「奨学金を返済しているから転職できない」「収入が下がったら返済できなくなるのではないか」と不安を抱えている人は少なくありません。
実際、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金を利用している人の多くは、卒業後も10年以上にわたり返済を続けています。そのため、転職によって収入が減ったり、一時的に失業したりすることを考えると、転職をためらってしまう人もいるでしょう。
しかし、奨学金があること自体が転職の障害になるわけではありません。また、JASSOには返済が難しくなった場合に利用できる減額返還制度や返還期限猶予制度などの支援制度が用意されています。
この記事では、奨学金返済中でも転職できる理由や注意点、返済が厳しくなった場合の対処法、利用できる公的支援制度について詳しく解説します。
奨学金があると転職できないと言われる理由
転職で収入が下がる不安がある
奨学金を返済中の人が転職に踏み切れない理由の一つが、収入減少への不安です。現在の給与を基準に毎月の返済計画を立てている場合、転職によって収入が下がると家計への負担が大きくなると感じる人は少なくありません。
特に未経験職種への転職やキャリアチェンジでは、年収が一時的に下がるケースがあります。また、転職先によっては試用期間中の給与が低く設定されていることもあり、返済を続けながら生活費を確保できるか不安になることがあります。
- 給与ダウンへの不安
- 試用期間中の収入減少
- 未経験転職で年収が下がるケース
しかし、収入が一時的に減少しても、将来的なキャリアアップや年収向上につながる転職であれば、長期的にはプラスになる可能性もあります。転職を検討する際は、目先の収入だけでなく将来のキャリアプランも含めて判断することが大切です。
失業期間中の返済負担が心配になる
転職活動の進め方によっては、一度退職してから新しい職場を探すケースもあります。その場合、失業期間中は給与収入がなくなる可能性があり、奨学金の返済負担を不安に感じる人が多くいます。
奨学金の返済額は毎月発生する固定費です。家賃や光熱費、通信費などの生活費に加えて返済を続ける必要があるため、貯蓄が十分でない場合は転職活動そのものに消極的になってしまうことがあります。
- 転職活動中は収入が途絶える可能性がある
- 毎月の返済が固定費になる
- 生活費との両立が難しくなる
ただし、日本学生支援機構(JASSO)には「返還期限猶予制度」や「減額返還制度」が用意されています。失業や収入減少など一定の条件を満たせば利用できる場合があるため、返済が難しくなりそうな場合は早めに相談することが重要です。
奨学金があるとローンや家計に影響すると思われている
奨学金を借りていることで、将来の住宅ローンやライフイベントに悪影響が出るのではないかと考え、転職をためらう人もいます。
確かに奨学金は返済義務のある借入金であり、金融機関が住宅ローン審査を行う際に返済状況を確認されることがあります。しかし、通常どおり返済を続けていれば、奨学金があることだけを理由にローンが組めなくなるわけではありません。
また、結婚や出産、マイホーム購入などのライフイベントを考えたときに、「奨学金返済があるから転職できない」と感じる人もいます。しかし実際には、収入アップや働きやすい環境を求めた転職によって家計が改善するケースもあります。
- 住宅ローンとの関係
- 結婚・出産との両立不安
- 将来設計への影響
奨学金があること自体が転職を妨げるわけではありません。重要なのは、返済計画を把握したうえで無理のない転職計画を立てることです。制度や支援策も活用しながら、自分に合ったキャリア選択を検討しましょう。
奨学金返済中でも転職は問題なくできる
奨学金の有無は転職活動の採用基準にならない
「奨学金を返済していると転職で不利になるのでは」と不安に感じる人もいますが、基本的に奨学金の有無が採用基準になることはありません。
企業が採用選考で重視するのは、応募者のスキルや経験、人柄、仕事への適性などです。奨学金の返済状況は個人と貸与機関との契約に関する情報であり、企業が通常の採用活動で確認することはほとんどありません。
- 企業が返済状況を確認することは基本的にない
