近年、「奨学金返済ができない」「毎月の返還が生活を圧迫している」と悩む若者は少なくありません。大学進学率や学費の上昇、親世代の所得環境の変化により、貸与型奨学金を利用して社会人になる人は増え、卒業時点で数百万円の返済を抱えるケースもあります。中央労福協の2024年調査では、JASSO貸与型奨学金利用者の借入総額は平均344.9万円とされ、返済不安や生活設計への影響も指摘されています。
しかし、返済が苦しいからといって、すぐに自己破産を考える必要はありません。日本学生支援機構には、返還期限猶予や減額返還制度が用意されており、延滞前に相談・申請することで負担を軽減できる可能性があります。この記事では、奨学金返済できない若者が増えている背景、返せないときに起こること、破産前に取るべき対処法を実務的な視点で解説します。
奨学金返済できない若者が急増している背景
貸与型奨学金を利用して社会人になる人が多い
近年、「奨学金返済できない若者」が増えている背景には、貸与型奨学金の利用者増加があります。大学進学率は年々上昇しており、現在では多くの若者が大学や専門学校へ進学する時代となりました。一方で、学費や生活費の負担も増加しており、家庭だけで教育費をまかなうことが難しいケースも少なくありません。
その結果、多くの学生が日本学生支援機構(JASSO)などの貸与型奨学金を利用しています。貸与型奨学金は、給付型とは異なり、卒業後に返済が必要な「借金」です。しかし、在学中は毎月振り込まれるため、「将来返済する負債」という感覚を持ちにくい学生もいます。
実際には、卒業と同時に数百万円単位の返済義務を抱えた状態で社会人生活をスタートする人も珍しくありません。住宅ローンや車のローン以前に、すでに奨学金という負債を抱えている若者が増えているのが現状です。
本来であれば、20代は貯金や資産形成を始めやすい時期ですが、奨学金返済によって「ゼロからのスタート」ではなく、「マイナスからのスタート」になるケースも多く、若年層の家計に大きな影響を与えています。
借入総額が数百万円になるケースも珍しくない
奨学金返済が苦しくなる理由の一つが、借入総額の大きさです。現在では、奨学金の借入総額が300万円〜500万円を超えるケースも珍しくありません。特に私立大学や理系学部、大学院進学では学費が高額になりやすく、借入額も大きくなる傾向があります。
例えば、大学4年間で毎月10万円前後を借りると、卒業時には500万円近い借入残高になる可能性があります。さらに大学院へ進学した場合、700万円〜800万円規模になるケースもあります。
こうした奨学金は、卒業後すぐに返済が始まります。毎月の返済額は1万円〜3万円程度になることが多く、返済期間は15年〜20年以上に及ぶケースもあります。一見すると「月2万円程度なら払えそう」と感じるかもしれませんが、新卒時の給与や一人暮らしの生活費を考えると、決して小さな負担ではありません。
特に、家賃、食費、光熱費、通信費などの固定費が高騰している現在では、奨学金返済によって貯金ができず、結婚や出産、住宅購入などのライフプランに影響を受ける若者も増えています。
20代後半から30代になっても返済が続くことで、「将来設計が立てにくい」「常に借金を背負っている感覚がある」と精神的な負担を感じる人も少なくありません。
収入・雇用の不安定さが返済困難を招く
奨学金返済できない若者が増えている背景には、若年層の収入や雇用環境の不安定さもあります。近年は物価上昇が続いている一方で、若者の実質賃金は大きく伸びているとは言い難く、生活に余裕を持てない人も増えています。
新卒で正社員になったとしても、手取り収入は決して高くありません。そこに家賃や生活費、税金、社会保険料などが加わると、毎月の奨学金返済が大きな負担になります。
さらに、非正規雇用や契約社員として働く若者も多く、収入が不安定なケースもあります。転職、休職、病気、メンタル不調などによって収入が減少すると、返済継続が難しくなる可能性があります。
また、近年は親世代にも経済的余裕がない家庭が増えており、「困ったときに親が助けられない」というケースも珍しくありません。以前であれば家族が支援できた状況でも、現在は親子ともに生活に余裕がなく、返済困難に陥りやすい社会構造になっています。
そのため、奨学金問題は単なる「個人の返済能力」の問題ではなく、教育費、雇用、所得、社会保障など複数の課題が重なった社会問題として考える必要があります。
