奨学金関連サービスは、現在の状況に合わせて選ぶことが重要です。借りる前ならJASSOのシミュレーター、応募先を探すなら公的・民間の奨学金検索サイト、返還中ならスカラネット・パーソナルが基本です。
また、奨学金の返還負担を軽減したい場合は、企業の返還支援制度や、そのような企業への就職・転職を支援するサービスも選択肢になります。
この記事では、奨学金を探す段階から卒業後の返還まで、目的別に役立つ8つのサービスを比較します。
※2026年8月時点の情報です。個別の募集条件やサービス内容は変更される可能性があるため、利用前に必ず公式情報をご確認ください。
奨学金関連サービスは目的に合わせて選ぼう
奨学金関連サービスは、大きく次の4種類に分けられます。
- 利用できる奨学金や返還額を試算するサービス
- 大学・自治体・民間財団などの奨学金を探すサービス
- 利用中の奨学金情報や返還状況を管理するサービス
- 就職や生活サービスを通じて返還負担の軽減を目指すサービス
自分が現在どの段階にいるかを整理してから利用することが大切です。
| 目的 | サービス | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 利用できる制度・返還額を試算する | JASSOのシミュレーター | 給付・貸与の対象や返還月額などを試算できる |
| 大学・自治体等の制度を探す | JASSO奨学金制度検索 | 大学、短大、自治体等の制度を条件検索できる |
| 民間財団等も含めて探す | ガクシー | 給付型・貸与型、地域、申込時期などで検索できる |
| キーワードや進路から探す | Canpass | 自治体・民間団体などの奨学金を検索できる |
| 奨学金情報を管理する | スカラネット・パーソナル | 貸与・給付・返還情報の確認や各種手続きができる |
| 返還支援企業を探す | JASSO代理返還導入企業検索 | 地域・業種・企業名から制度導入企業を探せる |
| 就職・転職と返還支援を相談する | 奨学金バンク | 支援企業検索、求人紹介、就職・転職相談を利用できる |
| 生活サービスを通じて返還を支援する | リーペイ | 対象サービスの利用額に応じた金額を返還に充当する |
シミュレーターや検索サービスに表示された結果は、採用や支援を保証するものではありません。最終的な条件は、JASSOや大学、自治体、財団、企業などの最新案内で確認してください。
1.JASSOのシミュレーター|借りる前に対象制度と返還額を試算する
奨学金を借りる前に利用したいのが、日本学生支援機構(JASSO)のシミュレーターです。目的が異なる2つのサービスが用意されています。
進学資金シミュレーター
「進学資金シミュレーター」では、世帯の収入や家族構成などを入力し、利用できる可能性がある給付奨学金・貸与奨学金の目安を調べられます。
主なシミュレーションは次のとおりです。
- 給付・貸与シミュレーション(生徒・学生向け)
- 給付・貸与シミュレーション(保護者向け)
- 大学院貸与シミュレーション
簡単な項目で大まかな目安を確認したい場合は生徒・学生向け、税や所得に関する情報を用いて詳しく確認したい場合は保護者向けが候補です。
ただし、シミュレーション結果は採用を約束するものではありません。実際の審査では、申込年度、世帯構成、収入・所得、住民税情報、資産、生計維持者などが確認されます。
利用後は、進学予定校の奨学金窓口や、その年度の募集案内で正式な条件を確認しましょう。
奨学金貸与・返還シミュレーション
貸与型奨学金について「総額でいくら借りるのか」「卒業後に毎月いくら返すのか」を確認したい場合は、奨学金貸与・返還シミュレーションが役立ちます。
いくつかの条件を入力すると、次の項目を試算できます。
- 貸与総額
- 毎月の返還額
- 返還回数
- 返還が完了する時期
第一種奨学金は無利子、第二種奨学金は有利子です。第二種奨学金の返還額は、貸与額だけでなく、適用される利率や返還方法によっても変わります。
貸与月額を決める際は、毎月受け取れる金額だけでなく、卒業後の返還額まで確認しましょう。
2.JASSO奨学金制度検索|大学・自治体等の制度を探す
JASSOの「大学・地方公共団体等が行う奨学金制度」では、JASSO以外の奨学金も検索できます。
掲載対象は主に次の制度です。
- 大学・短期大学の学内奨学金
- 大学・短期大学の授業料減免
- 授業料等の徴収猶予
- 都道府県・市区町村の奨学金
