・廃止の基準に該当しない |
| 警告 | 支給継続 | 学業成績や学修状況の改善を求められる |
| 停止 | 支給中断 | 一定の条件を満たすと、次回判定後に再開できる可能性がある |
| 廃止 | 支給終了 | 給付奨学生としての資格を失う |
| 廃止・返還必要 | 支給終了 | 受給済みの給付奨学金について返還を求められる |
「停止」は一時的な中断ですが、「廃止」は給付奨学生としての資格を失う処置です。
また、学業成績が著しく不良で、災害や傷病などのやむを得ない事情が認められない場合には、廃止に加えて、すでに受け取った給付奨学金の返還を求められることがあります。
1回目・2回目・3回目の警告はどうなる?
警告を受けた回数と理由によって、次回の処置が異なります。
| 状況 | 原則的な扱い |
|---|---|
| 1回目の警告 | 支給は継続 |
| 2回連続の警告で、2回目がGPA下位4分の1のみ | 停止 |
| 2回連続の警告で、単位数・出席率などにも該当 | 廃止 |
| 3回連続の警告 | GPAだけが理由でも、停止の例外対象外 |
2回目の警告だから必ず廃止になるわけではありません。
重要なのは、2回目の警告理由がGPAだけなのか、単位数や出席率などにも該当しているのかという点です。処置通知では「警告」という名称だけでなく、判定理由も確認してください。
給付奨学金の適格認定はいつ行われる?
給付奨学金では、採用後も学業成績や学修状況、生活状況などについて「適格認定(学業)」が行われます。
原則として、適格認定は学年末に実施されます。2年制以下の短期大学・専修学校や高等専門学校などでは、学年の半期ごとに実施される場合があります。退学などによって支給が終了するときも、適格認定の対象になることがあります。
学校は学生の学修状況を確認し、その結果を日本学生支援機構(JASSO)へ報告します。JASSOは、その認定に基づいて給付奨学金の継続、警告、停止、廃止などの処置を行います。
給付奨学金で警告になる基準①:修得単位数
修得した単位数の合計が標準単位数の7割以下である場合、警告の基準に該当します。
標準単位数の計算方法
標準単位数は、原則として次の式で計算します。
標準単位数=卒業に必要な単位数÷修業年限×在学年数
例えば、卒業に124単位が必要な4年制大学の場合、標準単位数は次のようになります。
| 学年 | 標準単位数 |
|---|---|
| 1年次 | 31単位 |
| 2年次 | 62単位 |
| 3年次 | 93単位 |
| 4年次 | 124単位 |
標準単位数が31単位の場合、7割は21.7単位、6割は18.6単位です。ただし、実際の判定における端数の扱いなどは在学校へ確認してください。
単位数による警告・廃止の基準
単位数に関する基準は次のとおりです。
- 標準単位数の7割以下:警告
- 標準単位数の6割以下:廃止
- 修業年限内で卒業できないことが確定:原則として廃止
6割以下の場合は、警告ではなく廃止の基準が適用されます。
「1科目落としたら警告」「2科目落としたら廃止」といった科目数だけで判定されるわけではありません。累計修得単位数が、自分の標準単位数に対してどの程度あるかを確認する必要があります。
単位不足が心配なときに確認すること
単位不足が心配な場合は、次の内容を確認しましょう。
- 卒業に必要な総単位数
- 現在までの累計修得単位数
- 必修科目と選択必修科目の取得状況
- 再履修が必要な科目
- 今後履修できる単位数
- 現在の単位数で修業年限内に卒業できるか
標準単位数や卒業見込みは自分だけでは判断しにくいことがあります。教務窓口や奨学金窓口へ、現在の履修状況を確認してください。
給付奨学金で警告になる基準②:出席率と学修意欲
出席率が8割以下であるなど、学修意欲が低いと学校が判断した場合は、警告の基準に該当します。
一方、出席率が6割以下であるなど、学修意欲が著しく低いと学校が判断した場合は、廃止の基準に該当します。
単位を取得していたとしても、出席状況や課題の提出状況などから学修意欲が低いと判断される可能性があります。
