短期大学でも、条件を満たせばJASSOの給付奨学金や第一種・第二種の貸与奨学金を利用できます。学校独自や自治体・財団の制度も選択肢です。ただし、利用できる制度や金額は、学校・課程・家計・学業・通学形態などで変わります。
この記事では、短大で使える奨学金の種類、給付・貸与の金額、申込先を整理します。
※予約採用は2027年度進学予定者、在学採用は2026年度在学生を対象に説明します。金額表は通常の課程を対象とし、通信教育課程などは学校窓口で確認してください。
短期大学で使える奨学金は、JASSOと学校・自治体等の制度
短大の奨学金を探すときは、まずJASSOの給付奨学金と授業料等減免を確認し、学校独自や自治体・財団の制度も調べましょう。支援を差し引いても不足する費用がある場合は、貸与奨学金を検討します。
主な選択肢は次のとおりです。
| 制度 | 返還の必要性 | 支援の内容 | 主な申込先・確認先 |
|---|---|---|---|
| JASSOの給付奨学金 | 原則不要 | 支援区分・学校区分・通学形態に応じた金額を支給 | 進学前は高校等、入学後は短大 |
| 高等教育の修学支援新制度の授業料等減免 | 不要 | 授業料・入学金を上限額まで減額・免除 | 進学先・在籍する短大 |
| JASSOの第一種奨学金 | 必要・無利子 | 所定の選択肢から月額を選んで借りる | 進学前は高校等、入学後は短大 |
| JASSOの第二種奨学金 | 必要・有利子 | 所定の選択肢から月額を選んで借りる | 進学前は高校等、入学後は短大 |
| 学校独自・自治体・財団等の制度 | 制度ごとに異なる | 給付、貸与、学費減免など | 学校または実施団体 |
JASSOの給付奨学金と授業料等減免は、国の「高等教育の修学支援新制度」を構成する支援です。給付奨学金は学生への支給、減免は学校に納める学費の軽減という違いがあります。
出典:JASSO「給付奨学金」、JASSO「貸与奨学金」、文部科学省「高等教育の修学支援新制度」
短大で受け取れる・借りられる金額は制度と通学形態で変わる
奨学金の金額を調べる際は、「給付として受け取れる金額」「減免される学費」「返還が必要な借入額」を分けて確認しましょう。
給付奨学金と授業料等減免は、別々の支援として確認する
JASSOの給付奨学金は、支援区分、国公立・私立、自宅・自宅外通学によって月額が異なります。
短期大学の給付奨学金の月額
| 支援区分 | 国公立・自宅 | 国公立・自宅外 | 私立・自宅 | 私立・自宅外 |
|---|---|---|---|---|
| 第Ⅰ区分 | 29,200円 | 66,700円 | 38,300円 | 75,800円 |
| 第Ⅱ区分 | 19,500円 | 44,500円 | 25,600円 | 50,600円 |
| 第Ⅲ区分 | 9,800円 | 22,300円 | 12,800円 | 25,300円 |
| 第Ⅳ区分・多子世帯 | 7,300円 | 16,700円 | 9,600円 | 19,000円 |
※2026年10月4日時点の通常課程の月額です。2027年度進学予定者も、進学時の最新案内を確認してください。
※生活保護を受ける生計維持者と同居する人、社会的養護を必要とする人で児童養護施設等から通学する人には、自宅通学の別額があります。国公立は第Ⅰ~Ⅳ区分の順に33,300円・22,200円・11,100円・8,400円、私立は42,500円・28,400円・14,200円・10,700円です。本人が家賃を負担する場合などは、自宅外通学を申請できることがあります。
給付奨学金は、原則として採用後から正規の修業年限の終期まで支給されます。ただし、家計や学業等の確認により支援内容が変わるため、同じ金額を卒業まで必ず受け取れるとは限りません。
授業料等減免は、学生の口座に毎月振り込まれる給付奨学金とは別の支援です。短大の上限額は、文部科学省の公表資料では次の概数で示されています。
