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奨学金返済支援は採用効率の改善に有効?企業のメリットと導入方法

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人材不足が続くなか、求人広告を出しても応募が集まらない、内定を出しても辞退される、採用した若手社員が早期に離職するといった課題を抱える企業は少なくありません。給与や知名度だけで大手企業と競うことが難しい場合、求職者が抱える具体的な負担に応える福利厚生も、採用戦略の一つになります。

その選択肢として注目されているのが、企業による奨学金返済支援です。日本学生支援機構(JASSO)の「企業等の奨学金返還支援(代理返還)制度」では、企業が従業員の奨学金返還残額の一部または全額をJASSOへ直接送金できます。2026年3月末時点の利用企業等数は4,852社で、前年度の3,266社から増加しています。

ただし、制度を導入するだけで応募数や定着率が必ず改善するわけではありません。本記事では、奨学金返済支援が採用効率に与える可能性とともに、制度設計、情報発信、効果測定、運用上の注意点を解説します。

奨学金返済支援による「採用効率の向上」とは

採用効率とは、採用にかけた費用や工数に対して、必要な人材をどれだけ確保し、入社後の定着につなげられたかを評価する考え方です。奨学金返済支援制度を採用施策として活用する際も、応募数だけではなく、内定承諾率や入社後の定着まで含めて効果を確認する必要があります。

採用効率は採用単価だけで判断しない

採用単価は、求人広告費や人材紹介手数料などの採用費用を採用人数で割って算出します。ただし、実際の採用活動には、採用担当者の工数、会社説明会や面接の運営費、入社後の教育コストも発生します。さらに、採用した人材が早期離職した場合は、再募集や再教育が必要です。そのため、採用効率を判断する際は、採用時の費用だけでなく、入社後に定着しているかまで確認することが重要です。

奨学金返済支援が影響する採用KPI

奨学金返済支援制度の効果を測るには、求人ページの閲覧数、応募数、応募率、書類選考通過率、面接参加率、内定承諾率、入社率などを確認します。加えて、1年以内の離職率や制度利用者の定着率、採用チャネル別の費用対効果も比較しましょう。制度導入前後の数値を同じ条件で比較すると、採用活動への影響を把握しやすくなります。

制度導入だけで採用効率が上がるとは限らない

奨学金返済支援制度は、すべての求職者に同じように響くわけではありません。奨学金を返済していない人には訴求力が限定されるほか、支援額や期間、対象条件によっても受け止め方が変わります。また、求人票や採用サイトで制度内容が十分に伝わらなければ、応募にはつながりにくいでしょう。まずは自社の応募不足や内定辞退、早期離職などの採用課題を整理し、採用ターゲットに合った制度を設計することが大切です。

奨学金返済支援が採用施策として注目される背景

企業による奨学金返済支援は、若手社員の経済的な負担を軽減する福利厚生であると同時に、採用や人材定着に活用できる施策として注目されています。貸与型奨学金の返還は長期間にわたることがあるため、支援制度の有無が求職者の企業選びに影響する可能性があります。

奨学金返済は若手社員にとって長期的な固定負担になる

日本学生支援機構(JASSO)の貸与型奨学金には、無利子の第一種奨学金と、有利子の第二種奨学金があります。いずれも原則として貸与終了後に返還する必要があり、本人の貸与総額や返還方式などによっては、月々の返還が長期にわたります。

奨学金返済は、家賃や通信費などと同様に毎月発生する固定的な負担となり、生活費や貯蓄に影響することがあります。結婚、出産、住宅購入といったライフプランを考える際にも、返還残額や完済予定時期を踏まえた資金計画が必要です。また、転職を希望していても、返還を続けるために年収を下げにくいと感じる人もいます。返還額や返還期間は一律ではないため、本人の貸与条件や返還状況を確認する必要があります。

若手人材は給与だけでなく福利厚生も確認している

求職者が企業を比較する際は、初任給や月給だけでなく、住宅手当、研修制度、働き方、休暇制度なども判断材料になります。奨学金返済支援制度も、福利厚生の一つとして、入社後の可処分所得や将来の安心感に関わる制度です。

