海外大学への進学を考えるとき、授業料だけでなく、住居費や食費、渡航費なども含めて多くの費用が必要になります。そのため「海外大学でも奨学金は利用できるのか」「どのような制度があるのか」と気になる人も多いでしょう。
結論からいうと、海外大学への進学に利用できる奨学金には、返済不要の給付型、返還が必要な貸与型、大学独自の奨学金、民間団体・自治体などの支援制度があります。
たとえば、日本学生支援機構(JASSO)では、海外の大学で学士号の取得を目指す人を対象とした「海外留学支援制度(学部学位取得型)」や、海外の大学・大学院への進学者を対象とする「第二種奨学金(海外)」などを設けています。
ただし、奨学金によって対象者、学業成績、家計基準、留学先、申込時期、応募方法などが異なります。海外大学への進学を決めてから探すのではなく、進学先を検討する段階から情報収集を始めることが大切です。
この記事の概要
- 海外大学向け奨学金には、給付型・貸与型・大学独自・民間団体などがある
- JASSOには海外大学で学士号を取得する人向けの給付型制度がある
- 第二種奨学金(海外)は海外大学・大学院への進学者向けの貸与型制度
- 奨学金によって申込時期や条件が異なるため、早めの確認が必要
- 複数の制度を比較し、留学先大学の奨学金もあわせて探すことが重要
海外大学進学で利用できる奨学金は主に4種類
海外大学進学に利用できる奨学金は、大きく分けると次の4種類です。
| 種類 | 特徴 | 返還 |
|---|---|---|
| 給付型奨学金 | 条件を満たすことで奨学金を受け取れる | 原則不要 |
| 貸与型奨学金 | 在学中などに資金を借り、卒業後などに返還する | 必要 |
| 大学独自の奨学金 | 海外の大学などが独自に提供している | 制度による |
| 民間団体・自治体などの奨学金 | 財団・企業・自治体などが独自の条件で提供している | 制度による |
給付型は返済不要なのが大きなメリット
給付型奨学金は、原則として受け取った金額を返還する必要がありません。そのため、海外大学の授業料や生活費などの負担を抑えたい場合には、優先して確認したい制度です。
一方で、給付型は応募条件や審査が設定されていることが多く、誰でも利用できるわけではありません。成績、語学力、家計状況、留学先などが条件になる場合があるため、必ず募集要項を確認しましょう。
貸与型は返還を前提に利用する
貸与型奨学金は、進学に必要な資金を借りて、卒業後などに返還していく制度です。
給付型と比較すると利用できる制度の選択肢が広がる場合がありますが、将来的に返還が必要になる点には注意が必要です。
「毎月いくら借りるのか」「卒業後にどの程度返還することになるのか」などを確認したうえで、必要な金額だけを利用することが大切です。
JASSOには海外大学進学者向けの奨学金がある
海外大学への進学を考える場合、日本学生支援機構(JASSO)の制度は優先的に確認しておきたい情報源です。
特に学部への進学を考えている場合は「海外留学支援制度(学部学位取得型)」、海外大学・大学院への進学費用を借りる場合は「第二種奨学金(海外)」が代表的な制度です。
海外留学支援制度(学部学位取得型)は給付型
「海外留学支援制度(学部学位取得型)」は、海外の大学で学士(Bachelor)の学位取得を目指す人を対象とした給付型の奨学金です。
JASSOによると、募集要項は例年7月下旬から8月頃に公開され、10月上旬頃に応募が締め切られます。応募を考えている場合は、募集開始後に準備するのではなく、前年度までの募集要項などを参考に早めに準備しておくことが推奨されています。
最新情報は、必ずJASSO公式ページで確認してください。
2027年度分の応募はすでに終了している
2026年10月8日時点では、2027年度の「海外留学支援制度(学部学位取得型)」について、通常の応募受付は終了しています。
2027年度募集では、2026年9月1日から9月24日までがエントリー期間、応募書類の提出期限は2026年10月1日でした。2027年度募集は、2027年4月から2028年3月までの間に留学を開始する人が対象です。
これから海外大学への進学を検討する人は、次年度以降の募集情報が公開された際に、最新の募集要項を確認しましょう。
