JASSO(日本学生支援機構)の給付奨学金は、2026年度在学採用・2027年度予約採用とも、申込日時点の本人と生計維持者の資産合計が5,000万円未満であることが原則です。5,000万円ちょうどは対象外となります。
預貯金やNISA口座の投資資産は含まれる一方、土地・建物や満期・解約前の学資保険などは含まれません。この記事では、誰の資産を、どの時点・金額で集計するのか、多子世帯の例外も含めて解説します。
給付奨学金の資産基準は合計5,000万円未満
JASSOの給付奨学金を受けるには、申込日時点における「申込者本人と生計維持者の資産額の合計」が5,000万円未満でなければなりません。
| 資産の合計額 | 給付奨学金の資産基準 |
|---|---|
| 5,000万円未満 | 基準を満たす |
| 5,000万円ちょうど | 基準を満たさない |
| 5,000万円超 | 基準を満たさない |
「5,000万円以下」ではなく「5,000万円未満」である点に注意してください。
この基準は、次の申込みについてJASSOが公表しています。
- 2026年度に大学・短期大学・高等専門学校・専門学校などで申し込む在学採用
- 2027年度進学予定者が高校等を通じて申し込む予約採用
詳しい条件は、JASSOの進学前(予約採用)の給付奨学金の家計基準および進学後(在学採用)の給付奨学金の家計基準で確認できます。
資産は「申込日時点」で判定される
資産額は、原則として奨学金を申し込む時点の金額で判定されます。
収入基準のように前年の年収をそのまま使うわけではありません。申込日時点で保有している現金・預貯金・有価証券などを、対象となる本人と生計維持者ごとに確認します。
有価証券や投資信託は、購入時の金額ではなく申込日時点の時価で評価します。相場によって金額が変動するため、申込内容を入力する直前に確認するのが安全です。
資産基準だけでなく収入基準も満たす必要がある
給付奨学金の家計基準は、次の2つで構成されています。
- 収入基準
- 資産基準
資産合計が5,000万円未満でも、収入基準を満たさなければ給付奨学金の対象にはなりません。反対に、年収が目安より低くても、資産基準を超えていれば原則として支給されません。
収入については単純な「世帯年収」だけではなく、本人と生計維持者の住民税情報から算出される「支給額算定基準額」で判定されます。給付奨学金の所得制限と判定方法もあわせて確認してください。
誰の資産を合計する?本人と生計維持者の範囲
資産基準では、申込者本人の資産だけでなく、生計維持者の資産も合計します。
父母がいる場合、原則として父母2名が生計維持者です。例えば、父・母・学生本人が対象となる場合は、3人分の預貯金や有価証券などを合算します。
| 名義人 | 原則的な扱い |
|---|---|
| 申込者本人 | 資産に含める |
| 父 | 生計維持者に該当する場合は含める |
| 母 | 生計維持者に該当する場合は含める |
| 兄弟姉妹 | 生計維持者でなければ原則として含めない |
| 祖父母 | 生計維持者に該当する場合は含める |
本人名義の口座にある進学費用や、本人名義で運用している投資信託も対象です。「親が管理している口座だから本人の資産ではない」とは限りません。名義と実際の所有関係を確認したうえで申告してください。
離婚、死別、別居、海外居住、養育費の受領などがある場合は、生計維持者の扱いが家庭状況によって異なる可能性があります。自己判断せず、JASSOの生計維持者についてを確認し、在籍する学校または申込先の高校等へ相談しましょう。
資産基準に含まれるもの・含まれないもの
JASSOが資産として扱うのは、主に現金化できる金融資産です。ただし、現金化できるものがすべて一律に対象となるわけではありません。
主な扱いを一覧にすると、次のとおりです。
| 資産などの種類 | 資産基準での扱い | 注意点 |
|---|---|---|
| 現金 | 含む | 手元で保有する現金も対象 |
| 退職金 | 含む | 受け取って保有している場合 |
| 普通預金・定期預金 | 含む | 本人と生計維持者の分を合算 |
| 株式・国債・社債 | 含む | 申込日時点の時価で評価 |
| 投資信託 | 含む | 申込日時点の時価で評価 |
| NISA口座の投資資産 | 含む | 非課税口座でも対象 |
| 投資目的で保有する金・銀 | 含む | 現金に準ずる資産として扱う |
| 満期・解約により現金化した保険 | 含む | 現金化した後の金額を計上 |
