LINEで相談は
こちらから!

相談する

奨学金バンクを
支援する!

支援する

企業の奨学金返済と返済免除制度の違いと選び方

奨学金は多くの学生にとって欠かせない制度ですが、就職後の返済負担が若者のキャリアや生活にネガティブな影響を与えると指摘されています。
こうした中注目を集めているのが、企業による奨学金返済支援制度です。
一方で、JASSOが実施する「返済免除制度」を利用する選択肢もあり、どちらを利用すると良いか悩んでいる方は少なくないでしょう。
この記事では、企業の奨学金返済と返済免除制度の違いを解説し、最適な選び方もご紹介します。

奨学金返済制度と返済免除制度の基本

まずは奨学金返済制度と返済免除制度の基本を押さえて、それぞれの位置付けを理解しましょう。
ここでは、それぞれの基本的な仕組みについて、JASSOや自治体などの事例を交えて解説します。

奨学金返済制度とは?

奨学金返済制度とは、経済的な理由で奨学金返済が困難な場合に、返済額の減額または猶予を受けられる制度です。
JASSOや大学、自治体などが実施する奨学金制度で適用できます。
この制度は、利用者の経済状況を考慮し、なんらかの事情で収入が減少した場合に適用できるものです。
しかし、返済が完全に免除されるわけではなく、制度の枠組みの中で奨学金の返還を続ける必要があります。

奨学金返済免除制度とは?

奨学金返済免除制度とは、特定の条件を満たした場合に、返済義務の全部または一部が免除される救済措置です。
学業において優秀な成績と認められた場合や地震や台風などの災害が原因で収入が減った場合、勤務義務を満たした場合などに利用できます。

企業が関与する「奨学金返済支援制度」とは?

奨学金返済支援制度とは、従業員が返済する奨学金の全額または一部を企業が肩代わりして支払う制度です。
対象となるのはJASSOの奨学金を利用している人物で、企業は社内規定に基づいて支援額を決定します。
奨学金返済支援制度は、奨学生の返済義務が免除されるものではありません。
しかし、奨学生の返済負担が大幅に軽減されるため、生活にゆとりを持たせやすくなるでしょう。
また、人材を確保しやすくなることや税制優遇を受けられることなど、企業側にもメリットをもたらす制度です。

奨学金返済支援と返済免除の違い

奨学金返済支援と返済免除は似て非なる制度です。
2つの制度の違いについて、次の4点から解説します。

・目的の違い:支援(リテンション施策) vs. 免除(救済・報奨)
・資金の出どころの違い(企業負担・国負担・大学独自)
・税金の扱いの違い(課税/非課税)
・心理的・制度的な影響の違い(返済義務 vs. モチベーション向上)

目的の違い:支援(リテンション施策) vs. 免除(救済・報奨)

企業が行う返済支援の目的は、主にリテンション施策です。
これは、従業員の奨学金負担を軽減することにより、若手社員の離職を防ぎ、人材育成を図る施策を表します。
一方の免除は、救済や報酬を目的として行われています。
災害発生時の金銭的な保護や成績優秀者への報酬として用意されることが特徴です。

資金の出どころの違い

資金源についても違いがあり、返済支援は企業側が福利厚生の一環として負担することが主流です。
JASSOによる代理返還は、国が仲介しますが、原資は企業が出しています。
一方の免除は、国や大学、自治体が持つ独自の基金から資金を捻出しています。
たとえば、自治体の奨学金は、地元の税収を活用して奨学生の奨学金を支払うことが一般的です。

税金の扱いの違い

返済支援は原則として非課税であり、確定申告も必要ありません。
一例としてJASSOの奨学金代理返済制度の場合、従業員の奨学金返済額を企業がJASSOに直接送金するため、従業員の給与所得にはならず、所得税や住民税が免除されます。
免除も原則として非課税ですが、企業からの一括免除は「経済的利益」とみなされる場合があり、このケースでは課税される可能性があります。

心理的・制度的な影響の違い

心理的な面では、支援には返済義務が消えないため負担感が残りがちです。
しかし、負担した企業への恩義を感じやすく、企業忠誠心が高まりやすいでしょう。
免除は返済義務が消えるため、モチベーション向上に直結します。
支援と比較すると審査が厳しく、免除が認められる確率は下がりますが、その分だけ喜びも感じやすいでしょう。

企業による奨学金返済支援制度とは?