- その他の奨学金事業実施団体による制度
地域、学校区分、奨学金の種類、申込時期などから絞り込めます。自治体の制度は、現在の居住地だけでなく、出身地や保護者の居住地が条件になっている場合もあります。
JASSOによると、2026年7月31日更新時点の掲載団体数は、大学364校、短期大学112校、地方公共団体・奨学金事業実施団体等420団体です。
ただし、検索結果は各大学・団体から提供された資料をもとに作成されています。申込期限や支給額、併用条件などが変更されている可能性もあるため、応募前に実施団体へ確認してください。
3.ガクシー|給付型・貸与型などの条件から奨学金を探す
ガクシーは、株式会社ガクシーが運営する奨学金情報サイトです。JASSO、大学、地方公共団体、民間財団などの奨学金を探す際に利用できます。
主な検索条件は次のとおりです。
- 給付型・貸与型・授業料減免
- 支給対象
- 対象地域
- 申込時期
- 所得制限の有無
- 成績制限の有無
- 他の奨学金との併用可否
- 学校が募集する奨学金を含めるか
給付型奨学金や民間財団の制度を幅広く探したい人に向いています。「所得制限なし」「大学院」「留学」など、希望に近い条件から候補を探せる点も特徴です。
一方、サイトに掲載されている金額や期限だけで応募を判断しないようにしましょう。奨学金によって、学校推薦が必要なもの、大学を通じて申し込むもの、他制度と併用できないものがあります。
候補が見つかったら、実施団体の公式募集要項で以下を確認してください。
- 対象年度と募集期間
- 給付型か貸与型か
- 対象となる学校・学年・地域
- 収入・所得・資産の条件
- 成績などの学業基準
- 他の奨学金との併用条件
- 学校推薦や学内選考の有無
4.Canpass|キーワードや進路に合った奨学金を探す
Canpassは、一般財団法人あしなが育英会が提供する奨学金検索サイトです。キーワードや進路などの条件から、自分に合う奨学金を探せます。
特定の奨学金名を知らなくても、進学先や自分の状況をもとに検索できるため、自治体・民間団体の奨学金を含めて候補を広げたい場合に便利です。
奨学金は、似た名称でも次の条件が異なります。
- 給付型か貸与型か
- 対象となる進路・学年
- 居住地や出身地
- 家計・学業基準
- 申込期限
- 学校経由か個人応募か
- 他制度と併用できるか
Canpassで候補を探した後は、募集団体の公式サイトや募集要項で最新条件を再確認しましょう。
5.スカラネット・パーソナル|奨学金情報や返還状況を確認する
スカラネット・パーソナルは、JASSOの奨学金を貸与・給付・返還中の人が利用できる公式の情報システムです。
奨学金を新しく探すサービスではなく、自分が利用している奨学金の情報確認や手続きを行うためのサービスです。
主に次の用途で利用できます。
- 奨学金の貸与・給付情報の確認
- 返還情報や返還残額の確認
- 登録情報の確認・変更
- 各種届出や申請
- 奨学金返還証明書などの発行申請
企業の奨学金返還支援を申し込む際には、返還残額や月々の返還額が分かる書類を求められる場合があります。その際も、スカラネット・パーソナルの詳細情報や返還証明書を利用できることがあります。
返還支援を申し込む予定がなくても、貸与終了後は一度ログインし、毎月の返還額、返還開始月、登録されている口座などを確認しておきましょう。
6.JASSO代理返還導入企業検索|奨学金の返還支援企業を探す
JASSOの「企業等の奨学金返還支援(代理返還)制度」は、企業が従業員に代わり、奨学金返還残額の一部または全部をJASSOへ直接送金する仕組みです。
2021年4月から企業によるJASSOへの直接送金が可能になりました。JASSOの特設サイトによると、2026年3月末時点で4,852社が代理返還制度を利用しています。
学生・返還者向けの検索ページでは、地域、業種、企業名などから導入企業を探せます。奨学金を返還しながら就職先を探す人にとって、企業選びの材料の一つになります。
ただし、「制度を導入している企業に就職すれば、誰でも同じ支援を受けられる」という意味ではありません。支援条件は企業ごとに異なり、例えば次の条件が設けられることがあります。
- 正社員であること
- 対象年齢以下であること
- 一定期間勤務していること
- 支援対象となる職種・勤務地であること
- JASSOの第一種・第二種奨学金を返還していること
- 会社が定める申請期間内に手続きを行うこと