ただし、出席率の数字だけで機械的に処置が決まるとは限りません。学校は、出席状況、履修状況、課題の提出状況、学生本人からの報告、必要に応じた面談などを踏まえて判断する場合があります。具体的な確認方法は学校によって異なります。
欠席が増えている場合は、適格認定の時期を待たず、教務担当や奨学金窓口へ早めに相談してください。
給付奨学金で警告になる基準③:GPA等が下位4分の1
GPA等が、所属する学部等において下位4分の1の範囲に入った場合は、警告の基準に該当します。
GPAとは
GPAは「Grade Point Average」の略で、科目ごとの成績を数値化して平均した指標です。
GPAの計算方法や評価区分は大学によって異なります。そのため、他大学のGPAやインターネット上で見つけた数値を、そのまま自分の判定基準として使うことはできません。
全国共通の固定GPAはない
給付奨学金の警告には、「GPAが2.0未満なら一律に警告」といった全国共通の固定値はありません。
基準は、GPA等が所属する学部等の下位4分の1に入っているかどうかです。同じGPAでも、所属する学部等や成績分布によって判定が異なる可能性があります。
適格認定では、基本的にその年度1年間のGPA等が判定に使われます。2年制以下の課程などでは、半期ごとに判定される場合があります。
自分が下位4分の1に該当しているかは、個人で正確に確認できないことがあります。GPAに不安がある場合は、学校の奨学金窓口へ判定方法を確認してください。
GPAに不安があるときの対応
GPAの低下が心配な場合は、次の点を確認します。
- 各科目の評価方法
- 試験・レポート・平常点の配分
- 未提出の課題がないか
- 再履修できる科目
- 学習支援センターやチューター制度を利用できるか
- 次回の適格認定までに成績へ反映される科目
履修方法や成績評価について不明な点がある場合は、担当教員や教務窓口へ相談しましょう。
給付奨学金が停止・廃止になる基準
警告よりも重い処置が「停止」と「廃止」です。
廃止になる主なケース
次のいずれかに該当すると、原則として廃止になります。
- 修業年限内に卒業できないことが確定した
- 修得単位数の合計が標準単位数の6割以下
- 出席率6割以下など、学修意欲が著しく低いと学校が判断した
- 警告に連続して該当した
- 退学、除籍、無期停学または3か月以上の有期停学となった
ただし、学校が学修の充実のために修業年限内で卒業・修了しないことを適当と認めた場合など、例外となることがあります。
また、正規の手続きをした休学によって卒業時期が延びる場合は、そのことだけで直ちに廃止になるとは限りません。個別の状況は在学校へ確認してください。
2回目の警告がGPAだけなら停止になる
2回連続で警告となった場合でも、2回目の警告理由が「GPA等が下位4分の1」のみであれば、原則として廃止ではなく停止になります。ただし、3回連続で警告となった場合は除きます。
停止後、最初の適格認定で警告・廃止のいずれにも該当しなければ、学校からの報告を受け、次の学年から支給が再開されます。2年制以下の課程や高等専門学校では、学年の半期単位で扱われる場合があります。
一方、停止後の判定でも警告または廃止に該当した場合や、学業以外の停止理由が残っている場合は、振込みが再開されないことがあります。
給付済みの奨学金について返還を求められる場合
学業成績が著しく不良で、災害や傷病などのやむを得ない事情が認められない場合は、廃止に加えて、支給済みの給付奨学金の返還を求められることがあります。
また、退学・除籍・無期停学・3か月以上の有期停学などの懲戒処分を受けた場合は、処分を受けた学年の初日にさかのぼって返還を求められることがあります。
返還が必要と判断された場合は、JASSOから返還額や返還方法などを記載した通知が送付されます。処置通知を受け取った段階で、返還の要否を学校へ確認してください。
すでに停止・廃止の通知を受け取った方は、以下の記事もご確認ください。
警告はいつ・どこで通知される?