- 採用はスキルや経験が中心
- 奨学金返済は個人の契約
そのため、「奨学金があるから転職できない」と考える必要はありません。転職活動では、自分の強みやキャリアプランをしっかりアピールすることが重要です。
多くの社会人が奨学金を返済しながら働いている
現在は多くの学生が奨学金を利用しており、卒業後も返済を続けながら働いている社会人は珍しくありません。
実際に、奨学金を返済しながら結婚や住宅購入、転職などのライフイベントを経験している人は数多くいます。転職についても同様で、返済中だからといってキャリアチェンジやキャリアアップを諦める必要はありません。
- 奨学金利用者の実態
- 返済しながら転職する人も多い
- 現代では珍しいことではない
むしろ近年は、転職によって待遇改善や働き方の見直しを実現する人も増えています。奨学金返済中であることを理由にキャリアの選択肢を狭める必要はないでしょう。
むしろ年収アップで返済負担を軽減できる場合もある
転職は収入が下がるリスクばかりが注目されがちですが、年収アップにつながるケースも少なくありません。
特に経験や専門スキルを活かしたキャリアアップ転職では、現在より高い給与水準の企業へ移ることで、奨学金返済の負担を軽減できる可能性があります。
- キャリアアップ転職
- 昇給機会の拡大
- 長期的な家計改善
毎月の返済額が同じでも収入が増えれば家計に占める返済割合は下がります。将来的な収入やキャリア形成まで含めて考えることで、奨学金返済と転職を両立しやすくなるでしょう。
奨学金返済中に転職するときの注意点
退職前に生活防衛資金を準備する
奨学金返済中に転職する場合は、まず生活防衛資金を確保しておくことが大切です。転職活動が長引いた場合でも返済を続けられるよう、十分な資金を準備しておきましょう。
一般的には生活費の3〜6か月分を目安に貯蓄を確保しておくと安心です。奨学金返済額も含めた毎月の支出を把握し、失業期間が発生しても生活できる状態を目指しましょう。
- 生活費3〜6か月分が目安
- 失業期間への備え
- 緊急予備資金の重要性
生活防衛資金があることで、焦って転職先を決めるリスクを減らし、自分に合った職場選びがしやすくなります。
返済スケジュールを事前に確認する
転職活動を始める前に、現在の奨学金返済状況を確認しておくことも重要です。毎月いくら返済しているのか、残債はいくらあるのかを把握しておくことで、無理のない転職計画を立てやすくなります。
日本学生支援機構(JASSO)の奨学金を利用している場合は、「スカラネット・パーソナル」で返済状況を確認できます。
- スカラネット・パーソナルの活用
- 毎月の返済額を把握する
- 残債額を確認する
収入が一時的に減少する可能性がある場合は、減額返還制度や返還期限猶予制度の利用条件についても確認しておくと安心です。
無計画な退職は避ける
奨学金返済中は、勢いだけで退職することは避けたほうがよいでしょう。収入が途絶える期間が長くなるほど、返済や生活費の負担が大きくなります。
可能であれば在職中に転職活動を進め、次の勤務先が決まってから退職するのがおすすめです。また、転職後の収入や支出を想定した家計シミュレーションを行っておくことで、予想外の資金不足を防げます。
- 転職先を決めてから退職する
- ブランク期間を短くする
- 家計シミュレーションを行う
転職はキャリアを前向きに変えるための選択です。奨学金返済とのバランスを考えながら、計画的に進めることで不安を最小限に抑えられるでしょう。
転職で返済が厳しくなったときに利用できる減額返還制度
減額返還制度とは
転職による収入減少や家計状況の変化によって奨学金の返済が難しくなった場合、日本学生支援機構(JASSO)の「減額返還制度」を利用できる可能性があります。
減額返還制度は、毎月の返還額を一定期間減らし、無理なく返済を継続できるよう支援する制度です。返済そのものを止める制度ではなく、返済負担を軽減しながら延滞を防ぐことを目的としています。
- 月々の返済額を減らせる制度
- 経済困難時に利用可能
- JASSOが提供する支援制度
転職直後で収入が下がった場合や、予想以上に家計が厳しくなった場合には、有効な選択肢の一つとなります。
減額返還制度の利用条件
