大学へ編入して奨学金を利用し続けるには、学校を通じた手続きが必要です。JASSOでは、短大・高専・専門学校を卒業して大学へ移る場合と、大学から別の大学へ移る場合で、手続きの区分や提出先が異なります。第一種・第二種・給付でも継続の扱いが変わるため、まず自分がどの区分に当たるかを確認しましょう。
この記事では、国内の大学への編入を対象に、継続できる条件、必要書類、提出先、期限を整理します。
大学への「編入」は奨学金では「転学」になる場合がある
入試で「編入学」と呼ばれていても、JASSOの奨学金では「転学」の手続きになる場合があります。判断のポイントは、前の学校の種類と、卒業・修了してから移るかどうかです。
| 大学へ移る経路 | JASSO上の手続き区分 | 相談先の基本 |
|---|---|---|
| 短大・高専・専門学校の専門課程を卒業・修了し、大学の途中年次へ入学 | 編入学 | 編入先の大学 |
| 大学から別の大学の途中年次へ移り、転学の条件に該当する | 転学 | 今まで在学していた大学 |
| 前の学校を卒業していない、退学後に期間が空いているなど、判断に迷う場合 | 個別確認 | 前の学校と編入先の奨学金窓口 |
短大・高専・専門学校を卒業して大学へ移る場合
短大・高専・専門学校の専門課程を卒業・修了して大学の途中年次へ入る場合は、JASSOの「編入学」に当たります。
ここでは、卒業・修了していることが重要です。例えば、JASSOの給付奨学金の事例では、短大などを卒業せずに大学へ移る経路は、卒業後の編入と同じ扱いにはなりません。編入試験に合格したことだけで、奨学金も継続できるとは判断しないようにしましょう。JASSO「編入学等の場合の支給期間」
大学から別の大学へ移る場合
大学から別の大学の途中年次へ移る場合は、JASSOでは原則として「転学」の条件を確認します。退学・卒業せずに移る場合や、退学後に引き続き移る場合が対象です。給付奨学金では、退学から1年以内の転学も含まれますが、この扱いを貸与奨学金にも一律に当てはめることはできません。JASSO「転学・編入学」
他大学へ移る予定がある方は、退学手続きを進める前に、在籍中の大学の奨学金窓口へ相談してください。大阪大学でも、他大学へ編入する際の奨学金手続きは、教務担当への退学手続き前に行うよう案内しています。大阪大学「異動手続きについて」
第一種・第二種・給付で、編入後の継続の扱いが異なる
奨学金の継続可否は、移動する経路と奨学金の種類を組み合わせて確認します。
| 奨学金の種類 | 短大・高専・専門学校卒業後の「編入学」 | 大学間の「転学」 |
|---|---|---|
| 第一種 | 第一種としての継続はできず、希望する場合は在学採用で新規申込み | 両校の学校長が認めるなど、条件を満たせば継続可能 |
| 第二種 | 所定の継続手続きが必要 | 両校の学校長が認めるなど、条件を満たせば継続可能 |
| 給付 | 継続条件と支給可能期間の確認が必要 | 継続条件と支給可能期間の確認が必要 |
出典:JASSO「転学・編入学」、三重大学「編入学生の継続手続きについて」
第一種は「編入学」では新規申込み、「転学」では条件付きで継続
短大・高専・専門学校を卒業して大学へ編入する場合、前の学校で受けていた第一種奨学金を、そのまま第一種として継続することはできません。編入先でも第一種を希望する場合は、在学採用の募集日程を確認し、新たに申し込みます。
一方、編入前に第一種を利用していた方には、第二種へ継続する方法があります。ただし、第一種は無利子、第二種は有利子です。「継続できるから」という理由だけで選ばず、借入額と返還条件も確認しましょう。三重大学「編入学生の継続手続きについて」
大学間の転学では、第一種を継続できる場合があります。ただし、同じ年次を重ねて履修すると、すでに貸与を受けた期間が継続可能期間に影響します。卒業までの在学期間すべてで借りられると考えず、貸与終了予定を学校に確認してください。JASSO「転学・編入学」
第二種は継続手続きと貸与終了予定を確認する