| 土地・建物 | 含まない | 自宅を含む不動産は対象外 |
| 満期・解約前の生命保険 | 含まない | 払込済みの掛金も計上不要 |
| 満期・解約前の学資保険 | 含まない | 解約・満期で現金化した後は対象 |
| 自由に引き出せない状態のiDeCo | 含まない | 受取開始後など状況が異なる場合は要確認 |
| 住宅ローンなどの負債 | 資産から差し引けない | 預貯金等との相殺は不可 |
預貯金・現金・退職金は資産に含まれる
普通預金や定期預金は、資産基準の対象です。申込者本人と生計維持者が複数の金融機関に口座を持っている場合は、それぞれの残高を確認して合計します。
口座に入っていない手元の現金も対象です。JASSOの案内では、退職金も現金またはこれに準ずるものとして資産に含まれます。
ただし、まだ受け取っていない将来の退職金まで資産として計上するという意味ではありません。申込日時点ですでに受け取り、現金や預貯金として保有している金額を確認します。
株式・投資信託・NISAは資産に含まれる
株式、国債、社債、地方債、投資信託などの有価証券は資産に含まれます。
NISAは運用益などが非課税になる制度ですが、奨学金の資産基準から除外される制度ではありません。NISA口座で保有する株式や投資信託も対象です。
これらは購入金額ではなく、申込日時点の時価で換算します。例えば100万円で購入した投資信託が申込日時点で120万円になっている場合は、原則として120万円を資産額として確認します。
土地や建物などの不動産は資産に含まれない
自宅、土地、賃貸用物件などの不動産は、JASSOが示す給付奨学金の対象資産に含まれません。
ただし、不動産を売却し、代金を現金や預貯金として保有している場合は、その現金・預貯金が申込日時点の資産になります。
また、自宅が資産に含まれないからといって、住宅ローンをほかの金融資産から差し引けるわけではありません。
学資保険・生命保険は現金化の前後で扱いが異なる
満期前または解約前の貯蓄型生命保険や学資保険は、資産として計上する必要がありません。これまで支払った保険料や、その時点の解約返戻金相当額を資産として足す必要もありません。
一方、満期や解約により現金化した場合は、そのお金が資産に含まれます。
例えば、申込み前に学資保険が満期となり、満期保険金が預金口座へ入金されている場合、その預金残高は資産として計上します。
JASSOのFAQでは、将来受け取る予定の保険金は資産計上不要とされています。個人年金も、申込時点で受け取っていなければ原則として計上不要です。
詳しくはJASSOの生命保険や学資保険、確定拠出年金、民間の個人年金に関するFAQを確認してください。
住宅ローンなどの負債は差し引けない
資産額を集計するときは、住宅ローン、自動車ローン、教育ローンなどの負債を差し引くことはできません。
例えば、次のような場合を考えます。
- 預貯金・有価証券の合計:5,200万円
- 住宅ローン残高:2,000万円
住宅ローンを差し引いた実質的な資産が3,200万円だとしても、給付奨学金の資産判定では5,200万円として扱います。この場合、原則として5,000万円未満の基準を満たしません。
給付奨学金の資産額を確認する手順
申込前は、次の手順で資産額を整理すると確認漏れや二重計上を防ぎやすくなります。
1.本人と生計維持者を確認する
まず、資産を申告する対象者を確定します。
父母がいる場合は原則として父母2名が生計維持者ですが、家庭状況によって扱いが異なる場合があります。判断に迷う場合は、資産額を計算する前に学校へ確認してください。
2.対象者ごとに資産を一覧にする
本人と各生計維持者について、次の資産を洗い出します。
- 手元の現金
- 普通預金
- 定期預金
- 株式や債券
- 投資信託
- NISA口座の運用資産
- 投資目的で保有する金・銀
- 受取済みの退職金
- 満期・解約により現金化した保険
複数の銀行口座や証券口座がある場合は、口座ごとに確認しましょう。
3.有価証券・投資信託を時価で確認する
株式や投資信託などは、申込日時点の時価で換算します。
取引画面や残高報告書などで評価額を確認し、確認した日付も控えておくと申告内容を整理しやすくなります。
暗号資産、外貨建て資産、未上場株など、JASSOの一般向け案内で扱いが明示されていない資産については、推測で除外せず、学校またはJASSOへ確認してください。
4.全員分を合計して5,000万円未満か確認する
対象者全員の資産を合計します。
同じ資金を口座間で移動した直後などは、出金元と入金先の両方で数えないよう注意してください。また、住宅ローン等の負債は差し引きません。