| 学校区分 | 入学金の減免上限・入学時 | 授業料の減免上限・年額 |
|---|---|---|
| 国公立短期大学 | 約17万円 | 約39万円 |
| 私立短期大学 | 約25万円 | 約62万円 |
※第Ⅰ区分と、多子世帯の授業料等減免における上限の概数です。夜間・通信教育課程は別額です。実際の減免額は学校の納付額、支援区分などによって異なります。
2025年度から、多子世帯は所得制限なく授業料・入学金の減免を受けられる制度になりました。ただし、対象校・学業・資産等の条件はあります。多子世帯の減免における資産基準は、学生本人と生計維持者の合計で3億円未満です。
また、**多子世帯の減免対象でも、給付奨学金が満額支給されるとは限りません。**給付には別途、収入基準と5,000万円未満の資産基準があり、給付月額が0円で減免のみ受ける場合もあります。
出典:文部科学省「高等教育の修学支援新制度について」、文部科学省「多子世帯への授業料等減免に係るFAQ」
第一種は短大の月額、第二種は必要額から選ぶ
第一種奨学金は無利子の貸与制度です。短大で選べる月額は、国公立・私立、自宅・自宅外通学によって異なります。
短期大学の第一種奨学金の貸与月額
| 学校区分 | 自宅通学 | 自宅外通学 |
|---|---|---|
| 国公立 | 20,000円・30,000円・45,000円 | 20,000円・30,000円・40,000円・51,000円 |
| 私立 | 20,000円・30,000円・40,000円・53,000円 | 20,000円・30,000円・40,000円・50,000円・60,000円 |
※2018年度以降の入学者に適用される通常課程の月額。2026年10月4日確認。
※各区分の最高月額には家計条件があります。自宅外通学の場合は、自宅通学の月額も選択できます。給付・減免と組み合わせる場合は、後述の併給調整を確認してください。
私立短大の最高月額は、自宅通学53,000円、自宅外通学60,000円です。私立大学学部の月額とは異なるため、「大学生向け」の表をそのまま当てはめないようにしましょう。
第二種奨学金は有利子で、短大では月額20,000~120,000円を10,000円刻みで選べます。
借りる金額は、上限額ではなく不足額を基準に考えましょう。授業料だけでなく、教材費・実習費・通学費・生活費を見積もり、給付・減免・家族からの援助等を差し引きます。
たとえば月30,000円を24か月借りると、元金は720,000円です。これは単純計算の例であり、全員が24か月借りるわけではありません。第二種では利息、機関保証では保証料も確認し、卒業後の返還額を試算してから月額を決めましょう。
給付・減免と第一種を組み合わせると月額が調整される
給付奨学金や修学支援新制度の授業料等減免を利用する場合、第一種奨学金の貸与月額が減額され、0円になることがあります。これを「併給調整」といいます。
給付の月額と第一種の通常月額を、そのまま足して資金計画を立てることはできません。給付月額が0円でも、減免の支援状況によって調整の対象となる場合があります。学校区分・通学形態・支援区分等に対応する調整後の月額を確認してください。
出典:JASSO「給付奨学金と併せて利用する第一種奨学金の貸与月額」
一方、第一種と第二種を同時に借りる「併用貸与」は別の仕組みです。両方を検討する場合は、第一種・第二種奨学金の併用条件も確認してください。第一種に採用されていても、第二種を無条件で追加できるわけではありません。
利用条件は、対象校・申込資格・家計・学業を確認する
短大に進学・在学しているだけで、奨学金を必ず利用できるわけではありません。制度ごとに次の条件を確認します。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 学校・課程 | 利用する制度の対象校・対象課程か |
| 申込資格 | 高校卒業から進学までの期間、国籍・在留資格、過去の利用等 |