適格認定の結果、警告・停止・廃止となった場合は、学校を通じて「処置通知」が交付されます。スカラネット・パーソナルの「お知らせ」欄に表示される場合もあります。
通知時期や交付方法は学校によって異なります。学校の学生ポータル、登録メールアドレス、郵送物なども確認してください。
通知が見当たらない場合や、振込みだけが止まっている場合は、次の点を確認しましょう。
- 学校から交付された処置通知
- スカラネット・パーソナルのお知らせ
- 学校の学生ポータルやメール
- 奨学金窓口からの連絡
- 在籍報告や必要書類の提出状況
- 振込口座の入金履歴
最高学年の学生や、3月に卒業した方など、給付期間が終了した人にも処置通知が交付される場合があります。
多子世帯でも学業による適格認定の対象になる
多子世帯として授業料等減免を受けている場合でも、学業成績や学修状況についての適格認定は行われます。
多子世帯であれば、成績に関係なく授業料等減免が続くわけではありません。修得単位数、GPA等、学修意欲などが基準に該当すれば、警告・停止・廃止となる可能性があります。
一方、給付奨学金の支給と授業料等減免では、家計・資産基準によって扱いが分かれる場合があります。
2026年度の資産基準では、給付奨学金は学生本人と生計維持者の資産額の合計が5,000万円未満であることが原則です。多子世帯の授業料等減免については、資産額の合計が3億円未満まで対象になり得ます。
そのため、多子世帯では、給付奨学金の支給額が0円でも、授業料等減免を受けられる場合があります。
通知を確認するときは、次のどれに対する判定なのかを区別してください。
- 学業による警告・停止・廃止
- 家計基準の見直しによる支援区分の変更
- 給付奨学金の支給
- 授業料・入学金の減免
学業による警告と家計基準による支給停止は異なる
給付奨学金は、学業成績だけでなく、本人と生計維持者の収入・資産などについても定期的な確認が行われます。
学業による「警告」と、家計基準の見直しによる「支援対象外」は別の判定です。家計基準から外れた場合も振込みが止まることがありますが、学業成績を理由とする警告・停止・廃止とは扱いが異なります。
家計基準の見直しでは、住民税情報などをもとに支援区分が決定されます。2026年度の給付奨学金では、第Ⅰ区分から第Ⅳ区分などが設けられています。
家計基準の見直しによって支援対象外となった場合でも、翌年度の見直しで再び基準を満たせば、振込みが再開される可能性があります。学業による廃止と同じ扱いとは限りません。
処置通知やスカラネット・パーソナルで、学業による処置なのか、家計による支援区分の変更なのかを確認してください。
警告を受けたら最初に確認すること
警告を受け取ったら、処置通知を確認し、早めに学校の奨学金窓口へ相談してください。
1.警告の理由を確認する
次のどの基準に該当したのかを確認します。
- 修得単位数
- GPA等
- 出席率・学修意欲
- 複数の理由
特に2回目の警告では、「GPAだけ」なのか、「単位数や出席率にも該当しているのか」が、停止と廃止の分岐に関係します。
2.判定対象となった期間を確認する
累計修得単位数と、その年度のGPA等では、確認する期間が異なります。
自分で計算した数値と学校の判定が一致しないときは、判定対象期間、標準単位数、休学期間や認定単位の扱いなどを確認してください。
3.次回の判定までに必要な改善を確認する
「成績を上げる」という抽象的な目標だけでなく、次の内容を学校と確認しましょう。
- 卒業に必要な残り単位数
- 次年度に履修できる単位数
- 再履修が必要な必修科目
- 出席状況に問題がある科目
- 課題や試験の評価方法
- 学習支援や面談を利用できるか
- 次回の適格認定時期
4.通知や相談内容を記録する
処置通知、学校からのメール、面談日時、相談内容、提出書類は保存しておきましょう。
口頭で案内を受けた場合も、必要な手続き、提出物、提出期限、次回の確認時期を記録しておくと安心です。
病気・災害など、やむを得ない事情がある場合
学業不振の原因が、本人や家族の療養・介護、災害、事故・事件による傷病など、やむを得ない事情によるものである場合、警告や廃止にならないことがあります。
ただし、事情があるだけで自動的に判定が変更されるわけではありません。その事情が、授業への出席、試験、課題、単位修得などに影響したことを学校が確認する必要があります。
該当する可能性がある場合は、できるだけ早く学校へ相談し、必要な証明書類を確認してください。例として、次の書類が考えられます。
- 診断書
- 入院証明書
- 罹災証明書
- 事故や事件による被害を確認できる書類
- 療養や介護の状況を確認できる第三者の証明
必要書類は事情や学校によって異なります。書類を取得する前に、学校の奨学金窓口へ何が必要か確認しましょう。
給付奨学金の警告に関するよくある質問
単位を1~2科目落とすと警告になりますか?