資産額が基準に近い場合や、どの金額を申告すべきか判断できない場合は、自己判断で金額を減らさず、申込先の学校へ相談しましょう。
多子世帯は給付奨学金と授業料等減免で基準が違う
多子世帯では、「給付奨学金」と「授業料・入学金の減免」で資産基準が異なる場合があります。
| 支援内容 | 資産基準 |
|---|---|
| 給付奨学金の支給 | 本人と生計維持者の合計5,000万円未満 |
| 多子世帯の授業料等減免 | 本人と生計維持者の合計3億円未満 |
多子世帯だからといって、資産が3億円未満であれば給付奨学金も必ず支給されるわけではありません。
多子世帯に該当し、資産が5,000万円以上3億円未満の場合、ほかの要件を満たせば授業料等減免の対象になっても、給付奨学金の支給額は0円となる場合があります。
例えば、次のように分かれます。
- 資産が5,000万円未満:収入・学力などの条件も満たせば、給付奨学金と授業料等減免の対象になり得る
- 資産が5,000万円以上3億円未満:多子世帯なら授業料等減免の対象になり得るが、給付奨学金は0円となる場合がある
- 資産が3億円以上:多子世帯の授業料等減免の資産基準も満たさない
資産以外にも、多子世帯であることの確認や学力基準などがあります。詳しくはJASSOの多子世帯支援についてを確認してください。
資産基準を超えた場合・判断に迷う場合の対応
資産合計が5,000万円以上の場合、原則としてJASSOの給付奨学金は支給されません。収入が少ないことや住宅ローンが残っていることを理由に、資産から任意に金額を差し引くこともできません。
ただし、給付奨学金の対象外でも、次の支援を利用できる可能性があります。
- 多子世帯に対する授業料等減免
- JASSOの第一種・第二種奨学金
- 大学・短期大学・専門学校等の独自奨学金
- 自治体や民間財団の給付型奨学金
- 学校独自の授業料減免・徴収猶予制度
利用できる支援は、進学前か在学中か、学校の種類、家計状況などで異なります。まずは申込先の高校または在籍・進学予定の学校の奨学金窓口へ相談してください。
資産の種類や評価額に迷う場合も、虚偽または不正確な内容で申し込まず、学校を通じて確認しましょう。
給付奨学金の資産基準に関するFAQ
資産が5,000万円ちょうどなら対象ですか?
対象外です。
JASSOの資産基準は「5,000万円以下」ではなく「5,000万円未満」です。本人と生計維持者の合計が5,000万円ちょうどの場合は、原則として給付奨学金の資産基準を満たしません。
自宅や住宅ローンは資産額に入りますか?
土地・建物等の不動産は対象資産に含まれません。
一方、住宅ローンなどの負債を、預貯金や有価証券などの対象資産から差し引くこともできません。不動産とローンの両方を資産額へ入れるのではなく、金融資産等をそのまま集計します。
NISAで保有する投資信託も資産に含まれますか?
含まれます。
NISA口座で保有する株式や投資信託も、申込日時点の時価で資産額に計上します。NISAの非課税措置と、給付奨学金の資産基準は別の制度です。
学資保険は資産に含まれますか?
満期・解約前の学資保険は、原則として資産に含まれません。
ただし、満期または解約によって現金化し、申込日時点で現金や預貯金として保有している場合は、その金額が資産に含まれます。
給付奨学金に採用された後も資産基準は確認されますか?
給付奨学金の支援区分は、採用後も適格認定によって見直されます。
JASSOは、申告時点の本人と生計維持者の資産合計が基準額を超過した場合、給付奨学金が一定期間振り込まれない場合があると案内しています。翌年度の適格認定で基準を満たせば、支給が再開される場合があります。
詳しくはJASSOの在学中の適格認定(家計)を確認してください。
まとめ|申込日時点の資産を本人・生計維持者ごとに確認しよう
JASSOの給付奨学金の資産基準は、2026年度在学採用・2027年度予約採用とも、申込日時点の本人と生計維持者の資産合計が5,000万円未満であることです。
現金・預貯金・株式・投資信託・NISAなどは対象ですが、土地・建物や満期・解約前の学資保険などは対象外です。有価証券等は時価で評価し、住宅ローンなどの負債は差し引きません。
多子世帯については、給付奨学金の5,000万円未満と、授業料等減免の3億円未満を分けて考える必要があります。
申込前に本人と生計維持者の資産を名義人別に整理し、判断できない資産がある場合は、在籍・進学予定の学校の奨学金窓口へ確認してください。