JASSOが紹介しているマイナビ「2026年卒 大学生キャリア意向調査6月<奨学金について>」では、奨学金の返済があることで注目した企業のポイントとして、回答者の28.1%が「奨学金返還支援制度の有無」を挙げています。この結果は特定の調査対象と設問に基づくものですが、奨学金返済を予定している学生にとって、制度の有無が企業選びの判断材料の一つになる可能性を示しています。

中小企業には給与以外の差別化も必要

中小企業や地域企業が、大手企業と初任給や知名度だけで競争することは容易ではありません。特に、若手・第二新卒に加え、理系、IT、建設、介護などの採用難職種では、自社で働く具体的なメリットを伝える必要があります。

奨学金返済支援は、若手人材など対象を絞って設計できる福利厚生です。支援額や対象人数、支援期間を自社の予算に合わせれば、小規模から始めることも検討できます。ただし、制度が採用ターゲットのニーズと一致しなければ、十分な訴求効果は得にくいため、自社が採用したい人材との相性を確認したうえで導入を判断することが重要です。

企業の奨学金返済支援制度とは

企業の奨学金返済支援制度とは、奨学金を返還している従業員に対して、企業が返還額の一部または全額を支援する福利厚生です。主な方法には、企業が日本学生支援機構(JASSO)へ直接送金する「代理返還方式」と、従業員へ手当として支給する方式があります。

奨学金返済支援制度の基本的な仕組み

企業は、制度の目的や予算に応じて、支援対象者、支援額、支援期間、利用開始時期などを決めます。たとえば、新卒社員や一定年齢以下の若手社員を対象とし、毎月一定額を支援する方法や、年単位で支援額を設定する方法があります。

返還額の一部を支援する制度だけでなく、企業の規程や予算によっては全額を支援する設計も考えられます。ただし、対象となる奨学金や雇用形態、勤続条件、支援上限などは企業ごとに異なります。すべての奨学金が対象になるとは限らないため、導入時には対象範囲を確認し、社内規程に明記することが必要です。

JASSOの企業等の奨学金返還支援(代理返還)制度

JASSOの正式な制度名は「企業等の奨学金返還支援(代理返還)制度」です。企業等が従業員に代わり、奨学金の返還残額の一部または全額をJASSOへ直接送金します。対象となるのは、JASSOの第一種奨学金または第二種奨学金を返還している従業員です。

企業からJASSOへ直接送金するため、支援金は従業員本人の返還用口座を経由しません。利用する企業は、対象となる従業員を確認したうえで、JASSO所定の手続きに沿って登録、申請、送金を行います。具体的な登録方法や送金スケジュールは変更される可能性があるため、導入時にはJASSOの最新案内を確認してください。

代理返還方式と手当支給方式の違い

比較項目代理返還方式手当支給方式
支払先企業からJASSOへ直接送金企業から従業員へ支給
返還への充当支援額が直接返還に充てられる従業員が受け取った後に返還を行う
所得税一定の要件を満たす場合、非課税となる可能性がある給与として課税対象になるか個別確認が必要
社会保険給与とは別に企業が直接送金する場合、原則として「報酬等」に該当しない従業員へ支給する場合、原則として「報酬等」に該当する
運用JASSO所定の登録・送金手続きが必要給与規程や福利厚生規程に基づいて運用

国税庁は、奨学金返済に充てるための給付について、一定の要件を満たす場合は「学資に充てるため給付される金品」として取り扱える考え方を示しています。ただし、通常の給与に代えて支給するなど、実質的に給与の代替と判断される場合は、取り扱いが異なる可能性があります。

社会保険についても、給与とは別に企業がJASSOへ直接送金する代理返還金は、原則として「報酬等」に該当しないとされています。一方、企業が従業員へ返還金相当額を支給する場合や、給与に代えて直接送金する場合は「報酬等」に該当します。制度内容によって判断が異なるため、実際の税務・社会保険・給与処理については、税理士や社会保険労務士などの専門家へ確認することが重要です。

