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企業が知っておきたい!奨学金代理返還を活用した賃上げ促進税制のメリットと導入ステップ

企業にとって永遠の課題ともいえるのが、人材確保とコスト削減です。
その両方を実現できる施策として「奨学金代理返還制度」と「賃上げ促進税制」があります。
この記事では、制度の仕組みやメリットを詳しく解説したうえで、導入ステップについてもわかりやすくご紹介します。

奨学金代理返還制度とは?

奨学金代理返還制度とは、企業が従業員の奨学金返済を直接支援する福利厚生制度です。
2023年に日本学生支援機構(JASSO)が発表した統計によると、日本では約117万人の学生が奨学金を利用しており、若者に大きな返還負担がかかっています。
奨学金代理返還制度を企業が導入すると、従業員の経済的支援と企業の採用力強化の両方を実現しやすいでしょう。

企業が従業員の奨学金を直接返済する仕組み

奨学金代理返還制度は、企業が従業員に代わって奨学金を返済する制度です。
企業は従業員の同意を得たうえで、JASSOの専用ポータルサイト「スカラKI」を通じて奨学金番号や支援額を登録します。
支援期間は最長5年・累計200万円上限となり、月々の返済額を企業側がJASSOに直接送金するのが制度の仕組みです。

従業員の手取り増加と安心感の向上

奨学金代理返還制度により、従業員の手取り収入を実質的に増やすことが可能です。
奨学金の代理返還は、多くのケースで従業員の所得税が非課税となることもメリットで、生活への安心感が向上するでしょう。
企業としては、代理返還額を給与として損金算入できるほか、賃上げ促進税制の対象にもなり、税額控除の適用を受けられる場合があります。

若手人材から「選ばれる企業」になる効果

一般的には、中小企業は大企業と比較して採用競争で不利になりがちです。
しかし、奨学金代理返還制度を福利厚生に取り入れることにより、若手人材から「選ばれる企業」になります。
大学や就活イベントにおける企業認知度も向上しやすく、優秀な人材を獲得しやすいでしょう。

賃上げ促進税制と奨学金代理返還の関係

賃上げ促進税制とは、給与増加を促す政府の税制優遇制度であり、奨学金代理返還とも深く関係しています。
賃上げ促進税制制度を利用する企業は近年増加中です。
奨学金代理返還との併用で税額控除を最大限活用できるため、賃上げ促進税制の詳細を確認しておきましょう。

奨学金代理返還は「給与等支給額」として扱われる

代理返還額は、税務上「給与等支給額」に含まれるため、賃上げ促進税制の対象です。
国税庁の「学資に充てるための費用を支出したとき」においても、奨学金返済支援が「使用人に対する学資の支給」として認められると明記されています。
そのため、代理返還した従業員の奨学金相当額は、損金として算入することが可能です。

法人税の税額控除が受けられる仕組み

令和6年度に行われた賃上げ促進税制の見直しにより、中小企業においては、雇⽤者給与等⽀給額が前年度と⽐べて1.5%以上増加で15%控除が適用されます。
さらに、教育訓練費が前年度比5%以上かつ給与等の0.05%以上で10%上乗せ、子育てとの両立支援等を併用すると、最大で45%まで控除を上乗せすることが可能です。
控除上限は法人税額の20%までとなりますが、未控除分は5年間は繰り越しできます。
たとえば、給与総額1億円の企業が代理返還で給与等支給額を500万円増加させた場合、最大で200万円の控除を適用できる計算です。

中小企業向け賃上げ促進税制のポイント

中小企業向け賃上げ促進税制の対象となるのは、中小企業庁が定義する資本金1億円以下かつ大企業の完全支配等に該当しない企業です。
令和6年4月以降の事業年度が適用範囲となり、要件ごとに次の控除を適用できます。

<賃上げ促進税制のポイント>
・給与増加率1.5%以上で15%を控除
・給与増加率2.5%以上でさらに15%を控除
・教育訓練費が前年度比5%以上かつ給与等の0.05%以上でさらに10%を控除
・子育て支援でさらに5%を控除

