進学費用を準備するなかで、「奨学金はどこで借りるのがよいのか」「JASSO以外にも利用できる制度はあるのか」と悩む人は少なくありません。奨学金には、日本学生支援機構(JASSO)のような公的制度だけでなく、自治体、大学・専門学校、民間財団、企業などが提供する制度もあります。また、返済が必要な貸与型と、返済不要の給付型では、卒業後の負担が大きく異なります。JASSOの調査では、令和4年度に大学学部(昼間部)の55.0%が何らかの奨学金を受給していました。この記事では、奨学金をどこで借りられるのか、種類ごとの特徴、申込方法、借りる前に確認すべき注意点をわかりやすく解説します。
奨学金はどこで借りる?まず押さえたい主な選択肢
日本学生支援機構(JASSO)の奨学金
日本学生支援機構(JASSO)の奨学金は、日本で最も利用者が多い代表的な奨学金制度です。
奨学金には返済不要の給付奨学金と、卒業後に返還する貸与奨学金があります。
貸与型奨学金は、無利子の第一種奨学金と有利子の第二種奨学金に分かれており、家庭の状況や希望に応じて選択できます。
申し込み方法には、高校在学中に申請する予約採用と、進学後に申請する在学採用があります。
利用するためには、学力基準や家計基準を満たす必要があるため、事前に募集要項を確認しておきましょう。
地方自治体の奨学金
地方自治体の奨学金は、都道府県や市区町村が実施している制度です。
地元出身者や自治体内の居住者を対象としているケースが多く、地域の人材育成を目的としています。
制度内容は自治体によって異なり、給付型・貸与型・返還支援型などさまざまな種類があります。
中には、卒業後に地域へ定住したり、特定の職種に就業したりすることを条件に返還が免除される制度もあります。
募集時期や応募条件は自治体ごとに異なるため、住んでいる地域や進学先の自治体情報を早めに確認することが大切です。
大学・短大・専門学校独自の奨学金
大学・短大・専門学校では、独自の奨学金制度を設けている場合があります。
入学前に申し込める予約型奨学金や、成績優秀者向けの奨学金、家計急変者向けの支援制度などが代表的です。
また、授業料の一部または全額を減免する授業料減免型の制度を用意している学校もあります。
制度の内容や支給金額、募集人数は学校ごとに異なるため、志望校の公式サイトや募集要項で詳細を確認しましょう。
民間財団・企業の奨学金
民間財団や企業が実施する奨学金も、進学費用を支援する有力な選択肢です。
公益財団法人や企業財団が提供する奨学金は、給付型が多く、返済不要で利用できるケースが少なくありません。
一方で、応募者が多いため選考倍率が高くなることもあります。
応募条件として、専攻分野や学年、居住地域、将来目指す職業などが指定される場合があります。
また、JASSOや学校独自の奨学金との併用が認められているかどうかも制度ごとに異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
奨学金の種類は大きく「給付型」と「貸与型」に分かれる
給付型奨学金は返済不要
給付型奨学金は、返還義務がない奨学金です。
進学後に返済する必要がないため、卒業後の経済的な負担を軽減できる点が大きなメリットです。
ただし、利用するためには家計基準や学力基準などの条件を満たす必要があります。
JASSOの給付奨学金は、高等教育の修学支援新制度と連動しており、対象者は奨学金の支給だけでなく、入学金や授業料の減免を受けられる場合があります。
制度を利用する際は、自分が進学する学校が対象校に指定されているかを事前に確認しておきましょう。
貸与型奨学金は卒業後に返済が必要
貸与型奨学金は、進学費用として借りたお金を卒業後に返還する制度です。
JASSOの貸与型奨学金には、無利子の第一種奨学金と、有利子の第二種奨学金があります。
借入額によっては返還期間が長期にわたり、卒業後の家計に影響を与えることもあります。
そのため、毎月の借入額を決める前に、卒業後の返還額や返還期間をシミュレーションしておくことが重要です。
必要以上に借りすぎないよう、進学後の生活費や将来の収入見込みも考慮して利用しましょう。
条件付き給付・返還免除型の奨学金もある
奨学金の中には、一定の条件を満たすことで返還が免除される制度もあります。
特に医療・福祉・教育分野では、卒業後に指定地域や指定職種で一定期間勤務することを条件とした制度が多く見られます。
条件を満たした場合は返還が不要になりますが、途中で退職したり対象外の地域へ転居したりすると返還義務が発生する場合があります。
制度ごとに勤務条件や免除条件が異なるため、申し込み前に内容を十分確認しておくことが大切です。
JASSOの奨学金はどこで申し込む?