減額返還制度を利用するためには、一定の条件を満たす必要があります。主に収入や所得の状況が審査対象となり、経済的な事情によって返還が困難であることを証明しなければなりません。
また、制度は「返済の意思がある人」を支援することを目的としているため、原則として延滞していないことが求められます。
- 所得基準
- 経済的困難の証明
- 延滞していないことが原則
利用条件や必要書類は申請時期によって変更される場合があるため、最新情報はJASSOの公式サイトや相談窓口で確認しましょう。
利用時の注意点
減額返還制度を利用する際は、制度の仕組みを正しく理解しておくことが大切です。
この制度は毎月の返還額を減らすものであり、奨学金の元金そのものが減額されるわけではありません。そのため、返済総額は変わらず、返済期間が長くなる点に注意が必要です。
- 元金が減る制度ではない
- 返済期間が延びる
- 定期的な更新申請が必要
また、減額返還は一定期間ごとの承認となるため、継続利用を希望する場合は更新手続きが必要になることがあります。利用中も家計改善に向けた取り組みを進めることが重要です。
転職活動中に返済できない場合は返還期限猶予制度を活用する
返還期限猶予制度とは
転職活動中で収入がなくなった場合や、失業によって奨学金の返済が困難になった場合は、「返還期限猶予制度」の利用を検討しましょう。
返還期限猶予制度は、一定期間返済を待ってもらえる制度です。承認された期間中は返済を停止できるため、生活再建や再就職活動に集中しやすくなります。
- 一定期間返済を待ってもらえる制度
- 失業中でも申請可能
- 延滞を防ぐための制度
収入がない状態で無理に返済を続けるのではなく、正式な制度を利用して延滞を防ぐことが大切です。
失業中に必要となる主な提出書類
失業を理由に返還期限猶予を申請する場合は、現在の状況を証明する書類の提出が求められます。
提出書類は状況によって異なりますが、一般的には失業状態を証明する公的書類が必要です。
- 雇用保険受給資格者証
- 離職票
- 資格喪失確認通知書
- その他証明書類
事前に必要書類を確認し、不備がないよう準備することでスムーズな申請につながります。
申請は延滞前に行うことが重要
返還期限猶予制度を利用する際は、返済ができなくなってからではなく、返済が難しくなりそうだと感じた段階で手続きを進めることが重要です。
申請から承認までには一定の時間がかかるため、ギリギリまで放置してしまうと延滞が発生する可能性があります。延滞になると信用情報への影響や督促の対象になる場合もあるため注意が必要です。
- 審査に時間がかかる
- 早めの相談が必要
- 放置によるリスク
転職活動中の不安から返済問題を後回しにしてしまう人もいますが、制度を活用すれば返済負担を軽減できる場合があります。困ったときは早めにJASSOへ相談し、利用できる支援制度を確認しましょう。
奨学金を延滞するとどうなる?
督促や連絡が届く
奨学金の返済を延滞すると、日本学生支援機構(JASSO)から返済を促す通知や連絡が届きます。最初は本人への案内が中心ですが、延滞期間が長くなると保証人や連帯保証人へ連絡が行われる場合もあります。
さらに、状況によっては債権回収会社が回収業務を担当し、返済に関する案内や連絡が届くことがあります。延滞を放置すると対応が複雑になるため、返済が難しい場合は早めに相談することが重要です。
- 本人への通知
- 保証人への連絡
- 債権回収会社からの案内
返済が困難な事情がある場合は、減額返還制度や返還期限猶予制度の利用を検討し、延滞状態になる前に対応しましょう。
延滞金が発生する
返済期限を過ぎると、奨学金の種類や契約内容に応じて延滞金が発生する場合があります。
延滞期間が長くなるほど支払う金額は増え、本来の返済額に加えて余計な負担が生じます。転職活動中や収入減少時に一時的な資金不足が起きても、自己判断で返済を止めることは避けるべきです。
- 延滞利率
- 支払総額の増加
- 家計への影響
返済負担が重くなる前に支援制度を利用することで、家計へのダメージを最小限に抑えられる可能性があります。
信用情報に影響する可能性がある
奨学金の延滞が長期間続いた場合、信用情報に影響する可能性があります。