奨学金代理返還を実施することにより、給与増加率を押し上げられるため、上記の要件達成が容易になるでしょう。
教育訓練費の計上や子育て支援の実施により、最大45%の税額控除が可能になりました。

企業が得られるメリット

奨学金代理返還は、企業に「採用力強化」と「コスト削減」の両方をもたらす施策です。
この2点は、多くの企業にとって永遠の課題ともいえるものでしょう。
ここでは、企業が得られるメリットについて、より詳しく解説します。

人材確保・定着の強化

奨学金代理返還を福利厚生に組み込むことにより、優秀な人材を確保しやすくなります。
奨学金は多くの学生にとって不可欠なものです。
しかし、卒業後の返済負担は大きく、いわゆる奨学金問題は日本社会における課題の一つとされています。
企業側が従業員の奨学金返済を代理で行うことにより、就活生の興味を惹きやすくなるほか、離職率も低下させやすくなるでしょう。
ソフトウェア開発会社のサイボウズは、2005年に離職率が28%を記録し、人材定着の強化が課題でした。
そこで、福利厚生を見直したことにより、離職率を28%から4%へと大幅に引き下げられています。
この事例からもわかるように、従業員にとって福利厚生の充実は重要なポイントです。
奨学金代理返還を導入することにより、従業員の負担や不安を軽減でき、競合他社との差別化を図れるでしょう。

税制優遇によるコスト削減

先述したとおり、賃上げ促進税制によるコスト削減を実現できることも企業側のメリットです。
企業は奨学金代理返還に充てた金額の一部を法人税から差し引けるため、実質的なコストを抑えながら、従業員が魅力を感じられる福利厚生を充実させられます。
たとえば、従業員に100万円の奨学金代理返還を行った場合、最大で45万円の法人税控除を受けられる可能性があります。
これにより、企業のキャッシュアウトを抑えつつ、従業員の満足度を向上させることが可能です。

ESG・人的資本経営としての評価向上

近年、企業にはESG(環境・社会・ガバナンス)への配慮が求められています。
また、人的資本経営という概念も重要視されており、従業員を資本の一つとして捉えるための投資も必要です。
奨学金代理返還は、ESGにおけるS(社会)への配慮として高く評価されます。
人的資本への投資にもなり、従業員のエンゲージメント向上やスキルアップを促す効果が期待できるでしょう。
これにより、金融機関や投資家からの評価が高まり、資金調達が有利に働く可能性もあります。

従業員が得られるメリット

奨学金代理返還により、従業員が得られるメリットは大きく3つです。
それぞれのポイントを見ていきましょう。

奨学金返済負担の軽減と手取り実質アップ

従業員から見た奨学金代理返還のメリットは、毎月の返済負担から解放されることです。
特に若手社員にとって奨学金の返済は負担が大きく、生活に余裕を持てない原因の一つとなっています。
企業が返済を代理することにより、実質的な手取りが増加するのです。

将来設計に対する安心感

奨学金の返済負担は10年~20年と長く、将来設計に不安を抱える従業員は少なくありません。
近年の物価高も手伝って将来設計がネガティブになり、結婚や出産、住宅購入といったライフイベントに踏み切れない従業員も多いでしょう。
奨学金代理返還制度の利用により、将来設計に対する不安を取り除き、安心感を得られます。
結果として、従業員のキャリア形成にポジティブな影響を与え、長期的に企業に貢献したいという意欲も高まるでしょう。
奨学金代理返還は、中小企業と従業員がウィンウィンの関係になる施策と言えるのです。

会社から支援されることで高まるエンゲージメント

企業が従業員の生活を直接的に支援する姿勢を見せることにより、従業員の会社に対するエンゲージメントが高まります。
奨学金代理返還は、単純に賃金を上げるだけの支援ではなく、従業員一人ひとりの状況に配慮した支援と受け止められるでしょう。
そのため、「従業員を大切にしている」という強いメッセージにもなります。

奨学金代理返還の導入ステップ

奨学金代理返還は、企業側にとっても従業員側にとってもメリットが大きい施策です。
ここまでの記事の内容を見て、福利厚生に奨学金代理返還を組み込もうと考えている経営者層の方は多いかもしれません。
ここでは、奨学金代理返還の導入ステップを、3つのフェーズに分けてご紹介します。