奨学金返済ができない若者に起こりやすい問題
生活費・貯金・結婚などに影響する
奨学金返済が家計に与える影響は想像以上に大きく、若者の生活設計そのものに関わる問題となっています。卒業後すぐに毎月1万円〜3万円前後の返済が始まることで、奨学金は固定費として家計を圧迫します。
特に新卒や20代前半は給与水準が高くないため、家賃や食費、光熱費などを支払ったあとに、十分な貯金ができないケースも少なくありません。「毎月返済すると手元にお金が残らない」と感じる若者も多く、急な出費に対応できない不安を抱えることもあります。
また、奨学金返済は結婚や出産、子育てなど将来のライフイベントにも影響します。パートナーに借入残高を伝えづらい、子どもを持つことに不安があるなど、心理的負担につながるケースもあります。
さらに、資格取得やスキルアップへの投資、転職活動のための準備資金などを確保しづらくなることも問題です。本来であればキャリア形成に使えるはずのお金が返済に回ることで、将来の選択肢が狭まってしまう可能性があります。
延滞すると督促や信用情報に影響する可能性がある
奨学金返済が難しくなった場合、最も注意したいのが「延滞を放置すること」です。返済口座の残高不足などで引き落としができない状態が続くと、日本学生支援機構(JASSO)などから督促が行われます。
最初は電話や通知による案内ですが、長期間延滞すると、より強い督促や法的手続きにつながる可能性があります。また、一定期間以上の延滞は信用情報に登録される場合があり、クレジットカードやローン審査へ影響する可能性もあります。
特に、住宅ローンや自動車ローン、スマートフォン端末の分割払いなど、将来の生活に関わる契約へ影響するケースもあるため注意が必要です。
ただし、返済が難しい状況になった場合でも、すぐに厳しい対応になるわけではありません。日本学生支援機構には「返還期限猶予制度」や「減額返還制度」などが用意されています。
重要なのは、延滞する前に相談することです。「まだ大丈夫だろう」と放置するほど選択肢は少なくなります。返済に不安を感じた時点で、早めに相談・申請を行うことが大切です。
保証人・連帯保証人に請求が及ぶ場合がある
奨学金問題が深刻化しやすい理由の一つが、保証人や連帯保証人への影響です。特に人的保証を選択している場合、本人が返済できなくなると、親や親族に返済義務が発生する可能性があります。
連帯保証人は、借りた本人とほぼ同じ責任を負う立場です。そのため、本人が返済を滞納すると、残債の返済を求められるケースがあります。場合によっては、一括請求を受ける可能性もあります。
実際には、子どもの奨学金返済を高齢の親が肩代わりしているケースや、親子ともに生活困窮に陥るケースも報道されています。奨学金は「本人だけの問題」ではなく、家族全体へ影響する可能性がある点を理解しておく必要があります。
一方、日本学生支援機構には「機関保証」という制度もあります。機関保証を利用すると、保証会社が保証を行うため、親族を連帯保証人に立てる必要がありません。
ただし、機関保証を利用する場合は保証料が必要となるため、返済総額は増える傾向があります。それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで選択することが重要です。
奨学金返済できないときにまず確認すべき制度
返還期限猶予制度
奨学金返済が難しくなった場合、まず確認したいのが「返還期限猶予制度」です。これは、病気やけが、失業、災害、収入減少など一定の事情がある場合に、返済を一定期間先送りできる制度です。
例えば、転職活動中で収入が不安定な場合や、休職によって返済が難しくなった場合でも、条件を満たせば利用できる可能性があります。
ただし、この制度は「返済を免除する制度」ではありません。あくまで返済時期を後ろへ延ばす制度であり、元金そのものが減るわけではない点には注意が必要です。
申請は日本学生支援機構の「スカラネット・パーソナル」などから行えるため、返済が厳しいと感じた時点で早めに確認するとよいでしょう。
延滞してからではなく、「返済できなくなりそう」と感じた段階で相談・申請することが重要です。
減額返還制度
毎月の返済額そのものを減らしたい場合は、「減額返還制度」の利用を検討できます。日本学生支援機構では、一定の収入条件などを満たす場合、毎月の返還額を軽減できる制度を設けています。