ここでは、企業による奨学金返済支援制度の詳細を解説します。
どのような仕組みで制度が成り立っているのか、そして奨学金返済を負担する企業側にはどのようなメリットがあるのかなどを見てみましょう。

奨学金代理返還制度の仕組み

JASSOの代理返還制度は、企業が社員の奨学金残額をJASSOに直接送金するシンプルな仕組みです。
企業がJASSOに社員の奨学金番号を提出することにより登録が完了します。
送金は毎月または年1回となり、返済履歴が自動的に更新されます。
対象は第一・第二種奨学金で、上限額はなく全額支援も可能です。
2025年現在、導入企業は3,721社に達しており、福利厚生の一環として広く認知されるようになりました。

企業が代理返還を行うメリット

代理返還が企業にもたらすメリットはさまざまです。
まず、採用においては、奨学金利用者の応募が増え、優秀な若手人材の確保が容易になるでしょう。
エンゲージメントも向上するため、社員の満足度を高め、生産性を引き上げることに加えて、定着率も引き上げられます。
また、SDGsの「教育の機会均等」を達成するために寄与し、ブランディング効果でESG投資を呼び込めることもメリットです。
中小企業でも導入しやすく、コストパフォーマンスが高い施策と言えます。

税制上の注意点

代理返還は「学資給付」として扱われるため非課税ですが、給与規定で「報酬代替」と明記する場合は課税対象となることが注意点です。
非課税枠に月額の上限はないものの、役員を対象とする場合や高額支援時は「経済的利益」とみなされて所得税の課税対象となります。

奨学金返済支援制度の導入手順

奨学金返済支援制度の導入手順は、全部で4ステップです。

①社内規定で対象者と支援額を決める
②JASSOに企業登録申請を行う
③社員の奨学金情報を収集し送金スケジュールを決める
④モニタリングを行って利用状況を追跡し、必要に応じて制度を調整する

目安として1~2ヶ月で4つのステップをクリアできるでしょう。

奨学金返済免除制度とは?

ここでは、奨学金返済免除制度の詳細を解説します。
返済免除は、JASSOだけでなく、大学や自治体の奨学金でも適用できる可能性があります。
申請条件や審査ポイントなどを見てみましょう。

JASSOの返還免除制度

JASSOの返還免除制度は、博士課程修了者の「業績優秀免除」が代表的な免除制度です。
論文掲載や特許取得といった研究成果を残すことにより全額免除されます。
そのほかにも、死亡または障害などの事情により経済的な困窮状態に陥った場合などに、免除制度の適用が可能です。

大学独自・自治体独自の返済免除事例

大学独自の返済免除事例としては、東京工業大学が成績優秀な大学院生の返済免除を実施する例が目立ちます。
自治体では、広島県の医療従事者免除が代表例で、看護師の地元勤務などを条件に全額免除されています。

返済免除の申請条件と審査ポイント

返済免除の申請条件は、事前に定められた条件をクリアしたうえで、業績証明書や勤務証明書を提出することです。
たとえば、優秀な成績を理由とする返済免除の審査ポイントは「顕著な成果」であり、論文の影響力や社会貢献度が重視されます。
一方、重度障害といった健康面の理由による返済免除の審査ポイントは、医療診断の結果をもとに行われます。
返済免除の対象となる障害の内容は、利用する奨学金制度によって異なるため、条件を詳しく確認しておきましょう。

免除された場合の税金の扱い

免除された奨学金は原則として非課税であり、確定申告を行う必要もありません。
ただし、企業が実施する任意免除は贈与税の対象となる場合があるため注意が必要です。
なお、JASSOによる免除制度は学資金として扱われるため、非課税となります。
課税・非課税の境界は「対価性」です。
たとえば、勤務義務付きの返済免除の場合は非課税となります。

奨学金返済支援と免除制度、どちらを選ぶべき?

奨学金返済支援と免除制度の両方を利用できる場合、どちらを選ぶべきか悩む方が多いでしょう。
ここでは、個人と企業それぞれの視点から、どちらを選ぶとメリットが大きいのかを比較します。

【学生・社会人向け】負担軽減とキャリアの自由度で比較

学生や社会人の視点に立つと、返済免除を利用したほうが経済的な負担が減ります。
ただし、適用条件が返済支援よりも厳しく、柔軟性に欠けることはデメリットです。
たとえば、勤務条件に制約が付く場合、理想とするキャリアを歩みにくくなる場合もあるでしょう。
そのため、キャリア自由度の高さを優先する場合は、より気軽に利用しやすい返済支援制度の利用が適しています。
返済負担の大きさとキャリアプランを天秤にかけて、より魅力を感じられる制度を利用しましょう。

【企業向け】採用・定着・ブランド効果で比較

企業が奨学金支援・免除制度を導入するメリットは、採用が有利に進むことや社員が定着しやすくなること、そして企業としてのブランド価値を高められることです。
企業の目標や課題に応じて、より適切な制度を選ぶことがポイントになります。
返済支援制度は、従業員の経済的な負担を即時軽減できるため、採用や定着面でのメリットを感じやすいでしょう。
一方の返済免除制度は、企業の公的信頼性を高めたり、従業員のモチベーションを向上させたりといった効果が期待できます。