JASSOの代理返還制度は、原則としてJASSOの第一種奨学金・第二種奨学金が対象です。ただし、企業が独自にJASSO以外の奨学金を支援している場合もあります。
企業を比較するときは、支援額だけでなく、給与、賞与、仕事内容、勤務地、雇用形態、福利厚生、支援期間も含めて確認しましょう。
7.奨学金バンク|返還支援企業への就職・転職を相談する
奨学金バンクは、奨学金の返還支援に取り組む企業の情報提供や、就職・転職支援を行うサービスです。
JASSOの企業検索が「制度導入企業を自分で探すサービス」であるのに対し、奨学金バンクでは、希望条件を踏まえた求人提案や選考サポートも受けられます。
奨学金バンクで利用できるサービス
奨学金バンクが公式サイトで案内している主なサービスは次のとおりです。
- 奨学金返還支援に取り組む企業の検索
- 新卒・既卒者向けの就職相談
- 社会人向けの転職相談
- 希望条件に応じた求人情報の提供
- 応募・選考中のサポート
- 入社後の奨学金返還支援に関する手続き
支援企業一覧では、業種、都道府県、支援種類、キーワードなどから企業を検索できます。返還支援だけでなく、奨学金バンクから紹介可能な企業かどうかなども表示されます。
就職・転職サポートは利用者側の費用は無料で、奨学金の返還に詳しいキャリアアドバイザーへ相談できます。
奨学金バンクの返還支援の仕組み
奨学金バンクと「奨学金返済支援業務委託書」を締結した企業では、就職先企業が独自の条件で返還支援を行います。奨学金バンクは企業から業務を受託し、JASSOなどの奨学金機関への返還手続きを代行します。
奨学金バンクを利用する流れ
一般的な利用の流れは次のとおりです。
- 就職・転職サポートへ登録する
- 希望する仕事内容や勤務地などを相談する
- 条件に合う求人の提案を受ける
- 希望する企業の選考を受ける
- 内定後、条件を確認して入社する
- 企業所定の条件を満たした後、返還支援を開始する
就職活動中の学生・既卒者は就活サポート、社会人は転職サポートで詳細を確認できます。
8.リーペイ|生活サービスの利用を奨学金返還につなげる
リーペイは、TFCO株式会社が提供する奨学金返還支援プラットフォームです。
電気やインターネットなど、リーペイが案内する対象サービスを利用すると、利用額に応じた金額がJASSO奨学金の返還に充当される仕組みを案内しています。
2026年8月時点の公式サイトでは、対象サービスの毎月の利用額の5~6%が奨学金の返還に充当されるとされています。また、奨学金を返還している本人だけでなく、家族が対象サービスを契約し、その還元額を本人の返還に充てる利用方法も案内されています。
ただし、還元があることだけで契約を決めるのは避けましょう。利用前に次の点を確認する必要があります。
- 対象となる奨学金
- 対象となる電気・通信等のサービス
- サービスの提供地域
- 月額料金や従量料金
- 契約期間と解約条件
- 違約金や初期費用の有無
- 実際に返還へ充当される金額
- 現在利用中のサービスとの差額
例えば、還元額よりもサービス料金の増加額が大きい場合、家計全体では負担が増える可能性があります。現在の契約と年間総額で比較しましょう。
奨学金関連サービスを選ぶときの5つの確認ポイント
奨学金サービスを選ぶ際は、「掲載数が多い」「還元がある」といった説明だけでなく、次の5点を確認しましょう。
1.運営者と公式情報への導線が明確か
運営会社・団体の名称、所在地、問い合わせ先、利用規約、プライバシーポリシーが公開されているか確認します。
検索サービスを利用する場合は、奨学金を実施する大学・自治体・財団などの公式募集要項へたどり着けるかも重要です。
2.自分の奨学金が対象か
「奨学金」と書かれていても、すべての制度が対象になるとは限りません。
特に返還支援サービスでは、次の違いを確認してください。
- JASSOの第一種・第二種だけが対象か
- 自治体や民間財団の貸与奨学金も対象か
- あしなが育英会など特定団体の奨学金に対応しているか
- 教育ローンは対象外か
正式な奨学金名や貸与番号が分からない場合は、スカラネット・パーソナルや契約書類で確認しましょう。
3.利用料金や追加契約があるか
奨学金検索や就職相談が無料でも、関連する別サービスの契約が必要な場合があります。
生活サービスと連動する返還支援では、還元額だけでなく、基本料金、従量料金、初期費用、解約費用を含む総負担を比較する必要があります。
4.情報がいつ更新されたか