信用情報に問題が生じると、将来的に各種ローンやクレジット契約の審査に影響する場合があります。特に住宅購入や自動車購入を考えている人は注意が必要です。
- クレジットカード審査
- 住宅ローン審査
- 自動車ローンへの影響
奨学金を借りていること自体は問題になりませんが、延滞を繰り返すことは将来のライフプランにも影響する可能性があります。返済が難しい場合は制度を利用して適切に対応しましょう。
奨学金返済を理由に転職を諦めるべきではない理由
現職に居続けるリスクもある
奨学金返済への不安から転職を諦める人もいますが、現職に留まり続けることにもリスクがあります。
現在の職場で十分な成長機会が得られない場合や、給与水準が低いままの場合は、将来的な収入やキャリア形成に悪影響を及ぼす可能性があります。
- キャリア停滞
- 低賃金の継続
- スキル成長機会の損失
目先の不安だけで判断するのではなく、今後の働き方や将来のキャリアも含めて総合的に考えることが大切です。
長期的な収入向上を考えることが大切
転職は短期的な収入だけでなく、長期的な収入向上につながる可能性があります。
特にキャリアアップ転職では、現在より高い給与や評価制度を得られることもあります。結果として奨学金返済の負担割合が下がり、家計に余裕が生まれるケースも少なくありません。
- 生涯年収の視点
- 市場価値向上
- キャリア形成
転職を検討する際は、数か月先だけでなく数年後・十数年後まで見据えて判断することが重要です。
支援制度を活用すれば転職期間を乗り越えられる
転職活動中の収入減少が不安な場合でも、利用できる支援制度があります。
JASSOの減額返還制度や返還期限猶予制度を活用すれば、返済負担を軽減しながら転職活動を進められる可能性があります。また、失業時には雇用保険の基本手当を受給できる場合もあります。
- 減額返還制度
- 返還期限猶予制度
- 雇用保険制度
利用できる制度を事前に確認しておくことで、転職に対する不安を軽減しやすくなるでしょう。
奨学金返済中の転職でよくある質問(FAQ)
奨学金があると転職先に知られますか?
基本的に奨学金の借入状況や返済状況が転職先に知られることはありません。奨学金は個人と貸与機関との契約であり、企業が採用時に確認することも一般的にはありません。
転職して年収が下がったら減額返還制度は利用できますか?
収入減少などにより返済が困難になった場合は、減額返還制度を利用できる可能性があります。ただし、所得基準や審査条件があるため、詳細はJASSOへ確認しましょう。
失業中は奨学金返済を止められますか?
失業中で返済が難しい場合は、返還期限猶予制度を利用できる可能性があります。承認されると一定期間返済を待ってもらえるため、延滞を防ぐことができます。
奨学金返済中でも住宅ローンは組めますか?
奨学金を返済していることだけで住宅ローンが利用できなくなるわけではありません。ただし、返済負担率や信用情報などが審査対象になるため、延滞がないことが重要です。
奨学金が理由で転職を諦める人は多いですか?
奨学金返済への不安から転職をためらう人はいますが、実際には多くの社会人が返済を続けながら転職しています。支援制度を活用しながら計画的に進めれば、奨学金返済と転職の両立は十分可能です。
まとめ
「奨学金があると転職できない」と不安に感じる人は少なくありません。しかし、奨学金の有無が採用基準になることは基本的になく、実際には多くの社会人が返済を続けながら転職やキャリアアップを実現しています。
確かに転職によって一時的に収入が減少したり、失業期間が発生したりするリスクはあります。しかし、生活防衛資金を準備したうえで計画的に転職活動を進めれば、そのリスクを抑えることは可能です。また、収入減少などで返済が難しくなった場合でも、日本学生支援機構(JASSO)には減額返還制度や返還期限猶予制度といった支援制度が用意されています。
一方で、奨学金返済への不安だけを理由に転職を諦めてしまうと、キャリアの停滞や収入向上の機会を逃してしまう可能性もあります。大切なのは、現在の返済状況を把握し、利用できる制度を理解したうえで将来のキャリアを考えることです。奨学金返済と転職は十分に両立できるため、長期的な視点で自分に合った働き方を選択しましょう。