高校生向けの奨学金をめぐり、支援を必要とする家庭が増える一方で、奨学金の原資となる寄付が伸びず、採用率が50%を切る年もあると報じられています。
今回は、あしなが育英会の奨学金に関するニュースをきっかけに、「寄付」と奨学金の関係について考えます。
あしなが育英会の高校生向け奨学金、採用率が50%を切る年も
あしなが育英会では、高校生などを対象とした奨学金の支援を行っています。
しかし、奨学金の原資となる寄付が伸びず、実際に奨学金を割り当てられる人の割合が50%を切る年もあるとされています。
奨学金を必要とする家庭があったとしても、支援を届けるためには、その原資となる資金が必要です。
つまり、奨学金制度を維持・拡大していくためには、制度そのものだけではなく、それを支える寄付についても考える必要があります。
「奨学金をゼロにする」「給付型を増やす」で寄付に影響することも?
奨学金については、政治家などから「奨学金をゼロにする」「給付型奨学金を増やす」といった政策の話が出ることがあります。
もちろん、奨学金の負担を軽減したり、給付型の支援を増やしたりすることは、奨学金を必要とする人にとって重要なテーマです。
一方で、奨学金をめぐる情報が増えることで、寄付をする側に「公的な制度で支援されるのであれば、自分が寄付をしなくてもよいのではないか」という意識が生まれ、結果として寄付に影響する可能性もあります。
奨学金の支援を考えるときには、一つの制度だけを見るのではなく、社会全体でどのように支援が成り立っているのかを見ることが大切です。
奨学金代理返還と寄付は、役割が異なる
企業が従業員の奨学金返還を支援する「奨学金代理返還」も、近年広がっている奨学金支援の一つです。
奨学金バンクでも、あしなが育英会と奨学金の代理返還制度に関する取り組みを行っています。
ただし、企業による奨学金代理返還と、寄付を原資とした給付型の奨学金は、同じ「奨学金支援」であっても役割が異なります。
奨学金代理返還によって、卒業後の返済負担を軽減できる人がいる一方で、そもそも経済的な事情によって進学そのものが難しい人への支援も必要です。
そのため、代理返還が広がれば、それで奨学金に関する課題がすべて解決するわけではありません。
「支援が増えること」と「寄付が減ること」は別の問題ではない
奨学金に関する制度や支援が増えることは、奨学金を必要とする人にとって重要です。
一方で、給付型奨学金のように寄付を軸として成り立っている支援については、その原資がなければ支援を届け続けることができません。
「奨学金の負担を減らす」という一つの目的だけを見るのではなく、
- 誰が支援を必要としているのか
- どのような制度で支援するのか
- その支援の原資はどこから来るのか
- 進学前と卒業後で、どのような支援が必要なのか
といった全体の構造を見ることが大切です。
奨学金バンクでは、奨学金の返還支援だけでなく、奨学金を取り巻く環境そのものについても発信しています。
奨学金を支える「寄付」について考える
今回のニュースを通じて考えたいのは、「どの支援が良い・悪い」ということではありません。
給付型奨学金、奨学金代理返還、そして寄付など、それぞれの支援には異なる役割があります。
支援を必要とする人がいる以上、制度だけでなく、それを支える仕組みについても考えていく必要があります。
奨学金バンクでも寄付を受け付けています。
奨学金を必要とする人たちの進学や、その先の新しい挑戦を支えるために、こうした支援に関心を持っていただければ幸いです。