予約採用は高校を通じて申し込む
予約採用は、大学や専門学校などへ進学する前に申し込む方法です。
一般的には高校3年生の時期に学校から案内があり、在学している高校を通じて手続きを進めます。
進学前に採用候補者として決定されるため、入学後の資金計画を立てやすい点がメリットです。
また、高校卒業後2年以内の人も対象となる場合があります。
高等学校卒業程度認定試験の合格者などは、JASSOへ直接申し込むケースもあります。
在学採用は進学後の学校を通じて申し込む
在学採用は、大学・短大・専門学校などへ進学した後に申し込む方法です。
申し込みは学校の奨学金窓口を通じて行います。
予約採用で不採用となった場合でも、在学採用で再度申し込みできることがあります。
募集時期は学校によって異なり、春や秋に実施されることが一般的です。
奨学金を借りる前に比較すべきポイント
返済が必要かどうか
奨学金を選ぶ際は、まず返済が必要な制度なのかを確認することが大切です。
給付型奨学金は返済不要ですが、貸与型奨学金は卒業後に返還する必要があります。
「奨学金」という名称であっても、実質的には借入に近い制度も少なくありません。
貸与型の場合、返済者は原則として学生本人となるため、卒業後の負担も考慮して利用を検討しましょう。
利子の有無
貸与型奨学金を利用する場合は、利子の有無も重要な比較ポイントです。
JASSOの第一種奨学金は無利子ですが、第二種奨学金は有利子となります。
一般的な教育ローンと比べて低金利で利用できる場合もありますが、借入額によっては返還総額が大きくなることがあります。
また、第二種奨学金では利率固定方式と利率見直し方式を選択できるため、それぞれの特徴を理解したうえで選ぶことが大切です。
併用できるかどうか
複数の奨学金を組み合わせて利用できるかどうかも確認しておきましょう。
例えば、JASSOと大学独自の奨学金、JASSOと民間財団の奨学金、給付型と貸与型の併用が認められているケースがあります。
一方で、制度によっては併用が認められていない場合もあります。
申し込み後に利用できないことが判明しないよう、事前に募集要項や制度内容を確認することが重要です。
入学金に間に合うかどうか
奨学金の支給時期も必ず確認しておきたいポイントです。
JASSOの奨学金は、一般的に入学後に振り込まれるため、入学金や初年度納入金の支払いには間に合わない場合があります。
そのため、入学前に必要な資金については、教育ローンや自治体の支援制度なども含めて検討する必要があります。
特に入学金は合格後すぐに納付期限が設定されることが多いため、早めに資金計画を立てておきましょう。
奨学金はどこで借りるのがいい?目的別の選び方
まず返済不要の給付型奨学金を探す
奨学金を探す際は、まず返済不要の給付型奨学金から検討するのがおすすめです。
JASSOの給付奨学金をはじめ、大学独自の給付奨学金、自治体の給付制度、民間財団の給付型奨学金など、さまざまな制度があります。
制度ごとに応募条件や募集時期が異なるため、自分が対象になる制度を複数確認しておきましょう。
給付型で不足する場合は貸与型を検討する
給付型奨学金だけでは学費や生活費をまかなえない場合は、貸与型奨学金の利用を検討します。
まずは無利子の第一種奨学金を優先的に確認し、必要に応じて第二種奨学金を利用するとよいでしょう。
ただし、借入額が増えるほど卒業後の返還負担も大きくなります。
家計状況やアルバイト収入、生活費なども踏まえ、必要な金額だけを借りることが大切です。
地元で働く予定がある人は自治体制度も確認する
卒業後に地元で働く予定がある人は、自治体の奨学金制度も確認しておきましょう。
地元就職や定住、指定職種への就業、Uターン就職などを条件として支援を行う自治体もあります。
一定期間勤務することで返還が免除されたり、返還支援を受けられたりする制度もあります。
地域によって内容が大きく異なるため、自治体の公式情報を確認することが重要です。
専門職を目指す人は条件付き奨学金を確認する
看護師、介護福祉士、保育士、医師、薬剤師、教員、技術職などの専門職を目指す人は、条件付き奨学金も有力な選択肢です。
これらの制度では、卒業後に指定された地域や施設で一定期間勤務することで返還が免除される場合があります。
学費負担を大きく軽減できる可能性がありますが、勤務先や勤務期間などの条件が設定されていることが一般的です。