| 家計 | 審査対象者、参照する税年度、収入基準。給付・減免では資産基準も確認 |
| 学業 | 予約・在学採用それぞれの成績や学修意欲等の基準 |
| 通学形態 | 自宅外月額の要件と証明書類 |
| 継続条件 | 採用後に必要な手続きと、学業・家計等の確認 |
給付・減免は志望する短大が対象校か確認する
JASSOの給付奨学金と授業料等減免は、国または自治体の確認を受けた「確認大学等」が対象です。短大ならすべて対象になるわけではありません。
文部科学省の支援対象校一覧で学校名を調べ、進学予定年度の扱いを学校にも確認しましょう。給付・減免の対象校確認と、貸与奨学金の申込資格は分けて確認します。
給付では、高校卒業から進学までの期間や国籍・在留資格などにも条件があります。社会人の再進学や過去に給付を受けた人は、一般的な高校生と同じ条件だと判断せず、予約採用の申込資格または在学採用の申込資格を確認してください。
年収や評定平均の一つの数字だけでは判断しない
給付奨学金の収入基準は、申込者本人と生計維持者の住民税情報から算出する基準額で判定します。生計維持者は原則として父母です。世帯構成や控除等によって結果が変わるため、親の年収だけで対象・対象外とは決められません。
審査に使用する所得・住民税の年度も、申込区分で異なります。
| 申込区分 | 収入・所得の対象期間 | 使用する住民税情報 |
|---|---|---|
| 2027年度進学者の予約採用・給付 | 2025年1~12月 | 2026年度 |
| 2026年度在学採用・春 | 2024年1~12月 | 2025年度 |
| 2026年度在学採用・秋 | 2025年1~12月 | 2026年度 |
給付の資産基準は、申込日時点の本人と生計維持者の合計で5,000万円未満です。預貯金・有価証券等が対象となり、不動産は含まれません。住宅ローン等の負債と相殺することはできません。
出典:JASSO「予約採用の給付奨学金の家計基準」、JASSO「在学採用の給付奨学金の家計基準」、JASSO「在学採用の申込予定者への案内」
学力基準も制度によって異なります。給付の予約採用では、高校の評定平均3.5以上のほか、文書・面談等で学修意欲を確認する要件があります。「3.5未満だから給付は申し込めない」とは限りません。在学採用では、学年に応じて成績・修得単位数・学修意欲等を確認します。
第一種・第二種の基準を、給付の基準と同じだと考えないことも大切です。
出典:JASSO「予約採用の給付奨学金の学力基準」、JASSO「在学採用の給付奨学金の学力基準」
なお、給付の自宅外月額は、一人暮らしをすれば自動的に適用されるものではありません。生計維持者との別居、家賃の支払い、実家からの通学距離・時間等の要件があり、学校を通じた証明書類の提出と審査が必要です。
学校独自・自治体・財団の奨学金は短大が対象か確認して探す
JASSO以外の奨学金は、次の順で探すと候補を整理しやすくなります。
- 志望校・在籍校の公式サイトを確認する
「奨学金」「学費」「特待生」「経済支援」などのページを調べます。入試時の申請が必要な制度もあるため、入学後まで待たずに確認しましょう。 - JASSOの制度検索で地域・学校種別を絞る
大学・地方公共団体等が行う奨学金制度では、短大の学内奨学金や自治体等の制度を検索できます。自治体の条件は、学校所在地だけでなく出身地や保護者の居住地も確認します。 - 実施団体の最新募集要項を読む
対象学校種・学科・学年、家計や成績、給付・貸与の別、併用可否、申込期限、申込窓口を確認します。
「大学生対象」と書かれていても、短大生を含むとは限りません。また、貸与でも一定の就業等を条件に返還免除がある制度では、免除条件を満たせなかった場合の扱いまで確認してください。
検索サイトは候補探しに使い、最終判断は最新の募集要項と実施団体への確認で行いましょう。
進学前は高校、入学後は短大の窓口で申込期限を確認する