JASSO「2027年度海外留学支援制度(学部学位取得型)」募集情報
第二種奨学金(海外)は貸与型
「第二種奨学金(海外)」は、海外の大学・大学院への進学を希望する人を対象とした貸与型の奨学金です。
国内の学校に在学中などの場合、原則として在学校や卒業校を通じて予約採用を申し込みます。申込期限は学校ごとに設定されるため、進学を希望する場合は学校の奨学金担当窓口などへ早めに確認する必要があります。
2027年度の第二種奨学金(海外)は2026年8月から受付
2027年4月から2028年3月までに海外の大学・大学院へ進学する人を対象とした第二種奨学金(海外)の予約採用は、2026年8月から申込みが始まっています。
ただし、国内の学校を通して申し込む場合、申込期限は学校ごとに異なります。そのため、制度を利用したい場合は「JASSOの締切を待つ」のではなく、在学校の担当窓口に申込期限を確認することが重要です。
JASSO「国内の大学等を通して第二種奨学金(海外)予約採用に申し込む」
海外大学向け奨学金は大学や民間団体からも探せる
海外大学進学の奨学金を探すときは、JASSOだけに限定する必要はありません。
進学先の大学が独自に提供する奨学金や、財団・企業・自治体などが提供する奨学金もあります。
海外大学の公式サイトを確認する
海外大学のなかには、成績優秀者向け、留学生向け、特定分野を専攻する学生向けなど、独自の奨学金制度を設けている大学があります。
大学によっては、入学願書の提出と同時に奨学金の申請が必要な場合もあるため、合格後に調べるのでは遅い可能性があります。
志望校が決まったら、大学公式サイトで「Scholarship」「Financial Aid」「International Students」などのページを確認しましょう。
JASSOの奨学金検索も活用する
JASSOでは、海外留学向けの奨学金を検索できる「海外留学奨学金検索」を公開しています。
国・地域や留学目的などから情報を探せるため、自分に合う制度を幅広く探したい場合に活用できます。
海外大学の奨学金を探すときに確認したい5つの条件
奨学金は「海外留学向け」と書かれていれば利用できるわけではありません。候補を見つけたら、次の条件を確認しましょう。
1.対象となる留学先
奨学金によって対象となる国・地域、大学、課程などが異なります。
海外大学ならどこでも対象になるとは限らないため、志望校が支援対象に含まれているか確認しましょう。
2.給付型か貸与型か
給付型なら原則として返還不要ですが、貸与型は将来的な返還が必要です。
複数の制度を比較するときは、支給額だけではなく「返還の必要性」も確認することが大切です。
3.成績・語学力などの応募条件
奨学金によっては、学校の成績、語学力、専攻、学位取得計画などの条件が設定されています。
たとえばJASSOの海外留学支援制度(学部学位取得型)にも、学業成績や語学力などに関する資格要件があります。
JASSO・文部科学省「海外留学支援制度(学部学位取得型)」制度情報
4.家計基準
奨学金のなかには、家計状況を応募条件や選考基準としているものがあります。
特に「年収が○万円なら必ず利用できる」と単純に判断するのは避けましょう。制度によって所得の確認方法や対象となる年、世帯の考え方などが異なるためです。
JASSOの第二種奨学金(海外)についても、家計基準が設けられています。詳細は最新の公式情報を確認してください。
JASSO「海外大学進学前(予約採用)の申込資格・学力基準・家計基準」
5.申込期限
奨学金探しで特に注意したいのが申込期限です。
大学への出願時期より前に申請する奨学金もあれば、合格後に申請する制度もあります。また、学校を通じて申し込む制度では、学校独自の締切が設定される場合があります。
「進学先が決まってから探す」のではなく、志望校を決める段階から募集要項を確認しておきましょう。
海外大学進学の奨学金は5ステップで探そう
- 進学先の国・大学・専攻を決める
- 大学公式サイトで奨学金を確認する
- JASSOなどの公的な奨学金を確認する
- 民間財団・企業・自治体などの制度を調べる
- 応募条件と申込期限を比較する
STEP1:進学先を具体化する
まずは、どの国・地域のどの大学へ進学するのかをできるだけ具体的にします。