1~2科目の単位を落としただけで、必ず警告になるわけではありません。
単位数については、落とした科目数ではなく、累計修得単位数が標準単位数に対してどの程度あるかで判断されます。警告の基準は標準単位数の7割以下、廃止の基準は6割以下です。
ただし、必修科目を落として修業年限内の卒業が難しくなった場合は、単位数の割合だけでなく、卒業見込みにも影響します。
GPAはいくつなら警告になりますか?
全国共通の「GPAが何点以下なら警告」という固定値はありません。
警告の基準は、GPA等が所属する学部等の下位4分の1に入ることです。同じGPAでも、所属する学部等や成績分布によって判定が異なる可能性があります。
警告中も奨学金は振り込まれますか?
警告の段階では、給付奨学金の支給は継続します。
ただし、在籍報告の未提出、家計基準による支援対象外、休学など、学業上の警告とは別の停止理由がある場合は、振込みが止まることがあります。
2回目の警告で必ず廃止になりますか?
必ず廃止になるわけではありません。
2回目の警告理由がGPA等の下位4分の1だけであれば、原則として停止になります。単位数や出席率などにも該当している場合は、廃止となる可能性があります。
また、3回連続で警告となった場合は、2回目がGPAだけの場合に設けられている停止の例外対象から外れます。
停止後に支給は再開できますか?
学業による停止の場合、停止後最初の適格認定で警告・廃止に該当しなければ、支給が再開される可能性があります。
ただし、家計基準、在籍報告、休学など、別の停止理由が残っている場合は、学業成績が回復しても振込みが再開されないことがあります。
警告はいつ通知されますか?
適格認定は原則として学年末に行われますが、通知時期は学校によって異なります。
処置通知、学校の学生ポータル、登録メールアドレス、スカラネット・パーソナルのお知らせを確認してください。正確な通知時期は在学校の奨学金窓口へ問い合わせましょう。
4年生や卒業生にも警告通知は届きますか?
最高学年の学生や、3月に卒業した方など、給付期間が終了した人にも適格認定の結果が通知される場合があります。
卒業したから確認不要と判断せず、学校からの処置通知やJASSOからの案内を確認してください。
まとめ
給付奨学金で警告を受けても、その時点では支給が継続します。ただし、次回も警告に該当すると、理由に応じて停止または廃止になります。
警告の主な基準は、次の3つです。
- 修得単位数の合計が標準単位数の7割以下
- GPA等が所属する学部等の下位4分の1
- 出席率8割以下など、学修意欲が低いと学校が判断した場合
特に2回目の警告では、GPAだけが理由なのか、単位数や出席率にも該当しているのかを確認してください。
処置通知を受け取った場合や、自分の成績に不安がある場合は、インターネット上の一般的な数値だけで判断せず、学校の奨学金窓口で判定理由と次回までに必要な対応を確認しましょう。
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