奨学金の募集期限や支給条件は、年度ごとに変わることがあります。前年の情報が掲載されたままになっていないか確認しましょう。
検索サイトで候補を見つけた場合も、実施団体の最新募集要項を優先します。
5.支援を受けるための条件は何か
返還支援企業では、入社するだけで支援対象になるとは限りません。雇用形態、勤続期間、年齢、職種、勤務地、申請時期などを確認してください。
早期退職時の扱いや、休職・退職によって支援が終了するかも確認しておくと安心です。
自分に合うサービスを選ぶ3ステップ
どのサービスを利用すべきか迷ったら、次の順番で整理しましょう。
- 現在の段階を確認する
「借りる前」「応募先を探している」「貸与・給付中」「返還中」のどこにいるかを整理します。 - 公的サービスで基本情報を確認する
JASSOのシミュレーター、制度検索、スカラネット・パーソナルを使い、対象制度や返還状況を確認します。 - 必要に応じて民間サービスを追加する
民間奨学金を幅広く探す、返還支援企業への就職・転職を相談する、生活サービスを返還につなげるといった目的に合わせて選びます。
複数の検索サービスを併用する場合でも、同じ奨学金へ重複応募できるとは限りません。併用・併願条件を確認してください。
返還が難しいときは先にJASSOへ相談する
失業、収入減、傷病、災害などによって毎月の返還が難しくなった場合は、返還支援サービスを探すだけでなく、延滞する前にJASSOへ相談しましょう。
JASSOには、主に次の救済制度があります。
減額返還制度
一定の条件を満たす場合に、毎月の返還額を減らし、その分だけ返還期間を延長する制度です。
返還額が自動的に減るわけではなく、本人による申請と審査が必要です。また、原則として返還総額そのものを減らす制度ではありません。
返還期限猶予制度
傷病や経済困難などの事情により返還が難しい場合、一定期間、返還を先送りする制度です。こちらも申請と審査が必要です。
返還支援企業への転職には時間がかかり、採用される保証もありません。目の前の返還が難しいときは、まず救済制度の対象になるかを確認してください。
奨学金関連サービスに関するよくある質問
奨学金検索サービスから直接申し込めますか?
サービスや奨学金によって異なります。
オンラインで直接応募できるものだけでなく、実施団体のサイトから申し込むもの、在籍校を通じて応募するもの、学校推薦や学内選考が必要なものもあります。検索結果に表示された応募方法と、実施団体の最新募集要項を確認してください。
複数の奨学金検索サービスを利用しても問題ありませんか?
検索サービスを複数利用すること自体は可能です。ただし、見つけた奨学金同士を併用できるとは限りません。
特に給付型奨学金では、他の民間奨学金との併給を制限している場合があります。申請前に併用・併願条件を確認しましょう。
奨学金バンクに登録すれば必ず返還支援を受けられますか?
必ず受けられるわけではありません。
返還支援の対象となる求人へ応募し、選考を経て入社が必要です。
返還支援企業は支援額が多い会社を選ぶべきですか?
支援額だけで判断するのは避けましょう。
給与、賞与、仕事内容、勤務地、勤務時間、雇用形態、福利厚生などを含めた条件が重要です。返還支援額が高くても、自分の希望する働き方やキャリアに合わない場合があります。
奨学金の返還が難しい場合、返還支援企業へ転職すべきですか?
返還支援企業への転職は選択肢の一つですが、すぐに返還問題を解決できるとは限りません。
現在の返還が難しい場合は、まずJASSOへ相談し、減額返還や返還期限猶予を利用できるか確認してください。そのうえで、中長期的な選択肢として返還支援企業への転職を検討しましょう。
まとめ|奨学金関連サービスを目的別に使い分けよう
奨学金関連サービスは、現在の状況によって使い分けることが重要です。
借りる前はJASSOのシミュレーターで対象制度と返還額を試算し、応募先を探すときはJASSOの制度検索、ガクシー、Canpassを利用します。貸与・給付中や返還中の情報管理には、スカラネット・パーソナルが基本です。
返還支援のある勤務先を探す場合は、JASSOの代理返還導入企業検索を利用できます。企業を自分で検索するだけでなく、求人紹介や選考支援も受けたい場合は、奨学金バンクが選択肢になります。
奨学金を返還中・返還予定で、返還支援のある企業への就職や転職を検討している方は、奨学金バンクの支援企業一覧や無料の就職・転職相談を確認してみてください。