奨学金によって対象となる国や大学、専攻、学位課程が異なるためです。
STEP2:志望大学の奨学金を調べる
志望大学が決まったら、大学公式サイトの奨学金・Financial Aidのページを確認します。
授業料の減免なのか、生活費を含む奨学金なのかなど、支援内容も確認しましょう。
STEP3:JASSOの制度を確認する
次にJASSOの海外留学向け制度を確認します。
給付型の「海外留学支援制度(学部学位取得型)」と、貸与型の「第二種奨学金(海外)」では、制度の目的や応募条件が異なります。
STEP4:民間団体・自治体の制度を探す
大学やJASSO以外にも、財団、企業、自治体などが海外留学を支援している場合があります。
JASSOの海外留学奨学金検索などを使い、応募できる制度を広く探しましょう。
STEP5:条件と期限を一覧表にする
候補が複数見つかったら、次のような項目を一覧にすると比較しやすくなります。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 奨学金の種類 | 給付型・貸与型など |
| 支給・貸与額 | 月額・年額・一時金など |
| 対象者 | 学年、学位、留学生など |
| 留学先 | 国・地域・大学など |
| 応募条件 | 成績、語学力、家計など |
| 申込時期 | 出願前・合格後など |
| 返還 | 返還の有無、返還条件など |
海外大学の奨学金を利用するときの注意点
奨学金だけで留学費用をすべて賄えるとは限らない
海外大学への進学では、授業料以外にも渡航費、住居費、食費、保険料、教材費などが発生します。
そのため、奨学金の金額だけを見るのではなく、年間の留学費用を見積もり、自己資金なども含めて資金計画を立てる必要があります。
奨学金ごとに申込時期が違う
海外留学向け奨学金は、すべて同じ時期に募集されるわけではありません。
特に大学独自の奨学金は、大学への出願と同時に申請するケースも考えられます。志望校を決めた段階で、大学公式サイトの募集要項を確認しましょう。
最新年度の募集要項を必ず確認する
奨学金の金額や応募条件、募集時期などは年度によって変更される可能性があります。
過去年度の募集要項は準備の参考にはできますが、実際に応募するときは必ず最新年度の募集要項を確認してください。
海外大学進学の奨学金についてよくある質問
海外大学でもJASSOの奨学金は利用できますか?
利用できる制度があります。たとえば「海外留学支援制度(学部学位取得型)」は、海外大学で学士号の取得を目指す人を対象とした給付型の制度です。また、「第二種奨学金(海外)」は海外の大学・大学院への進学者を対象とする貸与型の制度です。
ただし、制度ごとに応募条件や申込時期が異なるため、最新の募集要項を確認してください。
海外大学の奨学金はどこで探せますか?
まずは志望大学の公式サイトを確認し、そのうえでJASSOの海外留学奨学金検索などを活用すると効率的です。
また、自治体、財団、企業などが独自に募集している場合もあるため、複数の情報源を確認しましょう。
奨学金はいつから探せばよいですか?
海外大学への進学を考え始めた段階から、できるだけ早く探すことをおすすめします。
奨学金によっては、大学への出願や入学より前に申請が必要です。また、学校を通して申し込む制度では、学校独自の締切が設定されることもあります。
まとめ|海外大学進学の奨学金は早めに比較して準備しよう
海外大学進学で利用できる奨学金には、給付型・貸与型のほか、大学独自の制度、民間団体や自治体などの支援制度があります。
特にJASSOでは、海外大学で学士号を取得する人向けの「海外留学支援制度(学部学位取得型)」や、海外大学・大学院への進学者向けの「第二種奨学金(海外)」が用意されています。
ただし、奨学金は制度によって対象者、家計基準、成績・語学力などの応募条件、申込時期が異なります。
そのため、海外大学への進学を考えたら、①志望大学の奨学金、②JASSOの制度、③民間団体・自治体などの制度を順番に確認し、応募条件と締切を一覧にして比較することが重要です。
なお、この記事の情報は2026年10月8日時点で確認したものです。実際に申し込む際は、必ず各制度の最新の募集要項・公式情報を確認してください。