参考:日本学生支援機構「企業等の奨学金返還支援(代理返還)制度」、国税庁「奨学金の返済に充てるための給付は『学資に充てるため給付される金品』に該当するか」、厚生労働省「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」

奨学金返済支援で採用効率の改善が期待できる理由

奨学金返済支援制度は、求人への応募から内定承諾、入社後の定着まで、採用プロセスの複数段階に影響する可能性があります。ただし、制度を導入すれば必ず採用成果が上がるわけではありません。自社の採用ターゲットに合った制度を設計し、支援内容を具体的に伝えたうえで、導入前後の採用指標を確認することが重要です。

求人の差別化により応募のきっかけをつくれる

同業他社と仕事内容や給与条件が近い場合、「奨学金返済支援あり」という具体的な福利厚生は、求人検索結果で求職者の目に留まるきっかけになります。特に、新卒採用や奨学金を返済中の第二新卒など、若手人材への訴求が期待できます。

求職者の中には、給与だけでなく福利厚生を条件に企業を検索する人もいます。奨学金返済支援制度を求人票や採用サイトへ明記することで、返済負担を軽減できる企業を探している層へ情報を届けやすくなります。ただし、制度だけを過度に強調すると、仕事内容やキャリア形成の魅力が伝わりにくくなるため、業務内容、働き方、育成環境とあわせて紹介することが大切です。

内定承諾時の比較材料になる

求職者が複数の内定を得た場合、額面給与だけでなく、手取り、住宅手当、奨学金返済支援額などを含めた実質的な待遇を比較することがあります。奨学金返済支援が毎月の固定負担を減らすものであれば、入社先を判断する際の材料になる可能性があります。

企業側は、月額や支援総額、支援期間、支援開始時期、対象となる奨学金、勤続条件などを具体的に示す必要があります。「支援制度あり」とだけ伝えるのではなく、どのような条件で利用できるかを内定前に説明し、入社後に認識の違いが生じないようにしましょう。

若手社員の定着を支える施策になり得る

毎月の奨学金返済額の一部または全額が支援されれば、若手社員の経済的な負担を軽減できる可能性があります。支援を継続的に受けることで、福利厚生の価値を実感しやすくなり、会社からキャリアや生活を支援されているという安心感にもつながります。こうした実感は、エンゲージメントや定着を支え、長期的な人材育成を進める土台になり得ます。

一方で、支援を失うことへの不安だけを利用して在籍を促す制度設計は避けるべきです。退職時に過去の支援額を返還する義務があるのか、違約金が発生するのかなどを明確にし、法的な妥当性も確認する必要があります。また、定着率は上司との関係、業務負担、給与、評価制度、職場環境などにも左右されるため、奨学金返済支援だけで改善すると断定することはできません。

採用・再採用コストの抑制につながる可能性がある

採用した社員が早期離職すると、求人広告の再出稿や人材紹介手数料、面接工数、入社手続き、研修・教育などに再び費用がかかります。欠員が続けば、既存社員の業務負担が増え、現場の生産性に影響することもあります。

奨学金返済支援によって応募や内定承諾、定着が改善すれば、再採用に伴うコストを抑えられる可能性があります。ただし、制度運用にも支援金や事務作業の費用が発生します。制度費用と採用・再採用コストを比較し、短期的な支出だけでなく、中長期的な投資対効果で判断することが重要です。

採用効率を高める奨学金返済支援制度の設計方法

奨学金返済支援を採用効率の向上につなげるには、支援額を決めるだけでなく、採用したい人材像、対象者、支援期間、退職時の取り扱いまで具体的に設計する必要があります。制度内容が曖昧なままでは、求職者への説明や社内運用で混乱が生じる可能性があります。

採用したい人材像を明確にする

まずは、自社がどのような人材を採用したいのかを整理します。新卒、第二新卒、20代の若手人材に加え、理系人材、ITエンジニア、建設技術者、介護・医療人材など、採用難職種を対象にする方法があります。地域企業であれば、地元で長く働きたい人や、Uターン・Iターンを希望する人を想定することも考えられます。