具体的には、返還月額を3分の2、2分の1、3分の1、4分の1などへ減額できる場合があります。月々の負担が軽くなるため、生活費とのバランスを取りやすくなる点がメリットです。
ただし、毎月の返済額が減る分、返済期間は長くなります。そのため、総返済期間が延びることは理解しておく必要があります。
また、この制度は延滞前の申請が重要です。すでに長期間延滞している場合、利用条件を満たせなくなる可能性があります。
返済が厳しいと感じた場合は、「今月だけなら大丈夫」と無理を続けるのではなく、制度利用も含めて早めに対策を考えることが大切です。
返還免除制度
奨学金には、一定条件を満たした場合に返済そのものが免除される「返還免除制度」もあります。ただし、利用できるケースは限定的であり、誰でも対象になるわけではありません。
代表的な例としては、本人が死亡した場合や、重い心身障害によって働けなくなった場合などがあります。また、一部の制度では、特定の研究職や教育職に進んだ場合に返還免除となるケースもあります。
ただし、制度内容や適用条件は奨学金の種類や貸与時期によって異なるため、「自分は対象ではないだろう」と自己判断するのは危険です。
返還免除を希望する場合は、日本学生支援機構や奨学金運営団体へ相談し、必要書類や申請条件を確認することが重要です。
特に、診断書や収入証明など提出書類が必要になるケースも多いため、余裕を持って手続きを進めるようにしましょう。
自己破産を考える前にできる対処法
家計を見直して返済余力を作る
奨学金返済が厳しいと感じた場合でも、すぐに自己破産を考える必要はありません。まずは家計を見直し、毎月の返済余力を作れるか確認することが重要です。
特に見直しやすいのが、通信費や保険料、動画配信サービスなどのサブスクリプション費用です。毎月数千円程度でも、固定費を減らすことで年間では大きな節約につながります。
また、家賃や車関連費、交際費なども家計へ大きな影響を与えます。現在の収入に対して住居費が高すぎないか、車を維持する必要があるかなど、一度冷静に整理してみることが大切です。
さらに、奨学金返済専用の口座を用意しておくと、返済管理がしやすくなります。給与日に返済分を先に確保することで、口座残高不足による延滞を防ぎやすくなります。
ただし、返済を優先しすぎて貯金がゼロになるのは危険です。病気や失業などの急なトラブルに備える「生活防衛資金」も必要になります。無理な節約で生活を圧迫するのではなく、返済と生活のバランスを意識することが重要です。
奨学金以外の借金を整理する
奨学金返済が苦しい人の中には、生活費不足を補うために別の借金を抱えているケースもあります。特に注意したいのが、リボ払いやカードローン、消費者金融などの高金利借入です。
奨学金は比較的低金利ですが、リボ払いやカードローンは年利15%前後になることもあり、返済負担が急激に増える原因になります。
例えば、「奨学金は月2万円なのに、リボ払いが月4万円ある」という状態では、家計改善が難しくなります。その場合は、まず高金利の借金を優先的に整理することが重要です。
借金状況によっては、「任意整理」などの債務整理によって利息負担を軽減できる可能性があります。奨学金は返済を続けながら、他の高金利借入だけを整理する方法もあります。
返済が苦しいからといって、新たな借入で返済を続ける「自転車操業」状態になると、状況はさらに悪化しやすくなります。返済に行き詰まりを感じた時点で、早めに家計全体を見直すことが大切です。
専門家に相談する
奨学金返済が長期間厳しい場合は、一人で抱え込まず専門家へ相談することも重要です。弁護士や司法書士は、借金問題や債務整理について具体的なアドバイスを行っています。
「まだ相談するほどではない」と感じる人もいますが、実際には早めに相談するほど選択肢が広がるケースが多くあります。
費用面が不安な場合は、法テラスなど公的相談窓口を利用する方法もあります。無料相談に対応しているケースもあり、現在の状況に応じた制度や解決策を確認できます。
借金問題では、主に「自己破産」「個人再生」「任意整理」などの方法があります。それぞれ特徴が異なり、自己破産は借金の免責を目指す手続き、個人再生は借金を大幅に減額して返済継続を目指す方法、任意整理は利息や返済条件を調整する方法です。
どの方法が適しているかは、収入状況や借入総額、家族構成、住宅ローンの有無などによって異なります。自己判断だけで進めず、専門家と相談しながら慎重に選択することが大切です。
奨学金返済できない場合に自己破産はできる?
