文部科学省は、大学在学中に借りた国の貸与型奨学金について、教員として在職している間の返還を免除する仕組みの検討に入りました。教員不足への対応として、教職志望者を増やすことが狙いです。
一方で、制度の実現には大きな財源が必要となるほか、特定の職業を対象に奨学金を免除することへの公平性も課題となっています。現時点では導入に向けて検討が進められている段階です。
文部科学省が教員の奨学金返還免除を検討
文部科学省は、小・中・高校などの教員が大学在学中に借りた国の貸与型奨学金について、教員として在職している間の返還を免除する仕組みの検討に入りました。
対象として想定されているのは、日本学生支援機構の貸与型奨学金を大学在学中に利用し、国・公・私立の学校で教員として働く人です。現職の若手教員も対象に含める意向とされています。
教員不足を背景に奨学金の返還負担を軽減
今回の検討の背景には、教員不足があります。
公立学校の教員採用試験では、2025年度の受験者数が前年度から減少する一方、採用者数は増加傾向にあり、倍率は2.9倍と過去最低となりました。また、2025年5月時点の文部科学省の調査では、公立学校で3,827人の教員が不足していました。
文部科学省は、奨学金の返還負担を軽減することで、教職を志望する人を増やすことにつなげたい考えです。
日本学生支援機構の貸与型奨学金が対象
文部科学省が所管する日本学生支援機構の貸与型奨学金には、第1種奨学金と第2種奨学金があります。
今回の仕組みでは、大学在学中にこれらの貸与型奨学金を利用した教員を対象に、在職中の毎年の返済額を免除することが想定されています。
制度を実現するためには、関連する法改正が必要になるとされています。
奨学金返還免除には財源と公平性の課題も
制度を導入した場合、文部科学省の試算では、国公私立の幼稚園、小・中・高校、特別支援学校の教員を対象にすると、初年度で約300億円、18年目以降は毎年1千億円以上が必要になるとされています。
奨学金の返還金は、次の奨学金の貸与に充てられるため、免除した分については国が必要額を補うことになります。
また、国が特定の職業を対象として奨学金の返還を免除することについて、公平性の観点からの懸念も示されています。
まとめ
奨学金の返還負担をどのように軽減するかは、進学後の進路や働き方を考えるうえでも重要なテーマです。
今回の制度は、教員不足への対応策として、教職を選択した人の奨学金返還負担を軽減することを検討するものです。一方で、対象となる職業の範囲や必要となる財源、公平性など、制度化に向けて検討すべき点もあります。
今後、法改正を含めた検討がどのように進み、具体的な制度として実現するのか注目されます。
出典
朝日新聞「国の貸与奨学金、教員の返還免除を検討 文科省、なり手不足で」