※本記事は、2027年度に大学・短期大学・専門学校へ進学する人を主な対象としています。
※制度情報は2026年8月5日時点のものです。申込期限や必要書類は、在籍高校・進学先・制度運営団体の最新案内をご確認ください。
東京の大学などへ進学する場合は、まず日本学生支援機構(JASSO)の給付・貸与奨学金を確認し、志望校独自の奨学金、出身自治体や民間団体の制度も探しましょう。
「東京へ進学する人なら一律に受け取れる奨学金」があるわけではありません。家計、資産、学業、進学先、居住地などの条件によって、利用できる制度が異なります。
特に2027年度進学予定者は、高校在学中に申し込むJASSOの「予約採用」を最初に確認することが重要です。上京して一人暮らしをする場合は、自宅外通学として認定される条件や申請方法も確認しておきましょう。
東京進学で使える奨学金は4つの順番で探す
東京の大学・短期大学・専門学校への進学に利用できる支援は、次の順番で探すと整理しやすくなります。
| 探し先 | 主な制度 | 主な申込先 | 確認する条件 |
|---|---|---|---|
| JASSO | 給付奨学金、第一種、第二種 | 予約採用は在籍高校 | 家計、資産、学業、進学先 |
| 進学先 | 給付、授業料減免、貸与、寮費支援 | 大学・短大・専門学校 | 成績、家計、出身地域、入試方式など |
| 地方公共団体 | 給付、無利子貸与など | 都道府県・市区町村など | 本人・保護者の居住地や居住歴 |
| 財団・民間団体 | 給付、貸与 | 財団または学校 | 家計、専攻、出身地、併給条件など |
東京へ進学する場合でも、JASSOの全国共通制度を利用できます。また、現在住んでいる自治体や保護者の居住地、出身地が実施する奨学金の対象になることもあります。
JASSOの制度検索では、大学独自の奨学金や授業料の徴収猶予、地方公共団体の奨学金を調べられます。進学先の所在地だけでなく、出身地や保護者の居住地から利用できる制度があることも案内されています。JASSO「大学・地方公共団体等が行う奨学金制度」
東京へ進学するだけで対象になる共通制度はない
奨学金の対象は、単に「東京の学校へ進学するか」だけでは決まりません。
例えば、JASSOの給付奨学金では、世帯の所得や資産、学業、入学時期、在留資格、進学先が対象校かどうかなどが確認されます。大学独自の制度では、出身地域、入試成績、評定、家計など、学校ごとに異なる条件が設けられます。
制度を探すときは「東京進学者向け」という名称だけに絞らず、次の言葉でも検索しましょう。
- 大学名+予約型奨学金
- 大学名+入学前奨学金
- 大学名+授業料減免
- 出身都道府県・市区町村+大学進学+奨学金
- 地方出身者+奨学金+大学名
最初に確認したいJASSOの給付奨学金と授業料等減免
返還不要の支援を希望する場合、最初に確認したいのが、国の「高等教育の修学支援新制度」です。
この制度には、次の2つの支援があります。
- JASSOから支給される給付奨学金
- 進学先が実施する授業料・入学金の免除または減額
給付奨学金の採用候補者になっただけで、授業料等が自動的に減免されるわけではありません。進学後、学校で授業料等減免の申請も行う必要があります。JASSO「給付奨学金」
2027年度の給付月額は自宅外通学のほうが高い
2027年度予約採用における、大学・短期大学・専門学校の給付奨学金月額は次のとおりです。
| 支援区分 | 国公立・自宅 | 国公立・自宅外 | 私立・自宅 | 私立・自宅外 |
| 第Ⅰ区分 | 29,200円 | 66,700円 | 38,300円 | 75,800円 |
| 第Ⅱ区分 | 19,500円 | 44,500円 | 25,600円 | 50,600円 |
| 第Ⅲ区分 | 9,800円 | 22,300円 | 12,800円 | 25,300円 |
| 第Ⅳ区分 | 7,300円 | 16,700円 | 9,600円 | 19,000円 |
出典:JASSO「2027年度給付奨学金案内」
第Ⅳ区分の給付奨学金は、扶養する子どもが3人以上いる多子世帯や、私立の理工農系へ進学する学生など、対象が限定されています。