それぞれの制度のメリット・デメリット早見表

制度ごとに見たメリット・デメリットは次のとおりです。

返済支援制度のメリット
・返済負担が軽減され経済的余裕が生まれる
・仕事へのモチベーションが向上する
・条件が多様で柔軟性が高い

返済支援制度のデメリット
・返済義務は残る
・企業依存しやすく転職への足かせになる
・支援が打ち切られる場合がある

返済免除制度のメリット
・返済負担から完全に解放される
・成績が認められるため自己肯定感が高まる
・将来的なキャリアの選択肢が広がる

返済免除制度のデメリット
・返済支援制度よりも審査が厳しい
・成績や学業態度へのプレッシャーがかかる
・勤務先が制限される場合がある

奨学金バンクとは?

奨学金バンクとは、大学等卒業後の奨学金返済を支援するサービスです。
ここでは、奨学生が知っておくと良い奨学金バンクの詳細を解説します。

奨学金バンクが目指す社会

奨学金バンクは、返還負担を減らすことによって、起業やキャリアチェンジを支える社会を目指しています。
金銭的なゆとりを生み出すことにより、結婚・出産時の柔軟性を高め、多様なライフスタイルを促進。
SDGsの実現にも貢献して、若者の挑戦を後押ししています。

奨学金返済支援制度の導入を検討する企業へのステップガイド

企業が奨学金返済支援制度を導入するまでのステップを、4つに分けて解説します。

① 支援目的を明確化する

まず支援目的を明確化しましょう。
主な支援目的としては、採用の強化や定着率の向上、CSRによる企業イメージの向上などです。

② 対象者・金額・期間を設計する

明確化した支援目的に沿って、対象者や金額、期間を設計します。
たとえば、定着率を向上させたい場合は、採用後3年~5年間は継続的に支援すると良いでしょう。

③ JASSOなどの代理返還制度を活用する

JASSOなどへの登録手続きを行い、代理返還制度を活用します。

④ 奨学金バンクを活用する

奨学金バンクを活用することにより、学生とのマッチングを実現しやすくなります。
マッチングと支援を一体化させることにより、支援の導入を効率化させることも可能です。

奨学金返済支援を導入した企業の成功事例

ここでは、奨学金返済支援を実際に導入した企業の成功事例を3つご紹介します。

採用強化に成功した中堅企業の事例

あおぞら銀行は、入行3年目までの行員を対象に、借入金5%相当の奨学金返済を支援する「奨学金返済支援手当」を導入しています。
これにより、制度を利用する入行者のうち7割超が「制度が志望動機に寄与した」と回答しました。

若手社員の定着率が改善した事例

シノケングループは若手社員の定着率が低いことを課題としていました。
月返済全額支援制度の導入により、奨学金返済負担を軽減し、若手社員の定着率改善につなげています。

奨学金支援を通じてSDGs認定を受けた事例

日本コカ・コーラ株式会社は、SDGsを視野に入れた返済不要の給付型奨学金制度を実施しています。
1966年から継続した支援を行っており、これまでに支援した学生の総数は2,500名以上です。

今後広がる奨学金返済支援と社会的インパクト

奨学金支援制度を導入する企業は増加傾向にあります。
この活動が今後どのような社会インパクトを与えるのか、3つのポイントから見てみましょう。

人材確保・離職防止策としての注目度

若手人材の確保や定着率向上を目的として制度を導入する企業が多く、各社が一定の成果を上げています。
今後も少子高齢化が続くため、新時代の人材確保に支援制度は不可欠と言えるでしょう。

企業の社会的責任(SDGs・エシカル経営)との親和性

SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」との親和性が高く、エシカル経営の象徴になり得ます。
積極的なキャリアチャレンジを促すことにより、社会的包摂を促進できるでしょう。

奨学金返済支援がもたらす“未来への投資”

返済支援は若者の挑戦を後押し、未来のイノベーションを生むきっかけとなります。
社会全体の生産性向上への投資にもなり、企業イメージが向上するでしょう。

まとめ

奨学金返済支援と免除制度は、目的・資金・税制などの点で異なります。
支援制度の導入や利用は、奨学生のみならず、企業側にも大きなメリットをもたらすでしょう。
学生や社会人は負担軽減とキャリアの自由度で、企業は採用・定着・ブランド効果で、どちらの制度を利用するか検討することをおすすめします。

奨学金個別相談はこちら

この記事を読んだあなたにおすすめ!

← 奨学金返還ガイド
Popup Banner