第二種は、編入後も所定の手続きによって貸与を継続できる制度です。短大等からの編入でも、大学間の転学でも、自動的に振込先の学校情報が切り替わるわけではありません。
手続きの際は、継続の可否に加え、編入先での卒業予定年月と奨学金の終期を確認しましょう。大阪大学も、編入・転学後の終期は、それまでの利用履歴を踏まえてJASSOが判断すると案内しています。大阪大学「異動手続きについて」
給付は継続条件と、これまでの支援期間を確認する
給付奨学金は、編入先に入学すれば必ず引き継げるわけではありません。主に次の点を確認します。
- 編入先が、修学支援新制度の対象となる「確認大学等」であること
- 前の学校で取得した単位を引き継いでいること
- 前の学校に在籍しなくなってからの期間が、継続可能な範囲内であること
- 前の学校の学業成績が「廃止」相当ではないこと
- 懲戒による退学・除籍・無期または3か月以上の停学、不正受給等の継続不可事由に当たらないこと
前の学校を離れてから1年を経過した場合などは、継続できません。また、大学を卒業して別の大学へ移る場合と、短大等を卒業して大学へ編入する場合は区別が必要です。JASSO「転学・編入学」
支給期間にも上限があります。前の学校で給付奨学金または授業料等減免の支援を受けた期間を含め、通算72か月が上限です。在籍中に「停止」となっていた期間も含まれるため、編入時に支援期間がリセットされるわけではありません。JASSO「転学・編入学」
例えば、JASSOの事例では、短大等で2年間支援を受けた後、修業年限6年の大学医学部の2年次に編入した場合、支給月数の上限により大学5年次までの支給となります。卒業までの残り年数だけで判断せず、過去の支援期間と合わせて確認しましょう。JASSO「編入学等の場合の支給期間」
なお、前の学校で「停止」の認定を受けていた場合、継続が認められても、その認定が引き継がれることがあります。停止事由が解消するまで振込は再開しません。JASSO「給付奨学金の採用後における処置通知について」
編入時の奨学金手続きを4ステップで進める
手続きは、次の順に進めます。
- 編入前に、奨学金の種類と学校の締切を確認する
- 手続き区分に合う学校から書類を受け取る
- 学内締切までに書類を提出する
- 受理状況・振込予定・追加手続きを確認する
1.編入前に奨学金の種類と学校の締切を確認する
まず、学校へ相談するために次の情報を整理しましょう。
| 整理する情報 | 確認する内容 |
|---|---|
| 奨学金の種類 | 第一種・第二種・給付。複数利用している場合はすべて |
| 奨学生番号 | 奨学生証などに記載された番号 |
| 前の学校の状況 | 学校種別、卒業・修了・退学の予定日 |
| 編入先の情報 | 大学名、入学年月、編入年次、卒業予定年月 |
| 現在の利用状況 | 振込中、停止中、貸与・支給終了など |
相談時には、「奨学金を続けたい」と伝えるだけでなく、どの学校から、どのような経路で移るかを説明すると、必要な手続きを確認しやすくなります。
2.手続き区分に合う学校から書類を受け取る
JASSOが案内する主な書類と提出先は、次のとおりです。
| 手続き | 主な書類 | 提出先の基本 |
|---|---|---|
| 転学 | 転学奨学金継続願 | 今まで在学していた学校 |
| 編入学で貸与を継続 | 貸与奨学金継続願(編入学)、確認書兼個人信用情報の取り扱いに関する同意書等 | 編入先の大学 |
| 編入学で給付を継続 | 給付奨学金継続願(編入学/認定専攻科進学/適格専攻科進学)、給付奨学金確認書等 | 編入先の大学 |
必要書類は、奨学金の種類や本人の状況によって異なります。検索で見つけた過年度の様式をそのまま使わず、担当窓口から最新の書類一式を受け取ってください。
第一種を在学採用で新たに申し込む場合は、この継続用書類とは別の申込手続きになります。
3.学内締切までに書類を提出する
JASSOの案内では、編入学・転学後3か月以内に継続のための書類を提出する必要があります。ただし、学校はそれより早い締切を設ける場合があります。JASSO「転学・編入学」