奨学金も自己破産の対象になる
奨学金返済がどうしても難しい場合、自己破産によって返済義務の免責を受けられる可能性があります。奨学金も法律上は「債務」の一つであり、自己破産手続きの対象になります。
そのため、裁判所から免責が認められれば、奨学金返済義務がなくなる可能性があります。ただし、必ず免責されるとは限らず、個別事情によって判断されます。
また、奨学金問題では保証人・連帯保証人の存在に注意が必要です。本人が自己破産しても、保証人の返済義務は残るため、親や親族へ請求が移るケースがあります。
特に人的保証を利用している場合、家族全体へ影響が及ぶ可能性があるため、自己破産は慎重に判断しなければなりません。
「返済が苦しい=すぐ自己破産」ではなく、まずは減額返還制度や返還猶予制度、債務整理など他の選択肢も含めて検討することが重要です。
自己破産以外に個人再生という選択肢もある
奨学金返済が厳しい場合、自己破産だけでなく「個人再生」という選択肢もあります。個人再生とは、裁判所を通じて借金を大幅に減額し、原則3〜5年程度で返済していく制度です。
ケースによっては、奨学金を含む借金総額を大きく圧縮できる可能性があります。例えば500万円の借金が100万円程度まで減額されるケースもあります。
また、住宅ローン特則を利用できる場合は、自宅を残しながら他の借金だけを整理できる可能性があります。そのため、「家を失いたくない」「家族への影響を減らしたい」という人にとって有力な選択肢となります。
ただし、個人再生は継続的な収入がある人向けの制度です。安定収入がない場合は利用できないケースもあります。
さらに、手続き内容は複雑であり、裁判所対応や書類準備も必要になるため、弁護士など専門家への相談が重要です。
保証人がいる場合は特に注意する
奨学金返済で自己破産や債務整理を検討する場合、保証人や連帯保証人への影響は必ず確認しておく必要があります。
自己破産によって本人の返済義務が免責されたとしても、保証人の返済義務が消えるわけではありません。日本学生支援機構は、残った債務について保証人へ請求を行う可能性があります。
そのため、本人が返済困難になった結果、親や親族まで返済に追われるケースもあります。場合によっては、親子ともに生活困窮へ陥るリスクもあります。
特に人的保証を選択している場合は注意が必要です。一方、機関保証を利用している場合は、保証会社が対応するため、親族へ直接請求が及びにくい仕組みになっています。
ただし、機関保証には保証料負担があるため、どちらにもメリット・デメリットがあります。奨学金問題は本人だけで完結しないケースが多いため、家族とも情報共有しながら慎重に対応を進めることが大切です。
若者の奨学金返済負担を軽くする企業・自治体の支援
企業の奨学金返還支援・代理返還制度
近年は、若者の奨学金返済負担を軽減するために、「奨学金返還支援制度」を導入する企業が増えています。これは、企業が従業員に代わって日本学生支援機構(JASSO)へ直接返済を行う制度です。
特に注目されているのが、JASSOの「代理返還制度」です。企業が毎月一定額を従業員の奨学金返済へ充てることで、若手社員の経済的負担を軽減できます。
この制度は、若手人材の採用や定着施策としても活用されています。奨学金返済に悩む若者にとって、返還支援制度の有無は企業選びの重要なポイントになりつつあります。
実際に、JASSOの代理返還制度は令和8年3月末時点で全国4,852社が利用しており、導入企業は年々増加しています。
企業側にとっても、福利厚生の充実や離職率低下につながるメリットがあるため、今後さらに普及が進む可能性があります。
自治体の奨学金返還支援制度
企業だけでなく、自治体による奨学金返還支援制度も広がっています。特に地方では、若年層の定住促進や人材確保を目的として、奨学金返済を支援する自治体が増えています。
例えば、「地方企業へ就職した場合」「一定期間その地域へ居住した場合」などの条件を満たすことで、自治体が奨学金返済の一部を補助する制度があります。
