JASSO(日本学生支援機構)から奨学金を借り入れた後に活用するのが「スカラネット・パーソナル」です。
スカラネット・パーソナルでは、奨学金に関するさまざまな情報を確認できます。
また、繰上返還などの申し込みを行う際も、スカラネット・パーソナルを利用することが一般的です。
しかし、いざというときにスカラネット・パーソナルを使いこなせるのかわからずに、不安を抱えている方も多いでしょう。
そこで今回は、スカラネット・パーソナルの使い方に焦点を当てながら奨学金の返還中の手続きに関するよくある質問にお答えし、奨学生が抱える不安や疑問を解消します。
スカラネット・パーソナルとは?
スカラネット・パーソナルとは、奨学金に関する情報を確認したり、繰上返済などの手続きを行ったりする際に利用する、JASSO(日本学生支援機構)によるオンラインサービスです。
まずはスカラネット・パーソナルの概要と、利用できる機能の詳細を見てみましょう。
スカラネット・パーソナルの概要
スカラネット・パーソナルにログインすると、自身の奨学金に関するさまざまな情報を照会できるほか、あらゆる手続きの申し込みも進められます。
主な機能は次のとおりです。
・返還残高の照会
・返還スケジュールの照会
・住所変更
・氏名変更
・勤務先変更
・口座情報の変更
・在学届の提出
・繰上返済などの申し込み
利用登録の流れ
スカラネット・パーソナルを利用する際は、事前の利用登録が必要です。
初回ログインからの流れをざっくりと見てみましょう。
①スカラネット・パーソナルにアクセスして新規登録を行う
②奨学生番号などの個人情報を入力する
③ユーザーIDを確認する
④初期パスワードで初回ログインを行う
⑤パスワードを設定する
初回利用時には、登録完了後にJASSOから届くメールに記載されたユーザーIDと初期パスワードを使ってスカラネット・パーソナルにログインします。
初回ログイン後、任意のパスワードに再設定して、スカラネット・パーソナルの利用を開始しましょう。
利用可能時間と注意事項
スカラネット・パーソナルには、原則として24時間いつでもアクセスできます。
ただし、各種手続きの受付時間は8時~翌午前1時まで、振替用口座登録・変更は8時~午前0時までに限られるため注意しましょう。
また、不定期で行われるシステムメンテナンス中は、スカラネット・パーソナルにアクセスできません。
動作保証されている推奨ブラウザは、Chrome、Edge、Safariなどです。
古いバージョンを利用すると、正しく画面が表示されない場合があるため、最新のバージョンにアップデートしたうえでアクセスすることをおすすめします。
返還中のよくある質問① 住所・氏名変更
奨学金返済中の手続きとしてよくある質問は、住所・氏名変更に関するものです。
いつまでに、どうやって手続きを行うと良いのか、変更を怠るとどうなるのかを知っておきましょう。
住所変更はいつまでに行う?
引越しにより住所が変わった場合は、新しい住所に転居してから2週間以内を目途に、速やかに住所変更の手続きを行いましょう。
JASSOでは、重要な情報が記された書類を登録住所に送付する場合があるため、スカラネット・パーソナルから忘れずに手続きしてください。
氏名変更の方法
氏名変更が必要なケースは、結婚・離婚・改名などにより氏名が変わったときです。
詳しくは後述しますが、氏名変更の手続きもスカラネット・パーソナルから行えます。
本人だけでなく、連帯保証人や保証人の氏名が変更になった場合も手続きが必要です。
なお、氏名変更の手続きでは、戸籍謄本または戸籍抄本の提出が必要です。
スカラネット・パーソナルで手続きを行った後、JASSOからの指示に従って必要書類を郵送で提出しましょう。
変更を怠った場合の影響
住所や氏名の変更手続きを怠ると、重要書類が届かなくなるリスクがあります。
奨学金の引き落としができなかった場合、延滞通知や督促状が郵送されますが、住所・氏名が正しくなければ、これらの書類を受け取れません。
結果的に支払い遅延に気付かず、延滞が長期化すると、個人情報信用機関に遅延情報が登録されます。
これが原因で住宅ローンやクレジットカードの審査が不利になる可能性があるため、十分に注意しましょう。
変更手続きの流れ
変更手続きの流れは次のとおりです。
①氏名変更の場合は戸籍謄本または戸籍抄本を取得する
②スカラネット・パーソナルにログインする
③氏名変更または住所変更のメニューを選択する
④画面の案内に従って手続きを進める
⑤氏名変更の場合は必要書類を提出する
手続き完了後は、スカラネット・パーソナル上で変更後の情報を確認できます。
返還中のよくある質問② 口座変更・引き落としに関する手続き
口座変更も、奨学金返済中の手続きとして頻繁に行われています。
ここでは、口座変更の手順や引き落としができなかった場合の対処法などを見てみましょう。
口座変更の方法
奨学金の引き落とし口座を変更する方法は、スカラネット・パーソナルを利用したネット申請と書面申請の2種類です。
ネット申請は、書類を郵送する手間がなく、手続きがスムーズに進みます。