将来のキャリアプランと合っているかを確認したうえで申し込みを検討しましょう。
詳細な日程や募集要項は、入学後に学校から配布される案内を確認しましょう。
申込時に必要になりやすい書類
JASSOの奨学金を申し込む際には、さまざまな書類や情報の提出が必要になります。
主なものとして、本人情報、生計維持者の情報、マイナンバー関係書類、収入・所得に関する情報などがあります。
また、人的保証や機関保証などの保証制度に関する書類を求められることもあります。
そのほか、学校ごとに指定された申込書類の提出が必要になるため、案内内容をよく確認し、不備のないよう準備を進めましょう。
奨学金を借りるときの注意点
借りられる金額ではなく返せる金額で考える
奨学金を利用する際は、「いくら借りられるか」ではなく「卒業後に無理なく返せるか」という視点で考えることが重要です。
貸与型奨学金は卒業後に返還が必要になるため、毎月の返還額や返還期間、利子の有無を事前に確認しておきましょう。
また、就職後の手取り収入だけでなく、一人暮らしの生活費や将来の結婚・出産などのライフイベントも考慮する必要があります。
将来の負担を軽減するためにも、必要以上に借りすぎないことが大切です。
返済開始時期を確認する
貸与型奨学金は、卒業後に返還が始まります。
JASSOの貸与型奨学金では、返還は原則として口座振替で行われます。
就職直後は、引っ越し費用や新生活の準備費用などで支出が増えやすい時期です。
そのため、初任給だけを前提に返済計画を立てるのではなく、余裕を持った資金計画を考えておきましょう。
保証制度を確認する
奨学金の申し込みでは、保証制度の選択も重要なポイントです。
JASSOの貸与型奨学金では、人的保証と機関保証のいずれかを選択することになります。
人的保証では連帯保証人や保証人が必要となり、返還が滞った場合には家族などへ影響が及ぶ可能性があります。
一方、機関保証では保証料が必要になりますが、連帯保証人や保証人を立てる必要はありません。
どちらを選ぶかは家族とも事前によく話し合っておきましょう。
返済が難しくなった場合の制度も知っておく
奨学金は、返済が困難になった場合の支援制度も用意されています。
代表的な制度として、毎月の返還額を減らす減額返還制度や、一時的に返還を停止できる返還期限猶予制度があります。
また、所得に応じて返還額が決まる所得連動返還方式を利用できる場合もあります。
延滞してからではなく、返済が難しいと感じた時点で早めに相談することが重要です。
スカラネット・パーソナルを活用して返還状況を確認しながら管理しましょう。
奨学金を借りた後に返済負担を軽減する方法
JASSOの救済制度を利用する
奨学金の返済が負担になった場合は、JASSOが用意している救済制度を活用できます。
減額返還制度を利用すると、一定期間の毎月の返還額を減らすことができます。
また、失業や病気、災害などで返還が困難になった場合は、返還期限猶予制度を利用できる可能性があります。
所得連動返還方式を利用している場合は、収入に応じた返還額になるため、負担を抑えられることがあります。
制度ごとに利用条件や必要書類が異なるため、事前に確認しておきましょう。
自治体の奨学金返還支援制度を調べる
地方自治体の中には、奨学金返還を支援する制度を設けているところがあります。
地方移住や地元就職、若者の定住促進、指定職種への就業支援などを目的としている制度が代表的です。
一定の条件を満たすことで、返還額の一部補助や返還支援を受けられる場合があります。
対象年齢や居住条件、勤務条件などは自治体ごとに異なるため、募集要項を確認しましょう。
企業等の奨学金返還支援制度を活用する
近年は、企業が従業員の奨学金返還を支援する制度を導入するケースも増えています。
JASSOの企業等の奨学金返還支援制度では、企業が従業員に代わって返還残額の一部または全額をJASSOへ直接送金する仕組みがあります。
対象となるのは、JASSOの第一種奨学金または第二種奨学金を利用していた従業員です。
支援額や支援期間、対象者の条件は企業ごとに異なるため、就職活動や転職活動の際には制度の有無を確認しておくとよいでしょう。
ただし、制度だけで判断するのではなく、給与水準や働き方、キャリア形成のしやすさなども含めて総合的に検討することが大切です。
奨学金を借りる前によくある質問(FAQ)
奨学金はどこで借りるのが一般的ですか?