Uターン・Iターン就職支援として活用されるケースも多く、地方移住を検討している若者にとっては大きなメリットになります。
ただし、支援制度には対象職種や年齢制限、居住年数などの条件が設定されていることが多く、事前登録が必要なケースもあります。
制度内容は自治体ごとに異なるため、自治体公式サイトや募集要項を確認し、最新情報をチェックすることが重要です。
就職・転職時に支援制度を確認する
奨学金返済負担を軽減したい場合は、就職・転職時に企業の支援制度を確認することも大切です。最近では、福利厚生の一環として奨学金返還支援制度を導入する企業が増えています。
特に若手採用を強化している企業では、「月額○万円まで支援」「勤続年数に応じて支援額アップ」など、さまざまな制度が用意されています。
こうした情報は、企業の採用サイトや福利厚生ページに掲載されていることがあります。求人票だけでは分からないケースもあるため、説明会や面接時に確認するのも有効です。
また、入社後すぐに利用できるとは限らず、「試用期間終了後」「勤続1年以上」など申請条件が設定されている場合もあります。
支援上限額や対象者の条件は企業ごとに異なるため、給与だけでなく福利厚生も含めて総合的に比較することが重要です。
奨学金返済で失敗しないための考え方
「払えない」と感じた時点で早めに動く
奨学金返済で最も避けたいのは、「まだ何とかなる」と問題を先送りにしてしまうことです。返済が厳しいと感じた時点で、早めに行動することが重要です。
特に、延滞が始まってからでは利用できる制度や選択肢が限られる可能性があります。減額返還制度や返還期限猶予制度などは、事前申請が基本となるケースが多いためです。
「来月から払えないかもしれない」「収入が減りそう」と感じた段階で、日本学生支援機構(JASSO)や奨学金運営団体へ相談することが大切です。
早めに相談することで、返済条件の調整や制度利用につながる可能性があります。一方で、放置して長期延滞になるほど、状況は悪化しやすくなります。
奨学金問題は、一人で抱え込まず、早めに情報収集と相談を行うことが解決への第一歩になります。
返済計画を可視化する
奨学金返済を長期間続けるためには、返済状況を「見える化」することも重要です。現在の残高、毎月の返済額、完済予定日を把握していないと、家計管理が難しくなります。
特に、「あと何年返済が続くのか」「総返済額はいくらなのか」を把握することで、将来設計を立てやすくなります。
また、収入に対して返済額がどれくらいの割合を占めているか確認することも重要です。返済比率が高すぎる場合は、減額返還制度や家計見直しを検討した方がよいケースもあります。
さらに、ボーナス返済や繰上返済を行うかどうかも慎重に判断する必要があります。無理に繰上返済をして貯金がなくなると、病気や失業時に対応できなくなる可能性があります。
「早く返したい」という気持ちだけで無理をするのではなく、生活とのバランスを取りながら返済計画を立てることが大切です。
奨学金を「悪」と決めつけず、制度として正しく使う
近年は「奨学金=危険」「借りるべきではない」という意見も増えています。しかし、奨学金は本来、経済的理由によって進学を諦めないための重要な制度です。
実際に、奨学金によって大学や大学院への進学機会を得られた人も多くいます。問題なのは「借りること」そのものではなく、返済計画を十分に考えず利用してしまうケースです。
そのため、奨学金を利用する際は、借入前に返済シミュレーションを行うことが重要です。卒業後に毎月いくら返済するのか、返済期間は何年になるのかを具体的に確認しておく必要があります。
また、返済不要の給付型奨学金や自治体支援制度など、貸与型以外の選択肢も比較検討することが大切です。
さらに、奨学金問題は本人だけでなく家族にも影響するため、借入前から家族で情報共有しておくことも重要になります。
奨学金返済できない若者に関するよくある質問
奨学金返済ができないとすぐ自己破産になりますか?