また、多子世帯に該当して授業料等減免の対象になっても、所得や資産の状況によっては給付奨学金が支給されない場合があります。「多子世帯なら給付奨学金も必ず受け取れる」とは限りません。
授業料・入学金も上限額まで減免される
2027年度に大学へ進学する場合、第Ⅰ区分と多子世帯に適用される授業料等減免の上限額は次のとおりです。
| 大学の区分 | 入学金の減免上限額 | 授業料の減免上限額 |
| 国公立大学 | 282,000円 | 年額535,800円 |
| 私立大学 | 260,000円 | 年額700,000円 |
金額は減免の上限であり、現金として本人に振り込まれる金額ではありません。学校の入学金・授業料が上限額を下回る場合は、実際の金額までが減免対象です。
第Ⅱ区分は第Ⅰ区分の3分の2、第Ⅲ区分は3分の1が基本です。私立理工農系の第Ⅳ区分は4分の1相当の支援となります。多子世帯は、所得制限なく第Ⅰ区分と同等の授業料等減免を受けられますが、資産などの要件はあります。
入学後に入学金の減免を申請する場合、原則として入学後3か月以内の申請が必要です。学校によって入学手続時の扱いが異なるため、合格後すぐに進学先へ確認してください。文部科学省「高等教育の修学支援新制度」
年収だけでは対象か判断できない
給付奨学金の家計基準は、「年収○万円以下」と一律に決まっているわけではありません。
2027年度の予約採用では、原則として2025年1月から12月までの収入に基づく、2026年度の住民税情報を使って審査されます。本人と生計維持者の住民税情報から「支給額算定基準額」を計算し、支援区分を判定します。
同じ年収でも、家族構成、扶養人数、ひとり親世帯かどうか、所得控除などによって判定結果は変わります。
また、給付奨学金では、申込日時点における本人と生計維持者の資産額の合計が5,000万円未満であることも必要です。多子世帯の授業料等減免については異なる資産要件が適用される場合があります。
対象になる可能性は、JASSOの「進学資金シミュレーター」で試算できます。ただし、シミュレーション結果は採用を保証するものではありません。JASSO「進学資金シミュレーター」
志望校が対象機関か確認する
給付奨学金と授業料等減免を利用できるのは、国または自治体から確認を受けた「確認大学等」です。
東京にあるすべての大学・短期大学・専門学校が、自動的に対象になるわけではありません。志望校が対象かどうかは、文部科学省が公表する一覧で確認しましょう。
学校名だけでなく、学部、課程、キャンパスなどについても、進学先の案内を確認してください。文部科学省「高等教育の修学支援新制度の対象機関リスト」
給付だけで足りない場合は第一種・第二種奨学金を検討する
給付奨学金と授業料等減免だけで学費や生活費を賄えない場合は、JASSOの貸与奨学金を検討します。
| 種類 | 利息 | 主な特徴 |
| 第一種奨学金 | 無利子 | 学業基準・家計基準が第二種より厳しい |
| 第二種奨学金 | 有利子 | 第一種より申込基準が緩やか。大学等では月額2万~12万円から1万円単位で選択 |
| 入学時特別増額貸与奨学金 | 有利子 | 入学時の一時金。ただし、入学前には受け取れない |
第一種と第二種は返還が必要です。借りられる上限額ではなく、授業料、家賃、生活費から家族の負担額と給付額を引き、毎月不足する金額を基準に選びましょう。
第二種の利率は貸与終了時に決まるため、申込時点では卒業後に適用される利率を確定できません。JASSO「第二種奨学金の利子と利率の算定方法」
給付奨学金と第一種には併給調整がある
給付奨学金と第一種奨学金は併用できますが、両方を通常の上限額まで受け取れるとは限りません。
給付奨学金の支援区分、国公立・私立、自宅・自宅外といった条件に応じて、第一種の貸与月額が減額されたり、0円になったりする「併給調整」があります。
給付奨学金と第一種を併せて申し込む場合は、給付採用後の第一種月額を確認したうえで、第二種の追加が必要か判断してください。
借りる前に卒業後の返還額を試算する
貸与月額を決めるときは、卒業後の返還も確認しましょう。
例えば、毎月5万円を4年間借りると、元金だけで240万円になります。第二種の場合は利息が加わり、機関保証を選ぶ場合は毎月の貸与額から保証料も差し引かれます。