社内での制度設計とルール整備

まずは社内での制度設計を行います。
主に、以下3つのルールを整備すると良いでしょう。

<整備すると良いルール>
・支援の対象者(「正社員のみ」「契約社員も含む」など)
・支援額(「月額1万円を上限とする」など)
・支援期間(「入社後3年を上限とする」など)
・休職や退職時の扱い(「休職期間中は返済を停止する」など)

ルールを決めるうえで重要なのは、従業員全員が公平に制度を適用できるように、透明性の高い内容にすることです。
「若手人材の獲得」「優秀な人材の定着」など、制度を導入する目的を明確にしてからルール整備を進めると、企業にとって最適な制度設計が行えるでしょう。

JASSOへの代理返還申込

奨学金代理返還制度の実施を社内で周知し、制度の利用を希望する従業員から同意書の提出を求めます。
同意書によって得た情報をもとに、JASSOの専用ポータルサイト「スカラKI」で登録手続きを行いましょう。
入力が必要な項目は、奨学金番号、支援額、支援期間です。
情報の送信後、JASSOによる審査が1週間〜2週間程度にわたって行われ、承認された場合は制度の適用を開始できます。
承認後、振込先の口座が指定されるため、指定口座への送金を開始しましょう。

賃上げ促進税制を活用した税額控除の申請方法

賃上げ促進税制の税額控除を受けるためには、確定申告書等に、税額控除の対象となる控除対象雇用者給与等支給増加額、控除を受ける金額、その金額の計算に関する明細書及び適用額明細書(適用額明細書については、法人のみ)を税務署に提出する必要があります。
代理返還額が給与増加分として認められるため、確定申告の前に、支援実績を整理しておきましょう。
なお、確定申告は税理士や会計士と連携して進めることが一般的です。
制度の適用には、賃上げ促進税制の要件を満たしたうえで、税額控除の適用額を計算する必要があります。
申請漏れや計算ミスを避けるために、専門家のサポートを受けましょう。

導入をスムーズにする「奨学金バンク」の活用

奨学金代理返還制度の導入をスムーズに進めるために、「奨学金バンク」の活用をおすすめします。
奨学金バンクは日本初の奨学金返還支援プラットフォームで、奨学金返済の支援に特化したサービスを提供しています。

奨学金バンクとは?

奨学金バンクとは、奨学金代理返還制度の導入や運営を予定している企業を包括的に支援するサービスです。
多くの企業は、奨学金代理返還の制度設計や、JASSOやその他団体が行なっている奨学金代理返還の手続きのサポート、賃上げ促進税制の適用など、一連のプロセスを煩雑に感じるでしょう。
奨学金バンクでは、こうした企業の課題を解決するために、以下のようなサービスを提供しています。

<奨学金バンクが実施する主なサービス>
・制度設計やルール整備のコンサルティング
・従業員を対象とする説明会の実施
・日本学生支援機構(JASSO)、その他団体が行っている奨学金代理返還の手続き代行
・賃上げ促進税制のサポート

奨学金バンクを利用することにより、企業は本業に集中しながら、スムーズに奨学金代理返還制度を導入し、運用できるでしょう。

奨学金バンクに相談するメリット

奨学金バンクに相談するメリットは、専門的な知識とノウハウが還元されることです。
企業の規模や賃金水準に合わせて最適なコストや税制メリットをシミュレーションできるほか、規定整備のコンサルティングも活用できます。
また、JASSO等への手続きや賃上げ促進税制のサポートも受けられるため、制度の導入にかかる時間と手間を大幅に削減できるでしょう。

まとめ

奨学金代理返還制度は、多くの企業が課題とする人材確保・定着とコスト削減の両方を実現する可能性を持つ、魅力的な福利厚生です。
賃上げ促進税制を併用することにより、導入効果が最大化します。
手続きはやや煩雑ですが、奨学金代理返還支援に特化したサービスを提供する「奨学金バンク」を利用することにより、制度導入の時間と手間を大幅に削減できるでしょう。

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