例えば、三重大学の2026年度の編入学生向け案内では、書類配付・受付期間を4月10日から6月12日までとしています。これは同大学の例であり、他大学や別年度にも当てはまる日程ではありません。三重大学「編入学生の継続手続きについて」
提出前には、記入漏れ、署名・押印の要否、添付書類、提出方法を確認しましょう。提出した書類の控えと提出日を残しておくと、不備連絡があった場合にも確認できます。
4.受理状況・振込予定・追加手続きを確認する
書類を提出した後は、手続きが受理されているか、不足書類がないかを確認します。振込が見当たらない場合も、口座の入金状況だけで継続不可と判断せず、学校窓口へ処理状況を問い合わせてください。
確認したいのは、次の内容です。
- 継続手続きの受理・承認状況
- 振込開始・再開の予定と対象となる月
- 貸与・支給が終了する予定年月
- 通学形態などの変更手続きの有無
- 授業料等減免について、別途必要な申請があるか
貸与奨学金で返還誓約書の提出を案内された場合は、必要な添付書類とともに学校指定の期限までに提出します。JASSO「返還誓約書の提出」
給付奨学金の在籍報告も、学校変更の手続きとは別に確認が必要です。継続手続き中だからといって、報告を省略しないようにしましょう。JASSO「在籍報告」
継続できない場合は、新規申込みと在学猶予を確認する
継続の対象にならない場合は、編入先で在学採用に申し込めるかを確認します。前の学校で奨学金を利用していなかった方も、継続手続きではなく新規申込みの案内を確認してください。
在学採用は、学校を通じて申し込む方法です。申込資格、学力・家計などの基準、募集日程があるため、継続できない人が全員採用されるわけではありません。JASSO「進学後に申し込む(在学採用)」
また、過去に借りた奨学金の返還も別に確認しましょう。貸与が終了していても、大学等への在学中は、願い出により返還を先送りする「在学猶予」を利用できる場合があります。
在学猶予は、原則として入学後速やかに手続きします。スカラネット・パーソナルから申請する際には、在籍校の学校番号などが必要です。すでに返還が始まっている場合は、そのことも学校に伝えてください。
2020年4月以降の在学猶予の適用期間は通算10年が上限です。奨学金の継続申請をしただけで過去の貸与分も必ず猶予されると考えず、奨学生番号ごとの扱いと手続きの要否を確認しましょう。JASSO「在学猶予」
編入時の奨学金手続きでよくある質問
毎年の「奨学金継続願」を入力すれば、編入手続きも完了しますか?
いいえ。毎年の貸与奨学金継続願は、次年度の貸与継続について確認する手続きです。編入・転学によって学校が変わる際の手続きとは異なります。
年度の継続願は、学校から対象者に案内されます。当年度に貸与が終了する方など、入力対象外になる場合もあるため、編入予定だけで判断せず、学校の指示を確認してください。JASSO「貸与奨学金継続願」の入力
締切を過ぎてしまった場合はどうすればよいですか?
すぐに担当する学校の奨学金窓口へ連絡してください。編入日、奨学金の種類、提出済みの書類、まだ行っていない手続きを伝え、受付可否と今後の対応を確認します。
継続手続きには期限があり、遅れても必ず受け付けてもらえるとは限りません。新規申込みの可否も含めて相談し、過去の貸与分については在学猶予の要否を確認しましょう。三重大学の期限に関する案内、JASSO「在学猶予」
まとめ:自分の手続き区分を確認し、学校の締切までに提出しよう
大学編入時の奨学金手続きは、前の学校からどのように移るかと、利用中の奨学金の種類によって変わります。最初に「編入学」「転学」のどちらに当たるかを確認することが、提出先や書類を間違えないための第一歩です。
編入が決まったら、奨学生番号、奨学金の種類、卒業・退学予定日、編入日を整理して学校窓口へ相談しましょう。継続の可否だけでなく、学内締切、振込予定、過去の貸与分の返還まで確認しておくと、必要な手続きを進めやすくなります。