JASSOの「奨学金貸与・返還シミュレーション」では、貸与総額や毎月の返還額を試算できます。自宅外生活のすべてを奨学金で賄おうとせず、給付奨学金、授業料減免、大学寮などを先に確認することが大切です。JASSO「奨学金貸与・返還シミュレーション」
志望校独自・出身自治体の奨学金も確認する
JASSOの次に確認したいのが、志望校独自の奨学金です。
東京の大学には、次のような制度が設けられている場合があります。
- 入学前に採用候補者を決める予約型奨学金
- 地方出身者や自宅外通学者を対象とする給付
- 入試成績などを基準とする特待生制度
- 家計基準を設けた授業料減免
- 大学寮の寮費減免
- 入学金・授業料の延納や分納
制度の有無や条件は大学ごとに異なります。JASSOと併用できる制度もあれば、他の給付型奨学金との併給を制限している制度もあります。
大学独自制度は合格発表前に締め切られることがある
大学独自の予約型奨学金には、出願前や合格発表前に申請が締め切られるものがあります。
志望校が決まったら、入試情報だけでなく、公式サイトの「奨学金」「学生生活」「学費・経済支援」も確認しましょう。特に次の項目が重要です。
- 対象となる入試方式
- 申込期限
- 家計・成績基準
- 給付額と給付期間
- 入学後の継続条件
- JASSOや他団体との併給可否
- 採用された場合の入学義務
- 自宅外通学・出身地域の条件
前年度の情報が検索結果に残っている場合があります。必ず「2027年度入学者向け」の募集要項で確認してください。
東京へ進学しても出身自治体の制度を使える場合がある
地方公共団体の奨学金は、進学先の所在地だけで対象が決まるとは限りません。
東京の大学へ進学して本人が転出した後も、次のような条件で申し込める場合があります。
- 進学前から本人が自治体内に住んでいる
- 保護者が引き続き自治体内に住んでいる
- 本人または保護者に一定期間の居住歴がある
- 卒業後に出身地域へ戻って就職する意思がある
まず、現在住んでいる都道府県と市区町村の両方を調べましょう。保護者の居住地が異なる場合は、その自治体も確認します。
自治体制度には毎月の奨学金だけでなく、入学準備金、無利子貸付、卒業後に地域で就職した場合の返還免除・返還支援などもあります。返還免除には居住・就業期間などの条件が付くため、進路が決まっていない段階で安易に前提としないことが大切です。
自宅外通学の支給を受けるには進学後の申請が必要
地方から上京して一人暮らしをしても、自動的に給付奨学金の自宅外月額が振り込まれるわけではありません。
給付奨学金では、原則として申込時に選んだ通学形態にかかわらず、最初は自宅通学の月額で採用されます。自宅外月額を受けるには、進学後に学校を通じて申請し、JASSOの認定を受ける必要があります。
申請では、賃貸借契約書、入寮証明書など、本人の居住と家賃・寮費の負担を確認できる書類を求められます。契約名義によって必要書類が変わる場合があるため、部屋を契約するときから書類を保管しておきましょう。
部屋を借りただけでは認定されない場合がある
JASSOにおける自宅外通学とは、原則として次の両方を満たす状態です。
- 本人が生計維持者と別居している
- 本人または生計維持者が本人の住居の家賃を負担している
さらに、次のいずれかの要件を満たす必要があります。
- 実家から学校までの距離が片道60キロメートル以上
- 実家から学校までの通学時間が片道120分以上
- 実家から学校までの通学費が月額1万円以上
- 通学時間が片道90分以上で、通学時間帯の交通機関が1時間に1本以下
- その他、学業との関係で実家から通学できないやむを得ない事情がある
距離、時間、通学費などは目安であり、個別の事情や提出書類によって審査されます。単に一人暮らしを希望したという理由だけでは、自宅外通学として認定されない場合があります。JASSO「自宅外通学の取扱いについて」
2027年度の奨学金を進学前に申し込む手順
東京進学に向けた奨学金の確認は、次の順番で進めましょう。
1.進学に必要な金額を整理する
志望校の初年度納付金に加えて、次の費用を見積もります。
- 受験料
- 入学金
- 授業料・施設費
- 引っ越し費用