ただし、利用可能な金融機関が限られるため、普段利用している銀行などから手続きができない場合があることには注意が必要です。
一方の書面申請は、JASSOから「返還用口座変更届」を取り寄せて記入し、返送して手続きを行います。
書面の取り寄せや郵送に時間がかかりますが、ネット申請に非対応の金融機関も利用できます。
変更手続きにかかる期間
申請方法や金融機関によって異なりますが、手続き完了までの期間は1~2ヶ月が目安です。
ネット申請は比較的早く処理されますが、引き落としの2ヶ月前までには手続きを終えましょう。
新しい口座からの引き落とし開始日は、スカラネット・パーソナルの返還予定表から確認できます。
口座変更中に引き落とし日が来た場合の対応
口座変更の手続き中、処理が間に合わずに引き落とし日が来てしまった場合は、旧口座から引き落としが行われます。
手続き完了の通知を確認するまでは、必要な残高を旧口座に残しておきましょう。
残高不足で引き落としができなかった場合、延滞扱いとなり、延滞金が発生する場合があります。
口座引き落としができなかった場合の対処法
残高不足などで引き落としができなかった場合、延滞とみなされるため注意しましょう。
万が一延滞してしまった場合は、速やかに対処することにより、延滞金の発生や信用情報への影響を防げます。
延滞が発生すると、JASSOから「振替不能通知」がハガキまたはメールで届くため、通知の案内に従って支払いを済ませましょう。
JASSOの奨学金は、一度引き落としができなかった場合、その月の返済額が再度引き落としされることはありません。
そのため、放置していると支払いができていない状態が続き、延滞とみなされてしまいます。
振替不能通知には振込用紙が同封されているため、支払いの期日を確認し、その日までに金融機関やコンビニエンスストアの窓口などで請求額を支払いましょう。
返還中のよくある質問③ 返還額・残高の確認方法
続いて、返還額・残高の確認方法に関する返還中の手続きについて解説します。
スカラネットで確認できる情報
スカラネット・パーソナルでは、以下の情報を確認できます。
・返還残高
・返還予定額
・利息
・返還予定表
残高の元金や利息、月々の返還額と内訳、そして完済までのスケジュールの確認が可能です。
利率見直しや返還方式の確認方法
利子付きの第二種奨学金を利用している場合は、利率や返還方式を確認しましょう。
利率見直し方式を利用している場合は、5年ごとに金利が見直されるため、現在の適用利率をスカラネット・パーソナルで確認してください。
返還方式は「定額返還方式」と「所得連動返還方式」の2種類です。
どちらの返還方式かわからない場合も、スカラネット・パーソナルで確認できます。
繰上返還を検討する際のチェックポイント
余剰資金ができて繰上返還を検討する場合は、スカラネット・パーソナルで以下のポイントを確認しましょう。
・繰上返還により軽減できる利息
・繰上返還の受付期限
・現在の家計状況と将来のライフイベントの予定
スカラネット・パーソナルのシミュレーション機能を利用すると、繰上返還でいくら利息を軽減できるかを確認できます。
結婚や出産、住宅の購入など、将来のライフイベントも加味しながら家計状況を整理して、無理なく繰上返還ができるかを検討することも重要です。
返還中のよくある質問④ 延滞・猶予・減額返還の申請
ここでは、延滞・猶予・減額返還の申請についての返還中の手続きについて解説します。
返還期限猶予制度の申請方法
育児や失業などにより、奨学金返還が困難になった場合は、返還期限猶予制度を利用すると、一時的に返還を停止できます。
スカラネット・パーソナルから返還期限猶予願を提出し、必要書類を郵送して、審査を待ちましょう。
減額返還制度の利用条件と申請時期
経済困難により、月々の返還額を減らしたい場合は、減額返還制度を利用しましょう。
申請が認められた場合、返還期間が長引くことと引き換えに、月々の返済額を2分の1または3分の1に減額されます。
手続きは、スカラネット・パーソナルから減額返還願を提出し、所得証明書などの必要書類を郵送すると完了します。
延滞が発生した場合の対応
奨学金の返還を延滞すると、延滞金が発生するほか、電話や郵送による督促が行われるため注意しましょう。
延滞が3ヶ月以上続いた場合は、個人信用情報機関に延滞情報が登録されます。
このような事態を避けるためには、返済できないことがわかった段階でJASSOの奨学金相談窓口に連絡し、猶予制度や減額返還制度を利用できないか相談することが大切です。
スカラネット・パーソナルでできる/できない申請の違い
「猶予願」や「減額返還願」の提出はスカラネット・パーソナルでできますが、必要書類の提出はスカラネット・パーソナルではできません。
案内欄で提示された必要書類は、指定された住所に郵送して提出しましょう。
返還中のよくある質問⑤ 奨学金の繰上返還・完済手続き
ここでは、延滞・猶予・減額返還の申請についての返還中の手続きについて解説します。
繰上返還とは?