JASSOには、進学前に申し込む「予約採用」と、入学後に申し込む「在学採用」があります。
| 申込方法 | この記事の対象 | 主な相談先 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 予約採用 | 2027年度進学予定者 | 在籍高校・卒業校等 | 学校の締切を確認。採用候補者も進学後の手続きが必要 |
| 在学採用 | 2026年度の短大在学生 | 在籍する短大 | 原則春・秋に募集。学校の期限に従う |
2027年度進学予定者は予約採用の受付状況を高校に確認する
2027年度の進学に向けて申し込む場合は、高校の奨学金担当者に受付状況を確認してください。募集日程や校内締切は学校の案内に従い、「秋だからまだ間に合う」と自己判断しないことが大切です。
採用候補者になった後も、短大へ入学してから進学届などの手続きが必要です。結果通知と進学先の案内を保管し、提出期限を確認しましょう。
2026年度在学生は在学採用の募集を短大に確認する
高校で申し込まなかった人も、入学後の在学採用へ申し込めます。ただし、申込資格・選考基準を満たす必要があります。学内掲示や学生向けサイトを確認し、短大の奨学金窓口へ相談してください。
保護者の失職・病気・災害等で家計が急変した場合は、通常の春・秋募集を待たずに相談しましょう。給付の家計急変採用、第一種の緊急採用、第二種の応急採用などには、それぞれ条件と期限があります。
出典:JASSO「在学採用の申込手続き」、JASSO「2026年度在学者向け申込資料」
申込準備は、次の順で進めると整理しやすくなります。
- 進学年度・課程と、予約採用か在学採用かを確認する。
- 給付・減免の対象校と、学校独自の制度を調べる。
- 公式シミュレーターで家計基準の目安を調べ、必要な資金と不足額を整理する。
- 学校から案内を受け取り、必要書類・入力手続き・提出期限を確認する。
- 指定された手続きを進め、採用後・進学後の提出物も確認する。
奨学金の初回振込前に必要な入学金は別に準備する
JASSOの奨学金は、入学前の納付期限に間に合うよう振り込まれる制度ではありません。「入学時特別増額貸与奨学金」も、入学前に受け取れるわけではなく、単独では利用できません。
入学金や前期授業料の納付日と、奨学金の初回振込時期は分けて確認してください。納付が難しい場合は、学校に延納・徴収猶予等の制度があるか、納付期限前に相談しましょう。
授業料等減免を利用する場合も、申請方法や減免前の納付が必要かを学校に確認します。
出典:JASSO「2027年度大学等予約採用・貸与奨学金案内」
短大の奨学金で迷いやすい点と、申込前の最終確認
高校で申し込まなかった場合、短大入学後でも申し込めますか?
在学採用へ申し込めます。原則として春と秋に募集がありますが、学校の締切までに手続きを進める必要があります。入学後すぐに奨学金窓口へ確認しましょう。申込みができても、必ず採用されるとは限りません。
通信制の短大も、この記事の月額表と同じですか?
同じとは限りません。通信教育課程には通常課程と異なる金額・取扱いがあります。この記事の月額表をそのまま使わず、通信課程向けの案内を確認し、学校の奨学金窓口へ相談してください。
短大卒業後に大学へ編入した場合、奨学金は継続できますか?
継続するための手続きがありますが、自動的には引き継がれません。編入先の大学へ相談し、継続願等を提出します。JASSOは編入後3か月以内の提出を案内しています。継続できる条件・期間は、奨学金の種類と進学先に応じて確認してください。
短大で奨学金を利用するには、まず給付・減免と学校独自制度を確認し、不足する費用を貸与で補うか検討しましょう。金額を比べる際は、短大の月額表、併給調整、入学前の納付時期を確認することが大切です。
次の行動として、JASSOの進学資金シミュレーターで対象になるかの目安を調べ、高校または短大の窓口に申込期限・必要書類を確認してください。シミュレーターは試算であり、採用を保証するものではありません。