奨学金返済支援は、奨学金を返済している人に対して価値が伝わりやすい制度です。採用ターゲットと制度対象者がどの程度重なるのかを確認し、応募不足、内定辞退、若手の早期離職など、解決したい採用課題に合った制度を検討しましょう。

対象となる奨学金と従業員を決める

制度設計では、JASSOの第一種奨学金・第二種奨学金など、対象となる奨学金を明確にします。新卒社員のみを対象にするのか、中途採用者や既存社員も含めるのかも重要な検討項目です。

あわせて、正社員や契約社員などの雇用形態、年齢、入社年度、勤続期間、返還残額などの条件を定めます。自治体やほかの企業支援制度との併用を認めるかどうかも、事前に整理しておきましょう。対象条件は担当者の判断に任せず、就業規則や福利厚生規程などの社内規程に明記することが大切です。

支援額・期間・上限を設定する

支援方法には、毎月一定額を支払う月額支援、年に一度支援する年額支援、支援総額に上限を設ける方法などがあります。返還額の一部を支援する設計のほか、企業の予算や制度条件によっては全額支援も検討できます。

支援開始時期については、入社直後、試用期間終了後、一定期間の在籍後などの選択肢があります。対象人数が増えた場合も含めて年間費用を試算し、継続可能な金額を設定しましょう。支援額が大きくなくても、制度が安定して継続され、条件が分かりやすいこと自体が求職者や社員にとって価値になる場合があります。

退職・休職・異動時の取り扱いを決める

制度を運用する前に、退職、休職、異動などが発生した場合の取り扱いを決めておく必要があります。退職月まで支援するのか、月の途中で退職した場合は日割りにするのかなどを明確にします。

育児休業、介護休業、傷病休職中の支援継続、グループ会社への転籍時の扱いも要確認です。また、奨学金を完済した場合、返還期限猶予制度を利用している場合、返還方式を変更した場合の手続きも定めておきましょう。

退職した社員へ過去の支援額を返還請求したり、違約金を設定したりする場合は、労働法上の問題が生じる可能性があります。制度導入前に弁護士や社会保険労務士、税理士などへ相談し、労働法・税務・社会保険上の取り扱いを確認することが重要です。

奨学金を利用していない社員への公平性にも配慮する

奨学金返済支援は対象者が限定されるため、奨学金を利用していない社員から不公平だと受け止められる可能性があります。制度を導入する際は、若手採用や人材定着など、企業が解決したい経営課題と制度の目的を社内へ説明することが必要です。

公平性に配慮する方法として、奨学金返済支援を選択型福利厚生の一つに位置づけることも考えられます。住宅支援、資格取得支援、リスキリング支援、育児・介護支援など、幅広い社員が利用できる制度と組み合わせれば、それぞれの事情に応じた支援を提供できます。

福利厚生の公平性は、必ずしも全社員へ同じ制度や金額を提供することだけを意味しません。「全員に同じ支援」ではなく、「社員が抱える課題に応じて必要な支援を用意する」という考え方も含め、社内で納得感のある制度設計を目指しましょう。

奨学金返済支援を求人・採用広報で効果的に伝える方法

奨学金返済支援制度は、導入するだけで採用効果が得られるわけではありません。求職者に制度の内容や目的が正しく伝わって初めて、応募や内定承諾の判断材料になります。求人票や採用サイトでは、制度の内容を具体的かつ分かりやすく発信することが重要です。

求人票には具体的な支援条件を記載する

求人票には「奨学金返済支援制度あり」と記載するだけでなく、月額・年額の支援額、支援上限、支援期間、対象となる奨学金、対象者、勤続条件、利用開始時期などを具体的に掲載しましょう。また、JASSOの代理返還方式なのか、給与へ手当として支給する方式なのかも明記すると、求職者が制度を理解しやすくなります。