奨学金返済が難しくなったからといって、すぐに自己破産になるわけではありません。日本学生支援機構には、返還期限猶予制度や減額返還制度など、返済負担を軽減する制度があります。
また、家計見直しや他の借金整理によって改善できるケースもあります。重要なのは、返済できない状況を放置しないことです。
長期延滞になるほど選択肢は少なくなるため、返済に不安を感じた時点で早めに相談することが大切です。
奨学金を延滞すると信用情報に載りますか?
奨学金の長期延滞は、信用情報へ影響する可能性があります。信用情報に登録されると、クレジットカードやローン審査へ影響する場合があります。
特に住宅ローンや自動車ローンなど、将来の契約に関わるケースもあるため注意が必要です。
ただし、返済が厳しい場合には猶予制度や減額制度を利用できる可能性があります。延滞する前に相談することが重要です。
親が保証人の場合、本人が払えないとどうなりますか?
人的保証を利用している場合、本人が返済できなくなると、連帯保証人である親や親族へ請求が行われる可能性があります。
場合によっては、残債の一括請求が行われるケースもあります。そのため、奨学金問題は本人だけでなく家族全体へ影響する可能性があります。
返済が厳しくなった場合は、一人で抱え込まず、家族とも早めに状況共有することが大切です。
奨学金返済中でも転職や結婚はできますか?
奨学金返済中でも、転職や結婚をすることは可能です。実際に、多くの人が返済を続けながらライフイベントを迎えています。
ただし、返済額と生活費のバランスは重要になります。転職によって収入が一時的に減る場合や、結婚・出産で支出が増える場合には、家計見直しが必要になるケースもあります。
最近では、奨学金返還支援制度を導入する企業も増えているため、転職時には福利厚生も確認するとよいでしょう。
企業の奨学金返還支援は誰でも使えますか?
企業の奨学金返還支援制度は、誰でも無条件で利用できるわけではありません。対象者や支援条件は企業ごとに異なります。
例えば、「新卒入社のみ対象」「勤続3年以上が条件」「毎月1万円まで支援」など、制度内容には違いがあります。
また、入社後に申請が必要なケースや、一定期間勤務しなければ返還義務が発生するケースもあります。
制度を利用したい場合は、採用時や入社後に条件をしっかり確認し、自分が対象になるか把握しておくことが大切です。
まとめ
奨学金返済できない若者が増えている背景には、大学進学率の上昇や学費負担の増加、若年層の収入・雇用不安定化など、さまざまな社会的要因があります。貸与型奨学金は進学機会を広げる重要な制度である一方、卒業後には長期間の返済負担が続くため、生活設計へ大きな影響を与えるケースも少なくありません。
しかし、返済が苦しくなったからといって、すぐに自己破産しか選択肢がないわけではありません。日本学生支援機構(JASSO)の減額返還制度や返還期限猶予制度、企業・自治体の返還支援制度など、利用できる支援策は複数あります。
大切なのは、「払えない」と感じた時点で早めに相談・行動することです。延滞を放置すると状況が悪化しやすくなるため、制度や専門家を活用しながら、自分に合った解決方法を探すことが重要になります。返済に不安がある場合は、JASSOや専門家への相談も検討してみましょう。