繰上返還とは、月々の返還日とは別に、まとまった金額を前倒しで返済することです。
繰上返還した元金には、それ以降の利息が発生しないため、返還総額を減額できることがメリットになります。
無利子の第一種奨学金には、利息軽減のメリットはありませんが、返済期間を短縮できることはメリットです。
スカラネットで繰上返還する流れ
スカラネットで繰上返還する流れは次のとおりです。
①繰上返還の試算を行う
②繰上返還を申し込む
③引き落としで支払う
スカラネット・パーソナルにログインし、繰上返還メニューから手続きを進めましょう。
完済後に必要な手続き
繰上返還の完了後には、JASSOから「返還完了通知」が郵送されます。
これは奨学金を完済したことを示す重要な書類のため、大切に保管しましょう。
税務処理など、その手の手続きは不要です。
完済証明書の発行方法
完済後の確定申告や住宅ローンの申請時には、奨学金を完済したことを示す「完済証明書」の提出が求められる場合があります。
この場合、先述した返還完了通知を証明書として利用できる場合が多いです。
これを紛失した場合は、JASSOに連絡して、奨学金返還証明書の再発行を依頼しましょう。
スカラネット・パーソナルを使う際の注意点
スカラネット・パーソナルの注意点が3つあります。
返還中の手続きとあわせて、注意点も確認しておきましょう。
スマホ・PCどちらでも利用できる?
スカラネット・パーソナルにはスマホとPCの両方でアクセスできます。
ただし、スマホからでは細かな文字の確認や入力がしづらい場合があるため、繰上返還の申請などを行う場合はPCからのアクセスがおすすめです。
ログインできない場合の対処
IDとパスワードは、スカラネット・パーソナルのログイン画面から再発行できます。
この際、奨学生番号などの個人情報の入力を求められるため、契約書などを手元に用意しておきましょう。
エラーやメンテナンス中の対処方法
メンテナンスでアクセスできない場合は、時間を置いて再アクセスしましょう。
エラーで情報の入力などができない場合は、推奨ブラウザを利用しているか確認し、ブラウザのキャッシュをクリアすると解消できる場合があります。
スカラネット・パーソナルの問い合わせ先一覧
ここでは、スカラネット・パーソナルの問い合わせ先をご紹介します。
奨学金返還に関する問い合わせ窓口
奨学金に関する相談や問い合わせ全般は奨学金相談センターに行いましょう。
・奨学金相談センター:0570-666-301(平日9:00~20:00)
ログイン・操作に関する問い合わせ
スカラネット・パーソナルのログイン情報などについては、JASSOの情報部が対応します。
・情報管理課:03-6743-6666(FAXのみ)
申請書類の郵送先・受付時間
JASSOの申請書類の郵送先は次のとおりです。
・住所:〒104-8112 東京都中央区銀座6-18-2 独立行政法人日本学生支援機構 奨学事業支援部 基盤業務課
受付日はJASSOに到着した日となるため、余裕を持って投函しましょう。
奨学金バンクによる返還支援サービスとは?
奨学金バンクとは、奨学金の返済を支援する日本初のプラットフォームサービスです。
企業・個人の双方にメリットをもたらす支援モデル
奨学金バンクは、企業と個人の両方にメリットをもたらします。
個人は奨学金返済の不安から解放されるほか、手取りを増やして生活にゆとりを持たせやすくなるでしょう。
企業にとってのメリットは、若手採用や定着率の向上に有利に働くほか、税制上の恩恵も受けられることです。
まとめ
この記事では、スカラネット・パーソナルに関するよくある質問にお答えしました。
スカラネット・パーソナルでは、奨学金に関する現状を確認できるほか、繰上返済や救済制度の申し込みなどが可能です。
また、奨学金返還に関するサポートを受けたい場合は、奨学金バンクを利用すると便利です。