退職時の取り扱いや制度利用の条件も、可能な範囲で事前に伝えることが大切です。詳細が就業規則や福利厚生規程で定められている場合は、その旨を記載し、未確定の内容は「要確認」と明示することで、入社後の認識違いを防ぎやすくなります。

採用サイトで制度の背景や目的を説明する

採用サイトでは、制度内容だけでなく「なぜ導入したのか」という背景も伝えましょう。若手社員の経済的負担を軽減したい、キャリア形成を支援したい、地域人材の定着につなげたいなど、制度の目的を説明することで、企業姿勢への理解が深まります。

経営者や人事責任者からのメッセージを掲載し、人材育成方針や社会課題への考え方を紹介することも効果的です。ただし、SDGsへの貢献だけを強調するのではなく、「社員を支援する制度」であることを軸に情報発信することが重要です。

利用社員の声やモデルケースを掲載する

制度の利用イメージを伝えるには、利用社員の声やモデルケースが役立ちます。支援前後で感じた経済的負担の変化や、毎月の支援額、入社理由、働き続ける理由、キャリアへの影響などを紹介すると、求職者は制度を具体的にイメージしやすくなります。

実際の社員を紹介する場合は、本人の同意を得たうえで掲載し、返還残額や個人情報を過度に公開しないよう配慮しましょう。架空の事例を紹介する場合は、誤解を避けるため「モデルケース」であることを明記することが大切です。

スマートフォンで理解しやすい採用ページにする

若手求職者の多くはスマートフォンで企業情報を調べています。そのため、採用ページでは結論を冒頭に記載し、支援条件は表や箇条書きで整理すると理解しやすくなります。

よくある質問(FAQ)を設置し、応募ボタンや問い合わせボタンを分かりやすい位置へ配置することも重要です。制度説明が長くなり過ぎる場合は、求人詳細から制度紹介ページへ誘導すると読みやすくなります。採用サイトだけでなく、SNSや採用動画でも制度を紹介し、複数のチャネルから情報を届けることを検討しましょう。

奨学金返済支援の採用効果を測定する方法

奨学金返済支援制度の成果を確認するには、「導入した」という事実だけでなく、採用活動や定着率にどのような変化があったかを継続的に検証することが重要です。制度導入前後で同じ指標を比較し、改善点を見つけながら運用を見直しましょう。

制度導入前の採用データを整理する

制度導入前には、応募数、応募単価、面接参加率、内定率、内定承諾率、入社率、採用単価、早期離職率などを整理しておきます。また、採用経路や職種別・年代別の実績も把握し、比較対象となる基準値を設定することで、制度導入後の変化を客観的に評価しやすくなります。

求職者が制度を認知した経路を確認する

応募フォームや面接アンケート、内定者アンケート、入社後アンケートなどを活用し、求職者がどこで制度を知ったのかを確認しましょう。求人票、採用サイト、SNS、人材紹介会社、学校・大学など、認知経路を把握することで、採用広報の改善につながります。

また、「制度が応募や内定承諾の決め手になったか」といった質問を設けることで、制度の効果を分析できます。なお、奨学金利用の有無は個人情報に関わるため、回答は任意とし、利用目的を明確にしたうえで適切に管理することが重要です。

採用数だけでなく定着率まで追跡する

制度の効果は採用人数だけで判断せず、入社後6か月、1年、3年などのタイミングで定着状況を確認しましょう。制度利用者と非利用者の定着率やエンゲージメント、制度満足度、管理職評価なども参考になります。

あわせて、制度による支援総額や再採用コストの変化も確認すると、より多角的な評価ができます。ただし、定着率は職場環境や上司との関係など、制度以外の要因にも影響されます。少人数のデータだけで因果関係を断定することは避けるべきです。

費用対効果を定期的に見直す

制度の運用では、年間支援額だけでなく、事務作業や管理にかかるコストも含めて把握することが重要です。一方で、採用費の変化や内定辞退の減少、早期離職による再採用コストの抑制などもあわせて確認し、中長期的な費用対効果を評価します。