最も一般的なのは、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金です。利用者が多く、給付型と貸与型の両方が用意されています。
ただし、奨学金には自治体や大学・専門学校独自の制度、民間財団が実施する制度などもあります。
まずは返済不要の給付型奨学金から探し、不足する場合に貸与型を検討するのが基本的な考え方です。
奨学金と教育ローンはどちらを使うべきですか?
奨学金は学生本人が利用する制度が中心で、教育ローンは保護者が借りるケースが一般的です。
JASSOの奨学金は入学後に振り込まれることが多いため、入学金や初年度納入金など入学前に必要な資金には教育ローンが必要になる場合があります。
どちらを利用するかは、返済者、金利、入金時期などを比較しながら判断しましょう。
奨学金は生活費にも使えますか?
多くの奨学金は、授業料だけでなく生活費を含む修学関連費用にも利用できます。
例えば、家賃、教材費、通学費などに充てられる場合があります。
ただし、制度によっては用途が限定されていることもあるため、募集要項や利用条件を確認しておきましょう。
奨学金は複数申し込めますか?
奨学金は複数申し込みできる場合があります。
JASSOと学校独自の奨学金、JASSOと民間財団の奨学金などを併用できるケースもあります。
一方で、併用が認められていない制度もあるため、給付型・貸与型・学校独自制度それぞれの条件を事前に確認することが大切です。
奨学金を借りすぎた場合はどうなりますか?
奨学金を必要以上に借りると、卒業後の返還負担が大きくなります。
返還期間が長期化し、毎月の家計に影響を与える可能性があります。
特に第二種奨学金は利子が発生するため、返還総額が想定より大きくなることもあります。
申し込み前に必要額と返済可能額をシミュレーションし、無理のない範囲で利用することが重要です。
奨学金をどこで借りるか迷ったら返済後の生活まで考えよう
進学費用だけでなく卒業後の返済も見据える
奨学金を選ぶ際は、進学時の資金不足を解決するだけでなく、卒業後の返済まで見据えて考えることが大切です。
初任給や家賃、食費、通信費、保険料などの生活費を考慮したうえで、無理なく返済できる金額を判断しましょう。
また、将来的な貯金や結婚、出産、住宅購入などのライフイベントも見据えて資金計画を立てることが重要です。
就職先の奨学金返還支援制度も確認する
近年は、福利厚生の一環として奨学金返還支援制度を導入する企業が増えています。
こうした制度を利用できれば、卒業後の返済負担を軽減できる可能性があります。
ただし、対象となる従業員や支援額、支援期間などの条件は企業ごとに異なります。
求人票だけでは詳細が分からない場合もあるため、説明会や面接時に確認しておくと安心です。
奨学金バンクで返還支援制度のある企業を探す
奨学金返済中の学生や若手社会人は、奨学金バンクを活用する方法もあります。
奨学金バンクでは、奨学金返還支援制度を導入している企業とのマッチングや、キャリア相談、就職・転職支援を受けることができます。
将来の返済負担を軽減しながらキャリア形成を考えたい方は、無料相談や会員登録を活用して自分に合った企業を探してみましょう。
まとめ
奨学金は、日本学生支援機構(JASSO)だけでなく、地方自治体、大学・専門学校、民間財団や企業などさまざまな団体が実施しています。進学費用を抑えるためには、まず返済不要の給付型奨学金を優先して探し、不足する場合に貸与型奨学金を検討することが基本です。
また、奨学金を選ぶ際は、借りられる金額だけでなく、卒業後に無理なく返済できるかという視点が欠かせません。利子の有無や返還期間、支給時期、併用可否なども比較しながら、自分に合った制度を選ぶことが大切です。
さらに、自治体の返還支援制度や企業の奨学金返還支援制度を活用できれば、将来の負担を軽減できる可能性があります。進学時だけでなく卒業後の生活やキャリアまで見据えたうえで、最適な奨学金を選びましょう。