- 賃貸住宅の初期費用
- 家賃・光熱費
- 教材・パソコン代
- 通学費
- 毎月の生活費
奨学金の月額を先に決めるのではなく、家族が負担できる金額と返還不要の支援を差し引き、不足額を求めましょう。
2.JASSOの対象可能性を試算する
進学資金シミュレーターで、給付奨学金や貸与奨学金の対象になる可能性を確認します。
試算時には、家族構成、生計維持者の収入、進学先の設置区分、自宅・自宅外などを正しく入力してください。試算結果と実際の審査結果が一致するとは限らないため、対象外と表示されても、家計急変など特別な事情がある場合は学校へ相談しましょう。
3.在籍高校へ予約採用の期限を確認する
2027年度進学予定者のJASSO予約採用は、原則として在籍する高校等を通じて申し込みます。
JASSOの案内に掲載された期間内でも、高校が設ける校内期限を過ぎると申し込めない場合があります。必要書類の準備にも時間がかかるため、早めに進路指導室や奨学金担当窓口へ確認してください。
高校を卒業した人も、卒業後の年数などの申込資格を満たせば、卒業した高校を通じて予約採用へ申し込める場合があります。2027年度の予約採用では、原則として2027年3月に高校等を卒業予定の人、または高校等を卒業した年度末から申込日まで2年以内の人などが対象です。JASSO「進学前(予約採用)の申込資格」
4.志望校と出身自治体の制度を調べる
志望校の公式サイトで、2027年度入学者向けの予約型奨学金、授業料減免、学生寮、延納・分納制度を確認します。
あわせて、本人と保護者の居住自治体、出身地の奨学金も調べてください。JASSOと自治体・大学独自奨学金を併用する場合は、双方の募集要項で併給条件を確認します。
5.採用候補者決定後も書類を保管する
予約採用の審査に通ると「採用候補者決定通知」が交付されます。ただし、この段階では奨学金の振込は始まりません。
進学後の手続きに必要となるため、決定通知や関係書類を紛失しないよう保管してください。また、採用候補者になった制度、選択した月額、保証制度などを家族と共有しておきましょう。
6.進学後に進学届と減免申請を行う
進学後、学校から識別番号などを受け取り、所定の期限までに「進学届」を提出します。給付奨学金の対象者は、学校で授業料等減免の申請も必要です。
自宅外月額を希望する場合は、賃貸借契約書などを添えて自宅外通学の申請を行います。書類に不備があると認定や差額の振込が遅れる可能性があるため、進学先の案内に沿って手続きしてください。
奨学金は入学金の支払期限に間に合わないことがある
JASSOの奨学金は、予約採用の候補者になっていても、進学前には振り込まれません。入学時特別増額貸与奨学金も、名称に「入学時」とありますが、入学前に受け取れる制度ではありません。
そのため、合格後すぐに必要になる入学金、前期授業料、賃貸住宅の初期費用を、奨学金の初回振込だけで支払う計画は避けましょう。
入学前の資金が不足する場合は、次の方法を確認します。
- 進学先の入学金・授業料の延納または分納
- 大学独自の入学前給付
- 自治体や社会福祉協議会の入学準備資金
- 国の教育ローンなどの教育ローン
教育ローンは奨学金と返済者、利息、受取時期が異なります。利用する場合は、借入条件と返済負担を比較してください。
まとめ|高校への期限確認と志望校の制度検索を始めよう
東京の大学・短期大学・専門学校へ進学する場合、最初にJASSOの給付奨学金と授業料等減免を確認しましょう。不足する場合は第一種・第二種奨学金を検討し、志望校独自の予約型奨学金や出身自治体の制度も探します。
2027年度進学予定者が最初に行いたいことは、次の4つです。
- JASSO進学資金シミュレーターで対象可能性を確認する
- 在籍高校へ予約採用の校内期限を聞く
- 志望校の2027年度奨学金・授業料減免を調べる
- 出身自治体と保護者居住地の制度を調べる
上京する場合は、給付奨学金の自宅外月額が自動適用されるわけではありません。進学後の申請に備え、賃貸借契約書や入寮証明書なども保管しておきましょう。
制度や申込期限は年度・学校ごとに変わります。最終的な条件は、JASSO、文部科学省、在籍高校、進学先、各制度運営団体の最新情報で確認してください。