制度運用にかかった年間費用
=年間支援額+事務・運用コスト

採用施策としての効果
=採用費の変化+内定辞退減少による効果+早期離職減少による再採用費の抑制

社員満足度や企業イメージの向上、採用広報への波及効果などは、金額へ換算しにくい要素です。これらも含めて総合的に評価し、年1回程度を目安に制度内容を見直すことをおすすめします。

奨学金返済支援制度を導入する手順

奨学金返済支援制度は、採用課題や予算に合わせて設計し、社内規程や運用フローを整備したうえで導入することが重要です。制度の目的を明確にし、採用活動や人材定着につながる仕組みを構築しましょう。

採用課題と制度導入の目的を整理する

まずは、自社の採用課題を整理します。応募不足、内定辞退、若手社員の早期離職、採用難職種への対応、地方採用、採用単価の上昇、既存社員の定着など、解決したい課題によって制度設計は変わります。「他社が導入しているから」という理由だけではなく、制度導入の目的を明確にすることが重要です。

対象者・支援内容・予算を設計する

対象となる従業員や奨学金、支援額、支援期間、年間予算を決めます。対象人数が増えた場合の費用シミュレーションも行い、既存の福利厚生との整合性を確認しましょう。制度導入前には社内承認を得るとともに、労使間で制度内容を共有し、税務や社会保険上の取り扱いも確認することが大切です。

社内規程と申請フローを整備する

制度を円滑に運用するためには、申請書類、奨学生番号や返還残額の確認方法、本人確認、JASSOへの登録、対象者の承認、毎月の送金手続き、支援終了時の処理などを明確にします。

また、人事・経理・給与担当者それぞれの役割を整理し、個人情報の管理方法やアクセス権限、保存期間も定めておきましょう。退職や休職時の手続きも事前に規程へ盛り込むことで、運用上のトラブルを防ぎやすくなります。

採用サイト・求人票・社内向けに周知する

制度を導入したら、求人票や採用サイトだけでなく、会社説明会やスカウトメール、内定者面談などでも内容を伝えましょう。既存社員に対しても社内イントラや説明会を通じて制度の目的や運用方法を共有し、認識を統一することが重要です。

採用担当者が求職者からの質問へ適切に回答できるよう、FAQを準備しておくと、説明内容のばらつきを防ぐことができます。

外部サービスを活用して導入・採用を進める

制度を導入する際は、JASSOの最新情報を確認するとともに、必要に応じて税理士、社会保険労務士、弁護士などの専門家へ相談することも検討しましょう。また、人材紹介サービスや奨学金返済支援制度の導入支援サービスを活用すれば、制度設計や対象人材への求人訴求、運用事務の負担軽減につながる場合があります。

自社だけで制度設計や採用活動を進めることが難しい場合は、外部の支援サービスを活用しながら、自社の採用課題に合った制度運用を目指すことも有効な選択肢です。

まとめ

奨学金返済支援制度は、若手人材が抱える返済負担を軽減しながら、求人の差別化、内定承諾、入社後の定着を支える可能性がある採用施策です。特に、JASSOの「企業等の奨学金返還支援(代理返還)制度」を活用すれば、企業が従業員に代わって返還額の一部または全額をJASSOへ直接送金できます。

ただし、制度を導入するだけで採用効率が必ず改善するわけではありません。採用したい人材像を明確にし、対象者、支援額、支援期間、退職・休職時の取り扱いを具体的に設計する必要があります。また、求人票や採用サイトで条件を分かりやすく伝え、応募数、内定承諾率、採用単価、定着率などを継続的に確認することも重要です。

奨学金返済支援制度の導入や運用、対象人材への採用訴求を自社だけで進めることが難しい場合は、奨学金バンクの無料相談を活用し、自社の採用課題や予算に合った方法を検討することも選択肢です。

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奨学金バンク 編集部
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奨学金バンクは、奨学金を借りている学生・社会人と、奨学金返還支援(代理返還)に取り組む企業をつなぐプラットフォームです。就職・転職支援に加え、代理返還制度の導入支援や運用代行を行なっています。

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